土星蜥蜴の「筆のすさび」

日々雑感。 アニメ文化に関する気ままな評論・感想を書き連ねます。

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『かんなぎ』全14話の感想。

「あの、聞きたいことが山ほど、あるんですが…。」
「それはこっちのセリフじゃ。ま、まずはそちからでよかろう。わらわは寛大じゃ。話すがよい。」
「あ、あの、俺、霊感とか結構強くて、でも、こんなにはっきり見えるのって初めてっていうか、あ、もしかして、あなたは幽霊、いや、そのぉ、木の精霊さんなんでしょうか?」
『かんなぎ』#01「神籬の娘」より

以下、ネタバレが多分に含まれますので、ご了承の上でお進みください。


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 なんで今まで見なかったんだろう…。全てにおいてバランスの取れた、かなりの良作でした。ラブコメを基調としながら、各所にパロディーを散りばめつつ、日本の神様観念なんかもしっかりと踏まえて作品世界の奥行きを安定して確保している感じ。よくパロディー作品になると、下品にも単に従来の作品を援用するだけになりがちだけど、かんなぎは整理した上で上手く作品に取り入れているあたりが憎らしい。っていうか、センス高すぎでしょwしかも、ラストのシリアス展開と言い、表現性の高い演出も随所に見られた。表層的に記号化されたキャラクターを並べ立てるだけではなくって、それぞれの内面なり人間関係から生まれる機微を丁寧に描いているところも素晴らしい。何より、最近の作品でよく見られるような動機なき主人公の行動やら文脈のない物語の展開といったものが感じられず、むしろ、ラストでは「なぜナギを助けなければならないのか」といった根本的な疑問にも突っ込みを入れているように、動機や文脈にも配慮の見られる展開が用意されていたところも好感触。仁の内面的な成長をも描き込むことができており、ジュブナイルとしても通用するんじゃないのかな?作画や演出に関しても目を見張る部分がかなりあった。エンターテイメント性も優れながら、なおかつ奥行きのある世界観とともに心情や人間関係の機微を描いているとは、非の打ち所のない感じ。すげぇなぁwwこんな作品を見逃していたとは、ちょっとショックがでかすぎるw

■絵は口ほどに物を言い

 物語の仕組みはよくある感じ。主人公が男で、まわりを女の子が取り囲むハーレム型。そして、部活のメンバーを交えることでキャラクターの掛け合いを増やし、なよなよした主人公を回りがチヤホヤするようなパターンかな。。普通はこういった場合に、主人公は女の子を遠ざけつつも女の子が寄ってくることに違和感を覚えることはないし、主人公は動機もなく女の子を守ろうとしたり、常に受身の姿勢っだったりと、特に山場もなく終わるものなんだと思う。よく部長や秋葉がギャルゲーを引き合いに出していたけど、そっちはそうなんじゃないのかな?
 なのに、仁はナギがいなくなって靴を投げちゃったりして荒れるし、ナギに対して存在の証明を求めるほどキツイことを直球で投げかけるし、ラスト三話の仁とナギの心理描写は具体的かつ繊細で冴えていた。
 全体的にエンターテイメント性を求めたのかギャルゲーっぽくまとめてはいるけど、そこらへんは弁えて本腰を入れた表現を行っていた感じ。一番良かった表現は、ナギが家出をした翌日に仁が家の鍵を一度は締めたんだけど、もう一度鍵を回して開けたまま登校したところだったかなぁ。あそこの仁の逡巡とナギへの密やかな思いみたいなのが、セリフではなくちょっとした行動にズバッと表れていて感心しちゃったwまさしく、#14で「設定を全部、口で説明しようとしている」のに対する具体的な解決法を示したようなもんだよね。いや、厳密には設定の説明ではなく心情の説明なんだけどね(^_^;)要は、セリフだけに頼らずに、絵でも語ろうとしている姿勢がいいってこと。この鍵の描写だけじゃなくって、細かい部分で気配りの行き届いた表現が目立った。

