土星蜥蜴の「筆のすさび」

日々雑感。 アニメ文化に関する気ままな評論・感想を書き連ねます。

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『デュラララ!!』#20「黄天當立」の感想。

「現実はいつも厄介だ。厄介な現実に辟易として、うちらは世界を作り直すことにした。壁を作って、大切なものとゴミを峻別して、うちっかわには大好きなものだけを集めて、他は全部追いやった。やってみたら、案外、平気だった。世界は萌えとツンデレとボーイズラブだけで作れる!スゴイ発見!!それが唯一、虚構と現実の折り合いをつける、上手なやり方。」
『デュラララ!!』#20「黄天當立」より

以下、ネタバレが多分に含まれますので、ご了承の上でお進みください。




 正直、つまらなくなってきたなぁ。話を面白く展開させることを考えてキャラクターにセリフを宛がっているようで、それぞれの「らしさ」から出てくる言動としては浮付いているように思う。すでに臨也が黒幕であることを見ている側に伝えている以上、強調されるのは身近にいるはずの帝人と正臣と杏里のぎこちない関係性ばかりとなる。それも、お互いに話し合えばすぐに結着がつき、臨也の根拠も提示しない不確かな情報に対して少しでも疑いを持てば疑心暗鬼にもならない。思い描くオチに向けた展開を描くための不自然なご都合が目立つばかりで、キャラクターの「らしさ」と物語の展開がどんどん離れていってる感じ。加えて、この作品で言っている虚構と現実の定義についても、少なからず矛盾なり揺らぎがあるように思う。微妙だなぁ。。

■現代っ子の標本としての狩沢さん

「世界は虚構だって、偉い人が言った。たぶん、言ったはず。言ってなくても、似たような言葉は誰かが言ってるに違いない。うちらにとって、虚構の世界は現実と同じくらい大切な遊び場。虚構と現実は等価であって、だから、現実が嫌いなわけじゃない。」

「世界は記号だって、偉い人が言った。たぶん、言ったはず。言ってなくても、似たような言葉は誰かが言ってるに違いない。」

 このセリフって、文脈から言って関係ないよね?w特に、「偉い人が言った」の部分は関係がないと思う。「世界が虚構」であると考えるのならば、次に「虚構の世界は現実と同じくらい大切な遊び場」だと考えることと、論理が循環してしまうwだって、世界=虚構であると引用しているのに、虚構の世界を現実と切り離して考えてるんでしょ?引用の間違いというか、単なる付会としか思えない。電波だなぁww狩沢さんの言っていることの、引用でない後半部分は話にも関係あるから必要だとして、偉い人の引用部分はまったく必要のないものだと思う。

「その沙樹ちゃんを助けたドタチンに対して、逃げた君がその過去を引きずり出そうって言うなら、そんな過去はいくらでも妄想の産物として、別世界に追いやらせてもらうよ。現実と虚構が等価なら、いらない現実は妄想にしちゃえばいい。それが、うちらのやり方。」

 いやぁ、電波だなぁw遊馬崎の言おうとしていることを誤解した上で、勝手に自分の考えを口走っているわけなんだから、とんでもない電波だww
 さっきの「偉い人」話の後半部分に関して、どうやら狩沢さんは現実逃避のための虚構と考えているらしい。しかし、決して虚構を現実に対して劣位に置かない。むしろ、それは逃避ではなく虚構もひとつの独立した世界として成り立つと主張したいんだろうか。そして、自分の立ち位置は常に虚構の側にあって、現実で起こる嫌な出来事は妄想の中での出来事として処理するってことじゃないのかなぁ。。ドラえもん劇場版の「夢幻三剣士」の「夢見る機」を思わせるような発想だねwあれも夢と現実を逆転させる道具だった。

「現実はいつも厄介だ。厄介な現実に辟易として、うちらは世界を作り直すことにした。壁を作って、大切なものとゴミを峻別して、うちっかわには大好きなものだけを集めて、他は全部追いやった。やってみたら、案外、平気だった。世界は萌えとツンデレとボーイズラブだけで作れる!スゴイ発見!!それが唯一、虚構と現実の折り合いをつける、上手なやり方。」

