土星蜥蜴の「筆のすさび」

日々雑感。 アニメ文化に関する気ままな評論・感想を書き連ねます。

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『デュラララ!!』#02「一虚一実」の感想。

「あなたが見ている現実は、本当に現実なのだろうか。見慣れた風景はいつもと変わらず、どこにでもある日常が今日ここにも広がっているのだと信じてはいないだろうか。東京に出てきたばかりの内気な少年、少し浮世離れしたような少女、一人だけ幸せそうな少年、どこか影のある少女、あなたの周りにいくらでもいるような人々。どこかで見たような、ありふれた光景。けれど、ふとしたきっかけで、現実は見知らぬもう一つの現実を垣間見せることがある。」
『デュラララ!!』#02「一虚一実」より

以下、ネタバレが多分に含まれますので、ご了承の上でお進みください。


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 前言撤回、『バッカーノ!』からは確実に進歩している。やばい!!面白い…wナレーションで内面まで語ってしまうのは玉に瑕だけど、物語の切り口が鋭い!!やっぱり現実と非現実の曖昧な境目を捉えているところは前回の感想に書いた通りだけど、思った以上に「全員が脇役」っていう発想は意識的に描かれている様子。これ、ちょっと画期的な作品になるのかもしれない…。でも、やっぱり『バッカーノ!』の最後で新聞社の副社長が語っていた物語論が根底にあるんだろうね。。そこらへんの視点は相変わらずっていう感じ。

■セカイ系への反抗と主役の否定

「まるで現実ではないような感覚だった。この身体の感触は紛れもない現実だった。少女は、温もりの向こうにあるものを思った。何を考え、何を知り、どのように生きてきたのか。この人の目に、自分はどう見えているのだろうか。」

「どうして?そうだねぇ。それに対する答えは、君にとって、とても哲学的に聞こえると思うよ。それでもあえて説明すると、人間が好きってことかなぁ。人間ってものが面白くて、興味深くて、仕方ないんだよねぇ。あぁ、あくまで好きなのは人間であって、君じゃないから。ここ、重要。」

「ついでに言うと、君の生態は予定通りで退屈だったよ。最初から死ぬ気ないのはわかってたからねぇ。それじゃぁね、楽しかったよ、マゼンダさん。」

 今回の話って、いわゆる「セカイ系」の否定だよね?そもそも、セカイ系っていうのは定義が曖昧だから、今まであんまり使ってこなかった言葉なんだけど。。要は、主人公など中心的な人物の認識する世界によって、その作品の世界観全体が一元的なものとして集約・描出されるっていうこと?本来なら、世界認識っていうのは膨大な人間の客観が集まってなされる「妥当の一致」のような経過があって成り立つから、一人の人間の個人的な認識が世界とイコールになるようなことはありえない。だけど、まるで自分の捉えている世界の像がすべてであるかのように錯覚させたり、したりする。それがセカイ系ってやつなんだと思う。よく世界の崩壊とか救済とか、そういった結末と結びつけて考えられるみたいだけど、それは単なる瑣末な結果でしかなくって本質じゃないと思う。具体的な作品で言えば、『新世紀エヴァンゲリオン』の碇シンジが「セカイ系」的な主人公の典型なんだろうと思う。
 それに対し、『デュラララ!』では「自分だけの時間」「自分だけの世界」っていうものを否定している。それこそ、首なしライダーに自分がどう見えているのかという、他者の時間・世界を汲み取る姿勢が垣間見られる。だからこその主役の否定だし、全員が脇役のような配置になったんだろうと思う。主役っていうのは、ある意味では他者の存在を否定するような特権を持っているわけだから、セカイ系の資質は十分にある。けれど、主役がいない世界で多くの人間が有機的にかかわりながらドラマが進むとなれば、それは別の話。いろんな人物の物語や生き方が交錯する中で、自分の立ち位置が生まれてくるっていうのは、まさに「妥当の一致」における世界認識の成立を意味するものだと思う。だから、「少女の知らないところで…」っていうセリフが何度か出てきたんだろうし、そういった複数の視点から立ち上がる世界像こそが「現実」と言えるのかもしれない。「彼にも、そして彼女にも、見えているものが現実とは限らない。」っていうのが決定的な言及だったかな。 大事なのは、セカイ系と呼ばれるような作品がひしめきあう中で、こういった反抗的な作品が出てきているっていうこと。

