土星蜥蜴の「筆のすさび」

日々雑感。 アニメ文化に関する気ままな評論・感想を書き連ねます。

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『千年女優』の感想。

「だって私、あの人を追いかけている私が好きなんだもん。」
『千年女優』より

以下、ネタバレが多分に含まれますので、ご了承の上でお進みください。


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 なんてぇか、物語の仕組みが面白い作品だなぁって印象です。基本的には、顔も見ていないのに一目惚れした相手を何度となく転生しながら追いかけていくだけで、それほど深い心理描写もなく、淡々と彼女の転生と相手を追いかける姿が描かれる感じ。だけど、それが最後になって、過去の追いかけている場面と今の追いかけている場面が重なり合いながら描かれている場面は、時代を超えた彼女のドラマを見たような気にもなって面白かった。もっと心理描写の面を深く掘り下げた上で同じ転生の構造を使えば良かったのに、単にこの構造に面白みを持たせただけに終わってしまったところは残念でした。

■パラレルな物語構造

 つまるところ、物語を時系列でまとめてしまえば戦国時代まで遡るんでしょうか。殿様の死体に直面した後に城の妖が出てきて、寿命を延ばす呪いを受けてしまうところが物語の出発点になると思います。作中では、その場面も映画の内容の一部として語られているけど、それが彼女の転生する前の人生と重なり合って描かれている感じ。そして、そういった構造は以降の内容も繰り返して用いられています。その映画の場面と彼女の転生前の人生がパラレルな関係にあって、いつの時代になっても同じ思いや境遇にさいなまれることの奇遇というか運命が描かれていたような…。
 だから、ラストになればなるほど彼女の行動の意味合いに重層性が生まれてきていた。たとえば彼女が土砂崩れで列車に閉じ込められたときは、満州での列車襲撃を想起させるように仕組まれていた。それに、引き立て役の女優さんとの掛け合いも毎度のことだし、顔に傷を持つ体制側の男に邪魔をされるのも変わらなかった。いつまで経っても彼に会うことのできない悲恋が片一方ではあるけれども、同時に時代を超越した普遍的な人間ドラマの展開も見られたように思う。つまり、いつの時代になっても人の恋路を邪魔するのはいるし、顔も見ていない相手であろうと必死になって追いかけることがあるっていうこと。だけど、細かい心理描写には物足りなさがあった。

■重なり合う思い出

 彼女が大事に思っていた鍵は何を開けるものだったのかと言えば、「思い出」を開ける鍵だったと最後には種明かしがあります。けど、最初に彼から渡されたときは「大事なもの」を開ける鍵として受け取ります。つまり、大事なもの=思い出っていうことになるのかな?ありきたりな発想ではあるけれども、彼女が映画撮影の記憶=転生前の記憶を思い起こさせる鍵となっていた点から考えれば、これも仕組みとしては面白かった。単に言葉だけ「思い出を開ける鍵」と格好良く言うのではなく、ずっと彼女はその鍵を大切にしてきた過去が裏付けを与えるだけに説得力があった。



 なんだかんだ言って、やっぱり仕組みが面白かっただけかな?あの二人組のインタビュアーが映画撮影=転生前の人生に参入しながら進行する物語っていうのも、入れ子構造のように本筋とメタな関係にあることを視覚的に表現されていて面白かった。それに、彼女がいつの時代も鍵を大事に思いながら彼を追いかける姿には物語をひとつの筋に収める効果もあったように思う。そういった仕組みの面でいろいろと面白い工夫が見られた作品だってだけかもしれないw

テーマ:見たアニメの感想 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2009/10/20(火) 04:50:09|
  2. 千年女優
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