土星蜥蜴の「筆のすさび」

日々雑感。 アニメ文化に関する気ままな評論・感想を書き連ねます。

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『デュラララ!!』#18「死生有命」の感想。

「わかってるんだろ!?俺は…、俺は逃げたんだ。足がすくんで動けなかったんだ。」
「あぁ、知ってる。ついでに言うなら、今もあの子から逃げてるしなぁ。」
「俺に、そんな彼女を騙せって言うのかよ!本当の彼女を見捨てて逃げた俺に!!」
『デュラララ!!』#18「死生有命」より

以下、ネタバレが多分に含まれますので、ご了承の上でお進みください。




 正臣の悩みっぷりがいいねぇ。非力だった中学生のころの行動を後悔しつつ、そのトラウマを払拭しようと奔走するひたむきな姿勢が好ましい。今までずっと彼の影を描くことなく、ここにきて過去を展開させるっていうのが憎い演出だなぁ。一気に物語全体を正臣の影が包んで、今までの物語に新たな意味合いを与えていく感じだった。あの、あっけらかんとして大人ぶっていた正臣が、青臭い悩みに翻弄されるっていうのが強く印象に残る。

■トラウマに立ち向かう正臣

「言伝を頼まれた。あの子の病室からだとこのへんは丸見えなんだよ。いつも来てくれてありがとう、だとよ。あの子には、お前は途中でブルースクウェアの連中に囲まれて、ギリギリ間に合わなかった。そう伝えてある。彼女はお前を憎んだりはしてなかったぜ。じゃぁな。」
「なんで、なんでそんなこと言ったんだよ。そんなこと、俺がいつ頼んだ!」
「やめろって頼まれても、俺は彼女にそう伝えただろうぜ。」
「わかってるんだろ!?俺は…、俺は逃げたんだ。足がすくんで動けなかったんだ。」
「あぁ、知ってる。ついでに言うなら、今もあの子から逃げてるしなぁ。」
「俺に、そんな彼女を騙せって言うのかよ!本当の彼女を見捨てて逃げた俺に!!」
「おい、調子に乗んなよ。逃げたことに罪悪感を覚えてんなら、一生ウソを付いてるっていう気まずさぐらい背負い続けろ。それが彼女にしてやれる償いだろうがよ。それでもあの子にウソはつきたくねぇってんなら、逃げねぇで、ちゃんと向き合って言ってやれ。過去から逃げるのは許してやる。だけどな、せめて今と明日からは逃げんじゃねぇよ!」

 今回の正臣はボロボロだったねぇ。。今まで明るいキャラとして通してきただけに、かえって影が色濃く見えるように演出されているように思える。要は自分のせいもあって沙樹に重傷を負わせてしまった引け目があり、その軟弱な自分自身の精神に嫌気がさしたっていうところだろうか。沙樹のケガの直接的な原因はブルースクウェアの泉井であって逮捕もされているんだけど、沙樹がさらわれる遠因を作ったのはブルースクウェアとの抗争の勝利に酔っていた正臣にあった。これじゃぁ、沙樹に顔向けできないよねぇ。。ってことで、いつもお見舞いは直接会うこともなく、病院の中に入ることはできていなかった。
 ドタチンって、こんなにお節介だったっけ?w正臣が自分の力で彼女を助けられなかったことを悔やむのは解るけど、実際の救出がドタチンたちの手で行われたことは別の問題だと思うんだけどなぁ。。正臣が間に合わなかったことは仕方のない部分があるように思えるんだけど…。変にドタチンをかっこよく演出してない?wドタチンから「許し」をもらう必要もないことだし。

「なんで沙樹がヤバイってのに、俺は足がすくんでるんだよ。」
「俺は非力な、ただの中学生だった。」

 結局は「中学生だった。」の一言に尽きるんだろうね。正臣は「自分を肯定してくれる誰かが欲しかった。」わけで、そのための黄巾賊でもあった。だから、沙樹との付き合いも進んでいった。どちらも正臣にとって楽しい付き合いだったんだろうし、ブルースクウェアに勝利するたびに喜んでいる様子はゲームに勝って喜ぶ子どもと同じような描き方がされていた。だけど、ブルースクウェアが中学生相手に大人気なく誘拐まで働いて、沙樹が骨を折られるに及んで、ようやく正臣が首を突っ込んでいる世界がゲームじゃないということがわかる。そうなると、一気に責任だとか罪悪感といった負の重圧が自分にのしかかってきて、それで足がすくむことになるんだろうと思う。沙樹が誘拐されたのはブルースクウェアとの抗争をケンカの延長と考えていた自分のせいだし、ブルースクウェアを追い詰めたのも臨也の戦略を取り入れた自分の判断によるものだった。単なるガキ大将くらいのつもりだったのが、いつの間にやら大人の領分に入り込んじゃっていて、尻込みした感じだね。そのためか、今回の黄巾賊復活に際しても、大人が介入してくることを嫌っていた。

