土星蜥蜴の「筆のすさび」

日々雑感。 アニメ文化に関する気ままな評論・感想を書き連ねます。

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『老人Z』の感想。

「これをご覧ください。ただいま、高周波によって毛穴の中の垢までが洗い流されております。入浴は定期的に行われるようプログラミングされてはおりますが、その日、その季節によって、発汗状況を読み取り、入浴の回数・長さ・湯温の決定がなされます。」
『老人Z』より

以下、ネタバレが多分に含まれますので、ご了承の上でお進みください。


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 驚いたwスタッフすごすぎでしょww今のアニメ界を引っ張っているような人々だらけじゃないか(^_^;)作画とか見ながら名立たる人が描いているとは思っていたけど、まさかこんなメンツだったとは…。メカニックデザインは言わずもがな、ウネウネ動く配線とか、メカの動きとか、カメラワークとか、細部にわたって細かく工夫と描き込みがなされていた。当時はセルでしょ?大変だったろうなぁ。。でも、どことなく楽しそうに作ってる雰囲気が伝わってくるから不思議なもんだ。。いろんなところに細かいギャグも仕込んでるしねw中身はと言えば相変わらずの大友さんらしい内容で、『迷宮物語』とか『スチームボーイ』なんかとのつながりを強く感じるようなものでした。そうそう、神山監督の攻殻に似たような話がいくつかあったと思ったら、美監補として関わってたんだね。。う~ん、この作品って中身は別に大したことやってるようには思えないけど、作画の方面ではかなり画期的かつ先駆的な作品なのかもしれない。特に、現在では一線で活躍している人たちが寄り集まって作っているっていうところがすごい。。

■老人問題そっちのけのロボット暴走

 正直、何がやりたいのかわからなかった。老人問題を扱いたいのかと思えば決してそうではない。むしろ、ロボットの暴走に翻弄される人間たちを描くことに主眼があって、最後はドタバタな展開を用意しつつギャグテイストで締めくくった感じ。題名だって老人を冠しているし、序盤は老人への愛情だの倫理観だのを考えていたような場面もあったから、てっきり社会問題としての老人を扱うのかと思ってしまう。けれど、その実体がないんだよねw
 そもそも、老人の世話をしていたのが晴子さんというボランティアだという時点で矛盾が生じてくる。序盤では介護ロボットで老人の世話をすることが愛情が足りないだの家族の世話がどうのと言うけれど、元から晴子という介助人に外部委託していることからして根本が間違っている。もしも老人問題を扱うのならば、なぜ家族ではなく晴子が世話をしているのかといった問題を取り上げなければ話として不完全になってしまう。そんな事実を取り上げることなく、ロボットで介護することは愛情のない行為だとかって言うのは筋が通らない。もう、この時点で老人問題を扱おうっていう気がないってことは明白なんだよね。。ってことで、結局は老人問題を扱っているような体裁を取ってはいても、実のところ描いていることはロボットに翻弄される人間ってところなんだと思う。
 そういった矛盾というかボロは他にもある。第一、社会問題を扱うにしてはリアルさが不足している。あんな高価そうな機械を全世帯に普及させるだなんて、どこからお金をひねり出すのか検討もつかない。ただ、それも軍事兵器としての機械の実験としてテスト機を運用したっていうことならわかるけど、そんな穴だらけの計画を厚生省の役人である寺田が真正面から信じているっていうところも微妙。役人ならそれくらいのこと、気付くはずでしょ?それに、警察が令状もなしに家に踏み込むこともありえないし、技術屋の長谷川のバックにペンタゴンがあることを匂わせていながら具体的な設定は与えられていないし、どうにも刃こぼれが目立つ。経済的にも社会的にも倫理的にも、実際の社会においてどうなのかといった考證が不十分であると言わざるを得ない。
 そうなると、老人問題を社会的にどう問題になっているのかといったような社会的な視点からの筋立てを考えるのではなくって、やっぱりロボットに翻弄される人間やらロボットの暴走やらを取り上げた物語だと解釈するべきだと思う。タイトル間違えたんじゃないのかな。。っていうか、間違えたというよりも、軽いノリで作っているような気がする…w
 確かに、大友さんの作品って、こんなテイストのものが多い。『迷宮物語』での「工事中止命令」は正しく今回の第六世代コンピューターの暴走と似たような設定だったし、『スチームボーイ』での科学万能主義への批判みたいなところも共通する部分が多い。生活を便利にするために様々なロボットやコンピューターが作られるけれども、その影でいつのまにか人間側がロボットやコンピューターに踊らされるようになっているという滑稽な構図が特徴なのかな?すると、物語の筋書きとしては大友さんの他作品と比べて大して差のないものだと言えるのかもしれない。

■神山監督『攻殻機動隊S.A.C.』『攻殻機動隊S.S.S.』とのつながり

 当然、神山監督の『攻殻機動隊』のほうが、よっぽど後の作品になる。だから、影響関係は『老人Z』⇒神山『攻殻機動隊』になる。まぁ、大友さんの考えている第六世代コンピューターっていうのが、士郎正宗『攻殻機動隊』とどんな影響関係にあるのかっていう点は不明なんだけどねw
 たとえば、『攻殻機動隊S.A.C.』の#02「暴走の証明 TESTATION」で剣菱重工の多脚戦車暴走の事件は、そのまんま老人Zが鎌倉へと暴走するところと似ている。それに、『攻殻機動隊S.S.S.』の「貴腐老人」ってのも、しっかりと『老人Z』の設定を受けているものと思われる。換骨奪胎というか、両方とも発想としてはまったく同じと言ってもいいくらい似ている。話の筋立ては変えているから神山さんなりの表現として別物にはなっているけど、根本の部分は共通していると言ったほうがいいのかな?ちょっと、攻殻から遡れるアニメを見つけることができて嬉しくもなる感じですw



 いったい誰がミニスカ好きだったんだろうw最初の場面で脚を舐めるように映すところがあったけど、あれは完全に誰かの趣味だよねwあんなミニスカでロボットをよじ登るだなんて、どんだけ無謀なんだよwwスタッフのクレジットを見ると本当にスゴいアニメーターが結集していることがわかって、オールスターと言ってもいいようなメンバーの集まり具合に本当にびっくりした。こんな豪華な作品って絶対にもう作られないでしょ。。『新世紀エヴァンゲリオン』で綾波レイがシトに身体を浸食される場面があったけど、あれと同じ映像表現が『老人Z』にもあったんだよね。。。いやぁ、なんだか歴史を感じるなぁ(^_^;)

テーマ:見たアニメの感想 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2010/01/28(木) 01:50:39|
  2. 老人Z
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