土星蜥蜴の「筆のすさび」

日々雑感。 アニメ文化に関する気ままな評論・感想を書き連ねます。

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『GUN×SWORD ガンソード』全26話の感想。

「エレナは死んだ!お前が殺したんだ!!俺からエレナの死まで奪う気かっ。死んだやつはなぁ、絶対に生き返らねぇんだ!俺はそんな与太話を聞きに来たんじゃねぇ。俺はお前をぶっ殺しに来たんだ!!」
『GUN×SWORD ガンソード』#26「タキシードは明日に舞う」より

以下、ネタバレが多分に含まれますので、ご了承の上でお進みください。


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 あ~、楽しかった。すべての余韻を一掃する最後のオチが秀逸でしたwおまけの「ガンソードさん」と言い、いろんなところに遊び心があふれているのがガンソードのいいところ。そして、シリアスな部分では他の作品には見られない発想を示しているところも他とは一線を画するところ。シリアスとギャグのバランスが絶妙だったし、とにかく見ていて飽きなかった。加えて、何度も見たくなるような充実した内容を持っていた。世の中では「争いのない世界」とか「幸せな世界」っていうのを標榜することはよくあるけど、そのために他者存在や憎悪や悲しみの感情を排除することが優秀な方法であるかと言えば違う。他者がいるからこそ自己が規定されるのであり、悲しみや憎しみがあるからこそ幸せも成り立つ。そんな発想を物語に上手く織り込んで、パロディを交えて楽しく展開させたところにガンソードの秀逸さがあると思う。争いをなくすために他者存在を排除しようとか、幸せに感じるために悲しみや憎しみの感情を捨て去ろうっていうのは、あまりにも極論だしねwまぁ、とにもかくにも、ファサリナさんのことが大好きですww

■素晴らしくご都合のよろしい世界

 とは、鉤爪のお言葉です。。みんなで同じ夢を共有すれば、争いはなくなる。みんな同じ思想のもとに生活すれば、日々の不平等はなくなる。そんな素晴らしくご都合のよろしい世界を彼は作ろうとしたようです。しかも、自分の意志をエンドレス・イリュージョン全土に潜在化で共有させることによって、そんな状況を作ろうということのようです。ってことは、自分とは異なる意見を持つ他者が存在しなくなるし、当然、みんな同じことを考えるようになる。
 しかし、これはあくまで幻想に過ぎない。鉤爪の発想の欠点は「他者」が存在しないところにあるでしょう。彼の言う友達とは鉤爪ウイルスが入る器としての人間であり、決して自分と異なる意見を持つ他者のことを言うのではない。だから、反乱を起こした研究者を殺したときも、話し合いましょうとか残念だとか言いながら、結局は相手を殺してしまった。彼にとっては殺すことも自分の目的を達するためには仕方のないことだし、殺したところで神たる自分の行為の一部になるんだから無駄にはならないと発想する。確かにそれは都合がいいのかもしれないけれど、他者の存在しない世界というのは自己存在さえ定義が危うくなるという発想が抜け落ちています。
 少なくとも思考している今の自分がいるのだから、自己存在は真正であるという考えは確かに揺ぎ無い事実ではあると思います。しかし、それは自己がどうやって規定されるかといった部分には答えていない。その部分には、やはり他者存在がいないと自己を規定することはできないんじゃないのかな?日常の生活の中でも、多くの人とかかわりあう中で自己が規定されています。決して自己存在は自己のみによって成立しているわけではなく、複数の他者の視点が混雑して妥当と思われる一致点を見出すことで社会的に自己存在が認知されることになるんじゃないでしょうか。孤独にかつ生物的に生きる意味で自己は他者を必要としないのかもしれないけれど、少なくとも社会的に生きるためには他者というのは必要不可欠な要素だと思う。しかも、その他者は自分とは違った思考を持っていなければならない。他者であるからこそ、与えることのできる存在の保証っていうものがあるんだと思います。だからこそ、他者を認めない鉤爪の理想というのは成り立たない。それは何の変化もない、社会性を捨てた関係性でしかない。

「勝算も考えない純粋な衝動、そうでなくては、人は夢など見られないものです。」

 これってかなりの名言だと思う。言い得て妙な感じ。何事も論理的に考え勝ちだけど、結局は衝動こそ自己存在の証明でもあるのかもしれない。それこそ「我思う」の部分だろうしね。

■ガンソードの発想

「なぜ邪魔をする?」
「兄さんが間違ってるから…。」
「間違っているものか。導師が夢見た世界は、みんなが望んだ幸せの…。」
「そんなもの、誰も望んでないわ。幸せしかない世界なんて、おかしいわ。そんな幸せ、ないのと同じよ。それも、誰かに無理やりなんて、間違ってる。そんなの幸せじゃない。ただの、心の暴力だわ!」

「兄さん、みんなこの世界が好きなのよ。辛いこともいっぱいあるけど、だから好きなの!」

「そうよ、わかったわ。あの人は世界や夢という言葉で誤魔化して、本当のみんなを見ていないのよ。自分の我侭を押し付けるだけの人を、兄さんは、ただ信じたいだけなんだわ。あんな偽者を!」

