土星蜥蜴の「筆のすさび」

日々雑感。 アニメ文化に関する気ままな評論・感想を書き連ねます。

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『攻殻機動隊2.0 -GHOST IN THE SHELL-』の感想。

「代謝の制御。知覚の鋭敏化。運動能力や反射の飛躍的な向上。情報処理の高速化と拡大。電脳と義体によってより高度な能力の獲得を追求した挙句、最高度のメンテナンスなしには生存できなくなったとしても、文句を言う筋合いじゃないわ。」
「俺達は九課に魂まで売っちまったわけじゃないんだぜ。」
「確かに、退職する権利は認められてるわ。この義体と記憶の一部を謹んで政府にお返しすればね。人間が人間であるための部品が決して少なくないように、自分が自分であるためには驚くほど多くのものが必要なのよ。他人を隔てるための顔。それと意識しない声。目覚めのときに見つめる手。幼かった頃の記憶。未来の予感。それだけじゃないわ。私の電脳がアクセルできる膨大な情報やネットの広がり。それらすべてが私の一部であり、私という意識そのものを生み出し、そして同時に私をある限界に制約し続ける。」
『攻殻機動隊2.0 -GHOST IN THE SHELL-』より

以下、ネタバレが多分に含まれますので、ご了承の上でお進みください。


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 いやぁ、キレイだった。まさに映像技術の見本市ってやつなんでしょうか。まぁ、映像のことはよくわからないwので、内容のほうから感想を。
 まず、いろいろな部分で変更が見られました。セリフも変わっている部分がありましたし、まるっきり設定が変わっているところもあった。たとえば、ド頭の場面で1.0では「企業のネットが星を被い、電子や光が駆け巡っても、国家や民族が消えてなくなる程、情報化されていない近未来」とあったのが、挿入曲「謡」の歌詞になっていました。あのテロップは攻殻の象徴的なものでしたし、あれが変更になったのはちょっと残念。あと、一番の変更は人形使いの声が女性になったところ。前は渋い男性の声だったのですが、なぜ女性に変更されたのでしょうか。
 そもそも、人形使いは人格すら形成されているのか作中でも議論が分かれているのに、男女の差を意識する必要があるのか疑問です。いちおう、義体そのものは女性型なのですが、1.0では「義体」がなんたるかを印象付けるためにも「女性の体に男性の声」としたのだと勝手に思っていました。けど、2.0では「女性の体に女性の声」にしてしまった。なんだか1.0のときに感じた衝撃がなくなりましたw
 男性の声でやったほうが「義体」の概念的特性が示されることは然りながら、男女差の問題が浮き彫りになってよかったと思います。どういうことかと言うと、「女性の体に男性の声」であることから、当然「声は男性だけどゴーズトの本質的な部分は女性」である可能性や「ゴーストそのものも男性であり単に義体が女性になっただけ」という可能性も想定できる。他にもいろいろ想定できる。だから、そこで「男女」という概念がどういうものなのかという問題提起を「女性の体に男性の声」である人形使いが暗に示していたと考えられるのです。まぁ、単なるプログラムに男女は想定されないけれど、そのプログラムが自立して人間っぽい身体を獲得したときに「男女」の概念をどう宛がうべきか、宛がうことはできないのか、様々な男女概念の問題を提起している。つまり、「男女」が身体的特徴によって規定されるのか、いわゆる「心」の問題として捉えられるべきなのか、いわゆる「ロボット」「人工知能」「アンドロイド」などと括られる存在に「男女」の概念は必要なのか、なぜ人間に男女があるのか、「男女」とは何たるかの本質的な問いかけが発せられていると受け止められると考えていました。
 その設定をあえて「女性の体に女性の声」と変更していました。何の目的でこの変更が行われたのか未だに見当がつきません。ジェンダー論やフェミニズムって面倒ですから、どっかの団体から抗議があったのでしょうかwより大衆に迎合するためにも面倒な設定は回避したということでしょうか。結局は、そういった「声」とか「姿」に「囚われる」ことこそ妄執であって攻殻の本質とはかけ離れたものなんでしょうが…。それを訴えたかったのでしょうか。

 攻殻はコミック、映画、テレビアニメと展開しており、それぞれがそれぞれの特徴を持っている。同じタイトルだけど決して同じコンセプトでまとめられるようなものではなく、それぞれに特徴があってそれぞれが成功している。映画では第一に映像であって、第二にその哲学的な側面の啓蒙として抽象的な問題を扱っていると見ていました。テレビアニメでは「警察モノ」みたいでドラマ仕立ての社会的な問題を扱ったものだったし、コミックは哲学的な側面もあるけど最近では神霊現象とコンピュータやネットの問題を関わらせてアプローチした斬新な内容を持っている。何度見ても飽きないものってのが「良作
」や「残るアニメ」の条件なんだと思っていますが、攻殻はまさしく今の時代を代表する作品だと思っています。
  1. 2009/04/19(日) 18:21:18|
  2. GHOST IN THE SHELL
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