■虚構の介在する余地

 要は、世界認識っていうのは複数の視点があって成り立つものだということを前提にすると、そこには至って個人的な世界の認識との齟齬が生まれることになる。
 マゼンダちゃんからすれば、父親の不倫っていうのは悪いこととして映ったし、写真を母親に流したところで何も話題にならない様子には嫌悪感が生まれたと思う。だけど、彼女の知らないところでは何か彼ら両親に物語があったのかもしれない。それが、彼女には表立って見えなかっただけ。
 こんな感じで、「現実」っていうのは認識する主体によって「真実」が変わってくる。よく「真実はひとつ」とか言っているけど、あれは捉え方によっては眉唾ものなんだよねw真実は人の数だけあるだろうし、同時に一つでしかない。不倫についても父親の物語と母親の物語と娘の物語と、それぞれ認識は三人分あることになる。だけど、実際に起こっている事象は一つでしかない。そこに「勘違い」が生まれる原因があるんだろうね。
 マゼンダちゃんは自分の見ている世界がすべてであると思っていたからこそ、親への嫌悪感が真実であるかのように錯覚してしまった。具体的な事象は別に嫌悪感を抱くようなことではなかったのかもしれないし、後日談的に語られたラストの部分では実際にそうなっていた。その「勘違い」の部分が現実の中に「虚構」を介在させる余地を与えることになるんだろうね。真に具体的な事象を忠実に見つめるならば、それは間違いのない現実になるんだろうけど、人間ってものはそんな無機質になれない。どうしても自分という単一の視点から見ていることが真実であるかのように思ってしまうから、そんな個人的な認識が実際の事象であるかのように錯覚してしまう。そんな環境の上に、現実にオーバーラップする虚構っていうのが立ち上がってくるんだろうと思う。

■演出の手法

 OPの途中に回想を挟み込む手法ってのも珍しいよね。そんなことより、ナレーションで狂言回しをやるってのはどうなんだろ。鳥瞰的な視座からものを述べるから、あのナレーションが小説で言うところの地の文になるわけだ。だけど、ちょっとキャラクターの内面にまで踏み込みすぎじゃないのかな?あれじゃぁ、せっかくのセリフが台無しじゃないか。。すべてを説明してまうと、表現の揺らぎがなくなっちゃって、面白みが半減しちゃうよね。
 ただ、ナレーションがあったからこそ、全員が脇役のようなカオス的な状況にも関わらず、一筋にまとめあげられるんだろうけど。そう考えると、ナレーションのない主人公の視点から語られる作品ってのは、意外とセカイ系の素質を持っているのかもしれない。そこらへんの危うさを否定するには、ナレーションがどうしても必要なのかもしれないね。

■理論優先の物語

 「甘い煮物の味」とか「体面ばかりを気にする親」とか、割とセリフは陳腐な感じのものが多いんだよね(^_^;)そこらへんは原作者の作風なんだろうけど。思えば、この人ってメタな発言をメタと思わせないように滑り込ませるのが好きなのかな?「人間が好きってことかなぁ。人間ってものが面白くて、興味深くて、仕方ないんだよねぇ。」っていうセリフも、なんだか作者の影がちらつく感じ。『バッカーノ!』の副社長のセリフもそうだった。この人って、人間の背景にいろんな物語を感じながら世界を見ているんだろうなぁ。。
 っていうかさ、マゼンダちゃんはなぜ親を許したの?ナレーションで語ってしまったから、変化の文脈を描かれずにマゼンダは納得したみたいになってたけど…。ちょっと丁寧に描いてほしかったかなぁ。。それに、いつコンタクトにしたの?髪形はいつ変えたの?メールのやり取りをしてから、そんなに時間は経ってないと思うんだけど、どうもそういった姿の変化についても文脈を欠いていたように思う。
 どうも、セカイ系のこととか、全員が脇役的に様々な人の物語の交錯を描こうとすることとか、自殺する気のない自殺志願者とか、そういった理論的な筋書きが予め用意されていて、それに従って物語を進めた感じがする。だから、たまに理論が優先されちゃって、具体的な事象としての文脈が欠落していることがあるように感じる。ちょっと配慮のない感じがするかな。。



 マゼンダちゃんが超可愛いんだけど…!あの頑張っちゃった感じの初々しさは何とも言えないねぇw遊郭の「ご新造」みたいな良さがあるよ、って、遊郭なんて行ったことないけどねwwたまらんなぁ。。いやぁ、木曜日の深夜が楽しくなってきた!!この作者って、人間観察や人間ドラマが好きなんだろうなぁ。。その点は『バッカーノ!』でも言及があったことだし、一貫して描かれていることだと思う。同じ定規を使って今の日本を見つめると、どう映るのかっていうような、そんな進歩というか新鮮味があった。不作が続く昨今、潤いを与える作品がついに!って感じかなw

テーマ:デュラララ!! - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2010/01/15(金) 05:29:05|
  2. デュラララ!!
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