「俺は来良を賛美する言葉を打ち込み続けた。寂しかったんだ。帝人と話すと、心が落ち着いた。」

 正臣は背伸びをしたい中学生だったし、今もそれは変わっていない。沙樹とは直接会って話すことができるようにはなったけれど、臨也との関係も含めて清算しきれずにいる。自分を認めてくれる帝人や杏里といった友人を守ることもできず、高校生になっても「足がすくんで動けなかった」ころと変わらずにいる。そんな思いから、思い出したくないことを思い出させる黄巾賊への復活へと踏み切ったんだろうか。過去のトラウマを清算し、今の友人を守り、自分を変えるために、切り裂き魔に立ち向かう姿はかっこよかった。ジュブナイルとしては王道みたいな展開になってきているよねwこれからの内面的な成長が期待されるキャラクターだ。
 それにしても、臨也の目的や沙樹との関係は具体的に描かれなかった。次回での話になるんだろうか…。それとも、ただの生態観察の一環だったのかな?w

■人の葛藤を楽しむ臨也

「蜜月が濃ければ濃いぃほど、それが崩れたときの絶望は高く高く燃え上がるもんだよ。」

 さすがに帝人×正臣×杏里の三つ巴状態は作為が過ぎるwこんなに上手いこと配置できないでしょ。。確かに、この三人が互いの素性を知ったときの反応ってのは面白そうな気もするけど、逆に蜜月の関係だからこそ理解し合ってしまう可能性もある。それを考えれば、あまり戦略的に優れたものではないと思うんだけどなぁ。。ここらへんは劇的というか、演出として面白そうな方向を目指しての作為としか受け止められない部分でもある。
 臨也がトランプを眺めているときに、ジョーカーを見たときだけ表情が曇った。あれって、誰をジョーカーだと想定したのかな?森厳っていう感じもするけど、ネブラ全体のようにも思える。なんだったんだろう。。それとも、自分をジョーカーに見立てて、他のカードと同種でないことをコンプレックスに思ってのことなんだろうか。ここらへんの臨也の影の部分って、今までも取り上げられたことがなかったよね。っていうかさ、「見ろ!駒がゴミのようだ!!」とは、あからさまなムスカだよねw

「正解。今のは俺に怒りを向けて当然だ。明らかに、悪意を持って君をからかったわけだから…。」

 臨也が正臣に手を出していたことの理由がわからない…。なぜ正臣の傷をえぐるようなことを言うんだろうか。。今までも人の弱みや傷につけこんで、それをいたぶって楽しむような場面はいくつかあった。というか、臨也はそれしかやっていないようにも見えるwその延長と考えることもできるけど、今回ばかりは沙樹に重傷を負わせるような事態になってるしねぇ…。なんだか、話がでかすぎるだけに、いつもの楽しみだけではないようにも感じられる。とは言え、まだ具体的な描写がないから、わからないw

■臨也の考える「神」

「未来でさえ確定していない世の中で、過去は確かに存在している。たとえそれが、誤解や妄想に彩られたことだとしても、本人がそれを信じるなら、過去は確かに真実に他ならない。それに基づいて行動を、あるいは生き様を決めるというのなら、それは確かに、神の一種じゃないのかなぁ。」
「君はもう、彼女から逃げられないよ。彼女への罪悪感は過去となり、彼女は君にとっての神になる。」