■物語を裏打ちする設定

 この作品の下支えになっているのは、やっぱり神様なんだと思う。表層的にはエンターテイメント的な要素を多く取り入れてはいるけど、それが浮付いちゃわないでいるのは背景に安定した神様関係の設定が裏打ちされているからだと思う。ナギの存在理由が曖昧であるところとか、八百万の神の捉え方とか、ご神木のこととか、かなり自然と思えるまで設定を煮詰めた感じがする。神様って意味わかんないのがデフォルトだからねw細かいところはちょっと首を傾げるような部分がないではないけど、全体的に無難にまとめていたと思う。
 もっとも典型的な部分は、シゲ婆さんの幽霊と会話しているときの場面。神様を前にして「四十九日」とな?これこそ日本的な宗教の実体だよねw四十九日って仏教なわけだから、八百万の神様を考える神道とは本来的には別な発想になる。だけど、そこが日本の面白いところ。神仏習合しちゃって、神宮寺のように神社の中にお寺があったり、両部神道のように仏教を神道に取り入れちゃったり、アマテラスが大日如来の垂迹だって言ったり、まぁ、日本人ってこんな感じなもんだからねwよく言われることだけど、一般人だって年末はクリスマスを祝って、大晦日にはお寺で煩悩を払って、年が明けたら神社に初詣っていう、そんなチャンポンな生活を送ってるからねwwまさしく、四十九日と神様の同居ってのは、そんな状況を体現したかのような表現だったwいや、おそらく無意識にやった表現なんだろうなぁ。。でも、そういった発想が自然と出てくるっていうのも、安定した世界観の土壌を持っているからこそだと思う。

■秋葉と部長の役どころ

 秋葉のキャラクターがツボったwあのウンチクがたまらないww彼の背後には倉田さんの影が見えて仕方ないんだけど、コミックではどうなってるんだろうか…。でも、彼の言動を見ていると、この作品の楽屋内がどんなことを考えているのかがわかる気がする。。いわゆる「マンガスクールの審査員」的な視点からの物言いも多かったけど、それを言うだけあって、実際に気配りの行き届いた表現が多かったんだよね。。彼と部長がいてくれたおかげで、細かいパロディーちっくなシチュエーションも明確にギャグ要素として作用させることができていたし、それを明言して自分達で批評しているだけに理解した上でやってることなんだと視聴者にもはっきりと伝わってきた。エンターテイメントのためにやってるんですよぉ~って言い訳じゃないけど、弁明にもなるしねwおかげで、キリっと引き締まった感じになったと思う。



 秋葉が「宇宙規模で繰り広げられる善と悪の戦いは、一度でいいからテーマにしてみたくって…。」って#14で言ってたけど、これって脚本の倉田さんのホンネなの?wどうしても秋葉が倉田さんに見えて仕方なかったwwこっちも一度でいいから倉田さんの宇宙を舞台にしたアニメを見てみたいよ。。いやぁ、遊び心を忘れないで、なおかつシリアスにまとめあげるって手法は見事でした。さて、もう一回かんなぎを見直すとしますかw

テーマ:見たアニメの感想 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2010/01/12(火) 03:12:10|
  2. かんなぎ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:1

コメント

こんばんは、いつもTB等でお世話になっております。ゲームやアニメについてぼそぼそと語る人の管理人のピッコロでございます。
記事とは関係のないコメントで大変失礼いたします。

お忙しい中「今期終了アニメ評価をしてみないかい?6」の企画に参加して頂きありがとうございました。お礼に伺うのが遅くなり大変申し訳ございません。
最終集計結果については現在当ブログにて発表を行っておりますので、一度見て頂けると幸いです。


そして今回も、「今期終了アニメの評価をしてみないかい?7」と題しましてアニメ評価企画を立ち上げております。また、この企画に賛同して頂けるのであれば是非参加していただければと思います。

なお、投票方法等についての詳しい事は以下の記事に記載しておりますのでご覧ください↓
http://blog.livedoor.jp/koubow20053/archives/51396146.html

宣伝失礼いたしました。どうか今後とも末永いお付き合いのほど、よろしくお願いいたします。
  1. 2010/01/13(水) 21:07:48 |
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  3. ピッコロ #-
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