 実は、ミハエルとウェンディのやり取りにこそガンソードのネタ明かしになる部分があります。それが上記のやり取り。とりもなおさず、鉤爪の言う「友達」とか「夢」とか「仲良し」とか「みんな」っていうのは他者存在を認めない傲慢で我侭なものでした。これこそ幸せという感情なんだよ~とアプリオリに洗脳してしまえば、誰しも幸せになるのは当たり前。しかし、それは押し付けられた幸せであって、概念的に強引に統一的な幸せを作ったに過ぎない。どうしても個々人が自発的に感じる幸せにはつながりません。幸福論はよくわからないけど、とにかく幸せの感じ方っていうのは人それぞれ違うからこそ幸せは難しい。
 ここでウェンディの言っている幸せとは、辛いことと相対的に位置づけられる幸せなんだろうか。辛いことがあるからこそ、幸せを感じることができる。幸せのみの世界になってしまっては、幸せも幸せではなくなってしまう。そういうことなの?確かに、言葉や概念の上ではそうなるんだろうけど…。
 ここで整理すると、作者の意図している鉤爪の発想というのは自己⇔他者において他者存在を消すことで世の中から争いをなくそうとします。そして、幸せ⇔辛いことにおいて辛いことをないものとすることで、なべて幸せな世界にしようとしています。要は、互いに対立関係にあるからこそ相互に成り立つ概念の片一方を消すことによって、対立関係のプラス側にある要素のみを取り出そうとしている感じ。まぁ、思考実験としてはいいんだろうけど、根本的に無理な考え方だよねw光があるからこそ影は生まれ、影が存在しないところには光も存在しない。概念として相対的な関係性にある自己⇔他者や幸せ⇔辛いことという軸の上に、その前提を否定するような片方を消すという発想は成り立たないよ。でも、そんなことを真面目にやろうとしたのが鉤爪であって、それを否定したのがヴァンでありウェンディだった。こういった仕組みを上手く物語の中に埋め込んだっていうのが妙技としか言いようがない。

■ヴァンの生きる意義

 ヴァンはとにかく鉤爪を殺すことに執着してます。主人公が最初から最後まで、その行動原理を憎悪に求める作品って珍しいと思う。しかも、憎悪の気持ちをなかば正当化したようなところがあるからねぇ。。
 ヴァンは鉤爪からエレナが生き返ると言って怒る場面がわかりやすい。エレナのために戦っているのであれば、エレナが生き返ることは嬉しいことのはず。だけど、ヴァンは喜ばない。それは、ヴァンが今まで行動してきた動機はエレナを殺されたことの復讐であるから、もしもエレナが生き返ってしまうと今までの行動が無意味になってしまう。ということで、この鉤爪の提案を喜んでしまっては、激しい自己否定を導くことになっちゃうわけです。だから喜ばなかったのかな?「俺からエレナの死まで奪う気か」っていうのはスゴイセリフだよね(^_^;)

■ミハエルの改心

 結局、ラストでミハエルは改心したんだろうか。。ちょっと省略ぎみだったから、そこらへんの心理描写がテキトーに流されてしまっていた。尺の関係もあったのか知らないけど、もうちょっと丁寧に描いてほしかったなぁ。。ミハエルはウェンディの言葉を聞き入れたんだろうか。いちおう、ウェンディのことは落石から守ってはいたけど、そのときの心情はどうだったんだろうか。鉤爪の言うこととウェンディの言うことを天秤にかけている段階のようには見えたけど、その結論がどうなったのか気になる。


■爺ファンタジー

 随所にパロディー要素が見られます。典型的なのがエルドラファイブの面々でしょうwいわゆる「戦隊モノ」をパロディーにした彼らは、ヨロイなんだけど合体ロボットに乗り熱く正義を語ります。。基本は戦隊モノを下敷きにしているんだろうけど、それよりも『魔方陣グルグル』の「爺ファンタジー」を思い出しちゃった。そして、「光魔法:カッコイイやつら」wwお爺ちゃんたちが正義の味方を頑張って気取ろうとするのが滑稽でしょうがないwそんな姿がグルグルの爺ファンタジーに重なって見えて、余計に面白かった。
 あと、ルー大芝みたいな口調のカイジもラストでまさかの登場とは恐れ入りましたw



 続編を希望します!まだミハエルとファサリナは生死不明なんだから、生きていることにして鉤爪のやろうとしていたことを受け継いで第二幕ってことで。今度は成長したウェンディたちに登場してもらいましょう☆まだ囚人惑星とマザーとの関係性なんかも具体的に明らかにはなっていないし、ミハエルの改心も描かれていないし、まだまだ続編を作る余地はある。っていうか、ファサリナさんをもっと出してくれ!!

テーマ:見たアニメの感想 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2009/12/10(木) 00:01:00|
  2. GUN×SWORD ガンソード
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