 自分の行動原理を「過去」によって規定することを「神」と呼ぶらしい。そして、正臣の生き様に大きな影響を与えてくる沙樹という存在もまた、彼の存在を規定する「神」として考えるのかなぁ。。つまり、自分の生き方や言動といったものを規定してくる存在のことを「神」と考えているようで、臨也は唐突にもこの話を切り出した。ここらへんの沙樹が正臣にとっての神になるっていう発想は、沙樹が正臣に対して「きっと私のもとに戻ってくる。」と言う意味とつながるんだろうか。それにしても、沙樹のケガに対する正臣の罪悪感の話から、ずいぶんな飛躍があるようにも思うなぁw
 こういった「神」の考え方は『攻殻機動隊S.A.C.』の中でも出てきていた。タチコマがバトーに神について質問している場面で、「ゼロ」は他の数字の体系を体系たらしめるための存在であるというような結論を導き出していた。そのデジタルなものが「ゼロ」であって、そのアナログ版が「神」ということになる。世界を世界たらしめるための秩序のおおもとというか、「有」を成り立たせるための「無」の存在というか、なんていうか。言ってしまえば、他の存在を規定する存在っていうこと。疑うべくもなく、自分の存在の前提とするべき存在のこと。それがなければ、今の自分がなぜ存在しているのかを証明あるいは想定することができない。それを「神」と考えるんじゃないのだろうか。今回の臨也の言っている「神」の発想はそれに近いと思う。
 ただし、臨也の言う神にはブレがあって理解できない。駒に火をつけていた場面でも、世の中を操っている俯瞰の位置にいることを「神」だと言っていた。それに、ヴァルキリーによって天国へと連れて行ってくれることに関しても、少なからず期待をかけている。神なんてものを信じないというセリフもあったような…。そんなところで、今回のような「神」のことを言われても、どうにも腑に落ちないw違った意味での「神」が臨也の中で渦巻いているように思える。同じキャラクターの言うことなんだろうか。。そう考えると、ちょっと、今回の「神」については、単なる付け焼刃というか、オプションで追加で取り付けたような感じがしてしまった。よもや、攻殻に影響されて、部分的に取り入れただけというオチではなかろうな…w

■似たような恋愛感覚を持つキャラクター

「正臣は戻ってくるよ。だって、それは決まってることだもん。だから、いくら他の女の子を好きになっても平気。最後の最後に正臣は、その子たちより私のほうを強く愛してくれるんだから。」
「聞かなくたって、わかってる。同じことの繰り返しだ。たくさんの女の子と付き合っても、きっと私のもとに戻ってくる。」
「そしたら、その他の人との愛より、もっともっと高く愛してくれるもん。」
「でも、それから先の言葉は聞きたくなかった。」
「だって、臨也さんがそう言ってたもん。」

 また病んでるよwとは言え、今までの誠二・美香・波江・新羅のように自分の愛を相手に押し付けるものとは違って、相手が必ず自分のことを愛してくれると勝手に思うものだった。前者は相手の気持ちなど顧みずに、自分の気持ちは必ず相手に受け入れられるという自己満足的な面があった。その点、沙樹は相手の気持ちを先に考えていることになるのかな?いや、彼女も正臣の気持ちなど考えずに、正臣が自分のことを好きでいると勝手に言ってるんだから、誠二たちと同類だよねwいつになったら双方向の恋愛が出てくるんだろうか…。歪み過ぎている!w新羅×セルティは双方向的でラブラブだけど、あれはセルティの首を諦めた上で成り立っているものだからなぁ。。セルティが折れに折れて新羅と付き合っていることを考えれば、確かにセルティは新しいアイデンティティを手に入れて満足なようだけど、ちょっと大事なことを忘れてるだけにも思えてしまう。
 なんだろう、誠二・美香・波江・新羅・贄川・沙樹と、誰もが一方的なんだよね。。ちょっと新羅は外してもいいし、臨也も加えていいかもしれないけれど。。ちょっとそれぞれ違ったように見せているけれど、やっていることは同じなんだよね。ちょっと変化に乏しいように思う。それぞれキャラクターの顔も違うし、セリフも異なるし、シチュエーションも変わってくるんだけど、結局は中身がおんなじように見える。

■急に出てきた杏里

「どうして紀田くんが…。」

 って、なんでお前がここにいるんだよwそりゃぁ、罪歌の能力を使えば黄巾賊のアジトくらいは割り出せるんだろうけど、それだったら頭が正臣だっていうこともわかるはずでしょ。わざわざ自らアジトに出向いて、「どうして紀田くんが…。」って驚くフリをする必要もないw単なる演出上の展開なのかなぁ。。ちょっと不思議だった。次回の内容でタネ明かしがあるのかな?



 いつの間にやら、ドタチン組がかっこよくなってきたwドタチンは正臣との絡みでかっこいいセリフもらってるし、遊馬崎はヒーローになったしねwwでも、ちょっとドタチンは狙い過ぎてる気もするかなぁ。。そうそう、なんだか今回の作画は微妙だったね。キャラクターの表情が死んでるというか、違和感があった。内容で言えば今回は正臣の中学生らしい葛藤と高校生らしい挽回の気持ちとがメインだったかな。その内面描写や良し。ただし、三つ巴の展開やマンネリな偏愛キャラやドタチンのセリフと言い、少し作為やご都合といった短絡も見られるようになってきた。

テーマ:デュラララ!! - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2010/05/13(木) 23:59:59|
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