土星蜥蜴の「筆のすさび」

日々雑感。 アニメ文化に関する気ままな評論・感想を書き連ねます。

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『とある科学の超電磁砲』全24話の感想。

「私、教室にいると、なんだか息苦しくて…。なんか、責められてる気がして…。」
「なんでよ、みんな同類じゃん。」
「えぇ、みんな同類だから…。同類ばっかり集められて…。こういう講習、この先もあるんですかね。。」
「さぁ、でも、もしそうだとしても、仕方ないと思う。仕方ないんだよ…。」
『とある科学の超電磁砲』#14「特別講習」より

以下、ネタバレが多分に含まれますので、ご了承の上でお進みください。




 いやぁ、良かった。。中心になる御坂・白井・初春・佐天の四人の内面を丁寧に描きながら、合わせて社会の矛盾や人間模様みたいなものが浮き彫りになる感じになっていたと思う。御坂の正義感と行動力は物語を牽引する力として上手く働いていたし、白井の変態ぶりはアクセントとしていい持ち味を出していたwそれに、今回の話の主役はなんといっても初春と佐天の二人だったんじゃないのかなぁ。。初春の純粋さがかえって社会の問題を浮かび上がらせるようになっていたし、佐天がレベルアッパーに手を出した後に罪悪感に苛まれる場面を余情的に描いたのは素晴らしかった。そんなシリアスな内面描写をしっかりとやっておきながら、黒子の強烈なキャラとともにウケのいいネタをたくさん仕込んでいたこともバランス感覚の良かったところだった。流行のラノベ的な軽い感じのキャラ属性を入れ替えただけのアニメってだけじゃなくって、しっかりとした中身をともなった作品に仕上がっていたことが最大の長所だと思う。上手い具合にシリアスとギャグが両立できていたかなぁ。。それにしても、後半部分は少し蛇足気味だったようにも思うwやっぱりAIMバーストとの対決が終わったあとの、佐天の憂鬱みたいなものが一番のポイントだったように感じた。ちなみに、前半部分の感想については#12「AIMバースト」に書いてあるので、そちらもご参照あれ。

■佐天涙子の憂鬱

 レベルアッパー事件に関して、その主題は無能力の人々が抱くやる方のない劣等感のようなものだった。この作品の社会は「レベル」で示されているように、すべて一元的な価値体系のもとに考えられた能力社会になっている。そんな社会の中では、社会に適応することのできない無能力者が出てくるのは制度的に当然のことであって、そういった人々がどう社会に関わってくるのかといった問題を扱っていたように思う。佐天はそんな劣等感を抱く人物の代表として登場してきていたし、AIMバーストはそういった人々の総体として不満の爆発を象徴的に描いたものだった。これって、結局は今の現実社会への問題提起みたいなものになっているというか、実際になんとなく社会に内在している意識を汲み取ったような設定だったように感じた。
 まぁ、AIMバーストを御坂が処理したところが物語の山場になっていて、#14「特別講習」が最終回的な雰囲気だったかなぁ。一時はレベルアッパーに手を出して能力を獲得した佐天だったけど、そのために失いそうになった友達という存在によって自らの行動を後悔することになるんだよね。。その後悔の話が特別講習だった。ずっと無口で、よく俯いた場面が描かれるんだよねぇ。他の友達がみんな「帰りたい」とか言っているのに、一人だけ無口なまま下を向いていた。。それに、グラウンドでの持久走でも一人だけ頑張ってずっと走っていたんだよね。。不良の女子高生からは「チッ」とか言って、佐天の優等生ぶりを嫌う描写もあったけど、あの別に普段は真面目でもない佐天が空気も読まずに必死に走っている姿は良かった。なんでもないキャラだった佐天がレベルアッパー事件を通して精神的に悩んでいるっていうこともいいけど、昏睡状態から快復してから気重にレベルアッパーを使ったことを悔いているところが何とも言えず良かった。お守りを握っているように家族との関係から能力への憧れもあっただろうに、やっぱりズルして背伸びしたところで代償が大きくって、そこから立ち直ろうとするかのごとくに寡黙に淡々と講習を受ける姿が冴えていた。