 しかしながら、その虚構の世界に他者は存在しないように思う。自分の嫌なことはすべてゴミにしちゃうわけでしょ?だから、正臣の嫌な過去も妄想の産物として夢の中の話にしてしまおうとした。厄介ごとは、すべて夢の中でのできごとにしてしまう。確かに、好きなものだけを集めて自分の世界を作るっていうのは楽しいかもしれないけれど、それは結局は単なる一人よがりにしかならないように思うなぁ。ただ、自己の本来的なありように対して、極度に規制をかけてくる社会への反動とも考えられるんだろうか。。社会で生きていくためには、自分らしさを犠牲にしなければならない。上司の言うことを聞き、仲間と上手くやっていくために友達と話を合わせ、他者から軽蔑されない程度に流行を取り入れつつ空気を読み、そんなことをしているうちに自分らしい要素は削られていく。そんな世の中に対する反抗なのかもしれない。単なる脆弱な引きこもりの逃げでしかないのかもしれない。どっちだろね?w
 そんな狩沢さんの世界観が成り立つ背景には、少なからず前提とされる経済的な豊かさがあってのことだと思うけど、如何にも現代らしい現象が狩沢さんというキャラクターに表れているように思う。狩沢さんって、標本的なキャラだよねwそういう意味で、価値のあるキャラクターだと思う。
 話は少し飛ぶけれども、彼女は『攻殻機動隊S.A.C.』に出てくる模倣者としての「笑い男」になる素質があると思う。彼女の状況は、どうやら「Stand Alone Conplex」現象に近いものを感じるし、第一、個を感じない。あんまり理由を説明できないから自分でも意味不明だけど、そうゴーストがささやくんだよw

■対話することを見失った人々

「ねぇ、遊馬っち、今の話っておかしいよね。」
「何がっすか?」
「切り裂き魔って、前、あの黒バイクが始末してたじゃん。」

 この情報って大事でしょ!wなぜ正臣は飛びつかないの?切り裂き魔とセルティが手を組んだわけではない可能性が出てきたことで、前回の救出劇に対しても疑問を投げかけることはできるはずだ。それなのに、なぜ臨也からの情報を妄信してしまうんだろうか…。これこそ、ご都合を感じる部分であり、不自然さが際立つ場面なんだよねぇ。。

「いやぁ、そうか、そうかぁ。帝人くんは元気かぁ。友達がこんなに苦しんでるのに、その原因になってる彼は、楽しく人生を謳歌してるわけだ。」

 今回の臨也は正臣のことを煽っていた。切り裂き魔がダラーズの所属であることが確定したわけでもなく、そのリーダーが帝人であるという確証も得られていない。その中で、正臣のコンプレックスを刺激し、本人が大切だと言っている友人の裏切りをことさらに強調することで、巧みに正臣の思考を誘導してるんだよねぇ。。ちょっと考えれば気付くようなことだと思うけれど、必死になっている正臣には回りが見えないんだろうか…。
 臨也の情報操作の方法はこんな感じだと思う。自分のところに集まってくる情報に対して、その断片だけを取り上げ、そこから全体像を再構築して相手に伝える。その過程の中で情報のズレが生じてしまい、結果的に伝わる情報は尾ひれのついたものになってしまう。たとえば、今回のチャットの場面が典型的な例だった。事実としては、ただセルティが黄巾賊のアジトに迷い込んだ杏里を助けただけなのに、それをダラーズ所属のセルティが切り裂き魔と組んで黄巾賊を襲撃したということに話をすり替えている。確かに、情報の一面だけを取り上げれば、その解釈も成り立ってしまうんだよねw情報のソースを確認する習慣を持たない人々を相手にした場合には、かなり有効な操作の方法になる。帝人・正臣・杏里のトリオにはクリーンヒットみたいだよw誰か気付け!ww
 この臨也の意図的な情報の操作は差し置いても、それに引っかかる人々っていうのは興味深い現象ではある。元ネタを離れて勝手に歩いているような情報に対して、何の疑いを持つこともなく信じてしまうわけでしょ?まず自分の感覚を疑わない自分っていうのが問題だと思うし、他者と対話をすることで情報の整合性を図ろうとする基礎作業すら行われない。臨也に感情的な部分で煽られて、そんなに客観性を保てないものだろうか。セルティは事情を知っているにも関わらず、それをチャット上で指摘することはなかった。
 要はチャットの匿名性を上手く利用した方法だということになる。通常の面と向かった対話であれば、実際には会話の内容だけでなく表情や抑揚といった潜在的な情報も含めて伝達される。加えて、対話が始まるまでの一連の挨拶やきっかけがあり、それはひとつの文脈となって会話の内容を支える前提ともなる。しかし、チャットではそういった副次的な情報は伝わらない。一切がカットされる。名前も隠されて誰と会話しているのかわからない上に、表現され尽くされない曖昧かつ言葉足らずな言葉によって、それぞれの受け手の解釈が好き勝手になってしまう。つまり、チャットはあらゆる文脈や副次的な情報をカットしてしまう環境での会話となるため、そこで得られる情報はズレが生じやすくなる。そこで誤解されたことが、さらなる誤解を生み、どんどん情報が一人歩きしてしまう。ここらへんの特性を理解してないと、危ないよねw臨也を除けば、他のキャラクターはあまりにもネット上の情報の扱いに関する素養がなさ過ぎる。まるでバベルの塔みたいに、互いの言葉に混乱している感じ。無自覚な情報の摂取は、無責任な状況の展開しか生まないよね。。さぞや攻殻のクゼもご立腹のことだろうw

