土星蜥蜴の「筆のすさび」

日々雑感。 アニメ文化に関する気ままな評論・感想を書き連ねます。

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『CANAAN』全13話の感想。

「私と姉さまの間に入りこんでくるやつは、なんだって殺す!ブタだって、クリームだって、バーベキューだって、夢だって、ワープロだって、愛だって殺す!!」
『CANAAN』#11「彼女添」より

以下、ネタバレが多分に含まれますので、ご了承の上でお進みください。


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 リャン・チー様は良かった。思わず一人でスタンディングオベーションしちゃいましたww全体的な筋書きは生ぬるい部分があったけど、部分的には感嘆させられるようなシチュエーションがいくつかありました。作画もよく動いていてキレイだった。というより、初回でカナンが動き回るシーンを見たときは「おぉー」っと声をあげてしまいました。いつもの「ひとことアニメ便覧」では今シーズンに見たアニメ中最高位タイの二つ星の評価ですwそれにしても、あんな残虐なシーンをやるなんて勇気がありますよねw最終話でアルファルドが腕を打ち落とす場面もびっくりでした。

■リャン・チー様の愛と死と狂気

 アルファルドの思考を自分のこと一色にしようと試みたリャン・チー様は、気を惹くために何でもします。手柄を挙げるためにボナーの研究を進めます。アルファルドが気にしているカナンの存在を消そうとします。シャムのフリをして手紙でアルファルドを呼び出し、同時に情報をリークすることでアルファルドを牢屋に閉じ込めま、そして、リャン・チーが救助に行くことでアルファルドに可愛がってもらおうとします。でも、アルファルドは振り向いてくれません。だから、リャン・チー様は怒りを発散させるべく今日もカミングスにおもちゃの銃を撃ちつけます。
 リャン・チーは単にアルファルドに振り向いてもらいたかっただけなんですよね。ずっと相手にされないまま片思いだったために、ついには痛みつけられることすら嬉しく思うようになったんでしょうか。だって、アルファルドが本気で自分を殺そうとしているってことは、少なくともアルファルドの思考はリャン・チーのことで満たされます。ただし、それは愛ではなく殺意という気持ちです。結局、リャン・チーは最期までアルファルドの気に留まることはなかったんだと思います。愛とは何なのかといった答えの出ない意味不明な考えはさておき、とにかくアルファルドのことを一途に思い続ける様子が描かれていました。
 一方、その死に様はすごかった。愛を云々するよりも、その死に方のほうが強烈だったと思います。カナンと同じ共感覚になれる薬を飲んだわけですが、その感覚を受け入れることができずに死を迎えます。髪の毛が白くなってカナンと容姿が同じになってしまい、鏡を見て自分の目の前に憎いカナンがいると錯覚してしまいます。そして、カミングスにカナンを殺すように命令すると、カミングスは自分の手でリャン・チーのことを銃で撃ちます。

 なんだか壮絶な死に方に魅入ってしまいました。皮肉だなぁ。っていうか、声優さんの演技と作画に圧倒された感じだった。でも、よく考えたらそれだけ?別段、リャン・チーの気持ちがどこかしら変化したとかいうこともなかったんじゃないのかな?最期まで彼女はアルファルドへの偏愛に取り付かれて狂おしいまでの愛に身を委ねていただけでした。だからこそ、アルファルドに攻められることすら快感に思ったんだろうし、鏡に映った自分の虚像をカナンだと勘違いして殺すよう指示したんだと思う。アルファルド自身もカナンっていう存在に執着していたけど、さらにリャン・チーがそれを追いかけるっていう構図が、まるで鏡の中のカナンっていう虚像に象徴されているかのようだった。

■死体を愛でるハッコー

 まぁ、それだけ愛していたってことなのかな?生きているときは自分の声が相手の致命傷になるだけに、決してあんなことはできなかった。死んだことによって、ようやくできたわけです。それが悲劇性を物語っているというだけで、中身はあんまり描かれなかったよね。シチュエーションはいろんなことを表現しているけど、その裏付けになるような具体的な2人の関係性があんまり描かれていなかったのが残念。あの場面だけ見れば何かスゴイ複雑な恋愛事情があったかのように思えるんだけど、実際に何があったのかと言えば、それほど以前の話で取り上げられているわけではなかった。