「諦めたら、そこで終わるジャン!」
「似てるwでも、それってキレイゴトだよねぇ。」

 確かに、普通に考えれば、あの状況って懲罰に思えてしまうんだろうし、「諦めたらダメ」とか言う青臭いことを言われても無能力者に対する無理な強要にしか受け止められないのかもしれない。佐天だって、普段ならそう考えるようなキャラだったと思う。それなのに、彼女は黙って走るだけだった。ここの内面の変化っていうのが、言葉少なに表現されていたと思う。最近のアニメって、わかりやすくするために何でも言葉で説明しきっちゃうところがあるんだけど、この話では言葉にせず佐天の寡黙な表情から余剰表現として憂鬱な気持ちが伝わってきた。

「ズルはよくないから…。ズルしたんだから、罰は受けて当然だと思う。」

 なんかこう、しょぼーんとした佐天がたまらなかったwこんな感じで内面を取り上げる作品が少ない今日この頃、きっと飢えを感じていたんだろうね…。本当にこの回が最終回だと思うよ。

■黒子と初春のケンカ

 そんな佐天の憂鬱で大筋を終えたあと、スキルアウトの話で無能力者の現状とキャパシティダウン装置の布石を打ち、次に鉄装綴里と寮監の話を挿み、最後にポルターガイストで締めくくるって感じだった。やっぱり#14が最終回だったよw最終話では佐天がレベル0だっていう特性を生かして、キャパシティダウンの制御装置を壊す場面があったけど、あれも付けたしって感じで細かくは描かれなかったよね。彼女が自分の役割に少し気付いたっていうところは良かったけど。。基本的には後半部分はただただ御坂の正義感と黒子の変態ぶりが突出して描かれただけで、それほど内面に迫ったような部分はなかったように思う。上手いこと伏線を最終話で回収しながら無事にオチをつけていたけど、そんなに印象は強くなかった。
 にしても、#21「声」の最後の最後の場面で春上が絆理ちゃんの写真を出したときは悪寒が走ったよwまさか、こんな展開を用意しているとは思わなかったし、死んだように描かれていた絆理が春上にテレパシーを送っているだなんて、なんというホラーなんだっていう感じだったw後半は伏線の張り方と物語の絡め方が上手かった感じ。

「いつまで、そうやって泣いてるつもりですの。他にもっとやるべきことがあるでしょう。いつになったら、ジャッジメントの初春に戻ってくれますの?」

 そんな中でも、#22「いま、あなたの目には何が見えてますか?」での黒子と初春の会話は良かった。初春は純粋だからこそ、自分のせいで春上がテレスティーナの手に堕ちてしまったと自分を責めるんだけど、そんな初春に容赦のない張り手と言葉をかけるあたり、ここが後半部の一番に内面がよく描かれていた部分だと思う。このあとの、初春が泣き声を押し殺しながらもパソコンに向かおうとする姿勢が切なかったし、その背後で張り手をした手を痛そうに押さえている黒子の背中が見えるのも良かった。その後ろで苦笑している佐天だけは大根な演技だったけどねwwここでの初春と黒子の演技はすごく印象的だった。



 やっぱり、こういう作品って力があるよね。。ツンデレだの変態だのといったウケのいいどうでもいい設定も漏らさず押さえながら、なおかつ内面を描くところは丁寧にプロットを組んで表現されていた。そのバランス感覚が良かったし、シリーズ構成としても緻密に組まれた感があった。単にツンツンデレデレなアニメってだけじゃ、そのときは面白がられても後で見返されることはないもんね。。骨のあるところを見せながら、それでもクールに流行りを取り入れているところが最高にイカしていたと思う。

テーマ:とある科学の超電磁砲 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2010/03/20(土) 00:01:00|
  2. とある科学の超電磁砲
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