■トラウマを前に弱る正臣

「やだなぁ、紀田くん。ダメっすよ、現実と妄想をごちゃごちゃにしちゃ…。ブルースクウェアなんて、存在しなかった。それでいいんじゃないっすか?」
「沙樹は…、沙樹は存在しないやつらにリンチされて、今も病院に…!!」
「そうだよ、君の元カノは存在しない連中にやられたんだよ。それでいいじゃん?」

 まぁ、ブルースクウェアばかりを悪者に言う正臣に対して、遊馬崎が怒ったんだろうね。いまだに過去のトラウマを引きずっている正臣を挑発するために、沙樹の一件も妄想で済ませようとした。遊馬崎って的確な精神攻撃をするよねwその一方、何を勘違いしたのか、狩沢さんは電波なことを言っただけだったw

「だいたい、ダラーズの仕業だとして、それこそ今のお前には関係ないことじゃねぇのか?組織同士の抗争、そういうのが嫌でお前は…。」
「逃げました。」
「でも追いやったはずの現実は、時に歪な形で舞い戻ってくる。」
「だけど、今回だけは黄巾賊の仲間だけじゃないんですよ。黄巾賊とも、俺の過去とも関係のない、大事な人が襲われた。それが許せない。」
「それは、お前の…。」
「そう、俺個人の問題なんです。それを解決するためにあいつらを、黄巾賊を言い訳に使っているだけなんです。」

 ここでも狩沢さんの電波な合いの手が入ってるよwまさしくラノベ脳と言うべきなのかもしれない。こういう中身はないけど、かっこいいようなセリフを言うあたりがズバリだと思う。
 正臣も全部わかってやってるんだね。結局は、過去の自分が成し遂げることのできなかった沙樹の救出と救済を、今回の杏里に宛がってやり遂げようとしているわけだ。まさしく杏里は臨也の言う「試金石」なんだろうし、これで杏里を助けることができれば、正臣も過去との結着を付けることができる。ドタチンたちは自らの組織が犯したリンチに対して、自ら沙樹を救出することでケジメをつけた。一方、正臣は何もケジメを付けられないまま今に至っている。その対比が上手く出ていたように思う。っていうかさ、正臣が自分から過去の話を持ち出すと、結局は自分の首を絞めることになるってわかって言ってたのかな?wちょっとアホだったw本当は個人的な動機によるものなんだろうけど、一人じゃ解決できないから組織でってことなんだろうか。そこらへんも、なんだか甘えのように思える。