■めちゃくちゃな本筋

 とにかく、この作品っていうのは場面ごとには魅せるものがあった。けど、その場面に行き着くまでの経緯は中途半端だし、具体的な裏付けとしての内容も薄かったから解釈に困るんだよね。どうも最初に「やりたいシチュエーション」ってのがあって、そこに持っていくために話を付け足した感じがする。この13話だけで完結させる気がないのか、シャムが死んだ理由っていうのは最後まで明かされなかったし、なぜアルファルドがカナンの死にこだわるのかっていうのもいまひとつ説得力のある説明が付けられない。もちろん、アルファルドには自分に戦闘の技術を教え込んでくれたシャムが「一番だ」と言ったカナンに対しての嫉妬や自己顕示欲もあるんだろうけど、第一には「カナンは一人でいい」と言っているように自分こそ「カナン」という名前でシャムに呼ばれる唯一の存在であるっていうことを証明したかったのかもしれない。だけど、ことのもとたるシャムの死がなぜ起こったのかという一連の背景が描かれないために、あくまで想像の域を脱しない。結局は、カナンとアルファルドの関係性っていうのも、なんとなくでしか理解できないまま。だから、最後にアルファルドが自分の手を撃つ理由について、なかなか説明がつけられないんだよね。シチュエーションとしては何だかカッコイイんだけどw
 そして、主人公であるはずのマリアの存在感が極端に薄いんだよwwっていうか、何がしたかったの?初回では「写真を通して見えない世界や見ようとしない世界を映し出すんだ」って言っていましたけど、マリア自身がカメラのレンズの役目を持っていたってことなのかな??でも、作品を通して描かれるのはリアルな世界の実情ってわけでもなし、戦争の実態っていうわけでもなし、単なる数人の個人的な妄執に根ざした復讐戦みたいなものだった。これって、別に日本を脱出させてまでやるような話じゃないんじゃないのかな?カナン、アルファルド、リャン・チー、カミングス、ユンユン…、たくさん登場人物は出てきたけれども、その思考回路なんかは日本人的だったから、マリアが「世界を写す」と言っても言葉の具体性が作品の中で提示されなかった。
 それに、「カナンの横に立ちたい」とかなんとか言い始めたはいいけど、それも無理だしwどうやらカナンをマリアなんかとは違った環境で育った人物として描いて、その生き様をマリアが捉えることで世界っていうものを描き出そうとしたようだけど、カナンもマリアと同じ「普通の女の子」として描いてしまったために崩壊。2人は仲良しですからwしかも、「普通の女の子」なのに戦闘技術は卓越しているという、なんともファンタジックな設定に。当然、マリアが戦闘技術を身につけるべく努力をするという方向に流れるわけもなく、単なる偽善としか思えないようなセリフを吐かせた意味がつかめません。リアリスティックに描きたいのかフィクショナルに描きたいのか、ちょっと中途半端さが感じられた。
 もう本筋なんてめちゃめちゃですね。部分的に魅せる場面があるから見られるだけであって、作品として統一感もないし、不完全な感じが強い。

■現代日本社会の彼岸と此岸

 はじめはカナンとマリアを対立軸として用いることで、『BLACK LAGOON』で描かれていたような現代日本社会の彼岸と此岸みたいなことをやるのかと思ってました。カナンは一流のスナイパーとして育てられて戦争の中で生活を過ごしていた人だから、マリアと対峙させることで互いの感覚の違いやら考え方の違いにケンカをしながらも、次第にわかりあっていくみたいな。カナンが彼岸でマリアが此岸ってこと。だけど、今回はカナンも「普通の女の子」として描いたわけです。そんな戦争の中で育った人でも普通の女の子としての感受性を持っているんだっていうことです。そもそも「普通」っていうのがわからなかった。何を以て「普通」とするのか…。そこも触れられなかったんですよね。。。
 結局、カナンも此岸に立つ人間だったように思われます。マリアと対峙させるような位置に置かなかったし、どうしてかスナイパーとしてのシビアさっていうのもなかった。本当に思春期かそれ以前の子供がスナイパーとしての技術を持っただけような感じで、そのシャムに育てられたという特殊な背景が生かされなかった。



 ユンユンって何者なんでしょうw薬がないにも関わらず脅威の生存日数だったし、マリアのことを爆破から守って助け出すし、生還したらすぐにバイトを再開する始末。驚きのバイタリティーですww盲腸が二つある人っていうのは違いますね…。

テーマ:CANAAN - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2009/09/29(火) 22:39:57|
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(アニメ感想) CANAAN 第13話(最終回) 「キボウノチ」

CANAAN 1 [Blu-ray]クチコミを見る アルファルドはいい女だし、悪役としても十分に際立つ可能性はあったけど、どうも途中から小さくまとまってしまった感があって最後まで魅力が発揮出来ていなかったかな・・・。 ↑よろしければポチって押して頂けると励みになります
  1. 2009/10/01(木) 15:02:18 |
  2. ゲームやアニメについてぼそぼそと語る人

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