「もし黄巾賊の抗争に巻き込まれて、君の好きな女の子が大ケガをしたんだとしたら…。なるほど、なるほど、確かにこれは沙樹ちゃんの件と同じ状況だねぇ。」

 またもや説明セリフだよwわざわざ、わかりやすくご丁寧に説明しなくっていいから。。臨也の嗜虐性を表現してのことだろうけど、おしゃべりが過ぎる。そして、その臨也の理解に対して何も反論しない正臣っていうのも気持ち悪い。自分の気持ちのありようを臨也に押し付けられているにも関わらず、何も言い返さないんでしょ?まったく、自分っていうものが感じられないよね。自分の気持ちくらい、自分で責任を持って考えればいいのに…。

■いろいろと感じる齟齬

 いろいろと設定として疑問に思う点があった。
 まず、正臣ってそんなに杏里のこと好きだったっけ?臨也はそう分析して、正臣も否定することはなかった。けれど、正臣は帝人が杏里のことをかなり真剣に考えていることを知っているし、正臣自身が杏里のことを好きに思っているという具体的な描写は今までなかったように思う。せいぜい、帝人との関係を考えてちょっかい出すようなセリフを言うくらいだったでしょ?にも関わらず、今回のような切り裂き魔への意趣返しをやろうと思う動機になるっていうのはどういうことなんだろうか。どうも沙樹とのトラウマを払拭するために、杏里をそういった大切な友人なり好きな女の子っていう位置付けに当てはめてるように感じられる。やっぱり試金石って表現が妥当なのかもしれない。
 虚構と現実という概念の定義に関しても違和感がある。まぁ、今回のは狩沢さんの個人的な理解の上での虚構や現実と考えれば別に問題じゃないんだけど、今までこの作品で使ってきた虚構と現実っていう言葉の意味合いとは異なるもののように感じた。特に前半は、池袋という街の全体を虚構と現実の入り混じる世界観として考えていたように思うけど、今回のそれは狩沢さんの妄想としての意味が強いでしょ?狩沢さんのは嫌な現実をあっちにポイして理想的な虚構を身近に感じようとする、虚構と現実を区別するものだった。それまでのが現実社会に滑り込む虚構みたいなものを扱っていただけに、なんだか違う概念になっているように思う。いっそ、違う単語を使って表現したほうが誤解もないと思うなぁ。。
 さらに、ダラーズの組織に関してもおかしかった。ダラーズって中心になるリーダーが存在しないっていう話じゃなかったっけ?創始者がいるっていうだけで、別に何か命令を出すリーダーがいるわけではない。全体が横のつながりを持つだけで、組織として統率がとられているわけでもない。そんな実態が定かでない組織だったと思う。なのに、ドタチンはボスの存在することを否定しなかった。そもそも、そんな組織として統率のとれていない組織に対して、リーダーの責任を問うたところで問題は解決しないでしょ。責任を取れって言ったって、命令を出したわけでもない。正臣は何がしたいんだろうね…。今回の問題に際して、都合よくリーダーのいる組織へと変えてしまった感じがする。

■キャラクターらしい表現

「できたョ~、クレムリン握り、五丁ネェ。シャッチョウさ~ん。ケンカする?おなか減ってるからヨォ。寿司喰って、おなかいっぱァい、夢いっぱァい。人間様の胃袋、夢工場ねェ。」

 なんだか、しばらく前の話まではこういう類のセリフが多かったように思う。このセリフはいかにもサイモンらしいwこれこそ、そのキャラクターの「らしさ」に裏打ちされたセリフだと思う。話を展開させるために無理やりキャラクターに押し付けられたセリフではなく、如何にも自然に感じる。こういうセリフの積み重ねから物語が進んでいくっていうのが理想的な形なんだろうけど、最近の話はオチに向けてなんとかしようとする作為が感じられるなぁ。。ちょっと残念。もう少し、こういう感じのセリフを積み重ねていってほしい。



 さて、もう20話を超えたんだねw早いもんだ。法螺田がブルースクウェアの残党だという伏線や、一丁だけ見つかってない拳銃の伏線とか、これからどう展開していくんだろうか。別に変に気を遣って盛り上げなくっていいから、せっかく作り上げられたキャラクターに即した物語の展開を見たいなぁ。。

テーマ:デュラララ!! - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2010/05/28(金) 07:11:13|
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