土星蜥蜴の「筆のすさび」

日々雑感。 アニメ文化に関する気ままな評論・感想を書き連ねます。

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「今期終了アニメ(6月終了作品)の評価をしてみないかい?9」への投稿。

 いつもはピッコロ様からお誘いを受けて参加しているのですが、今回は自主的に身勝手に参加しました。なんだか日増しに企画の規模が大きくなっているので、見るたびに驚いています。そんな自分も、今期のアニメの感想をまとめるいい機会になるので、楽しく参加させてもらっています。今回もどうぞよろしくお願いします。
 この企画は「前期から続いている2クール作品、4月より始まった1クール作品・・・これら今期終了作品(6月終了)の評価を点数で表してみようじゃないか」という趣旨のようです。いつもながら長い感想になりますが、最後までお付き合い頂けると嬉しく思います。

企画元URL:「ゲームやアニメについてぼそぼそと語る人」より「今期終了アニメ(6月終了作品)の評価をしてみないかい?9」
http://blog.livedoor.jp/koubow20053/archives/51531933.html

以下、ネタバレが多分に含まれますので、ご了承の上でお進みください。




(目次)
1、評価の観点と方法
2、個々の作品の評価と点数

 閃光のナイトレイド
 迷い猫オーバーラン!
 さらい屋五葉
 四畳半神話大系
 デュラララ!!
 B型H系
 いちばんうしろの大魔王
 Angel Beats!
 薄桜鬼
 荒川アンダーザブリッジ
 Working!
 化物語

3、ベスト賞について
4、総評
5、前回企画の感想



1、評価の観点と方法

評価の観点は全部で6つあり、それぞれ5点満点で集計するようです。従って、最高点は30点。その基準は以下の通りです。

★ストーリー・・・脚本、設定も含めて、破綻がないか。テーマ性を貫けていたか。そしてオチがしっかりしていたか等。
★キャラクター性・・・キャラクターの魅力。キャラクターと声優の声のイメージが合っているか等。
★画・・・キャラクターデザインに忠実か。作画の破綻、崩壊がないか。よく動いてるか等。
★演出・・・声優の演技。盛り上がりを作れているか。BGMや挿入歌が効果的に使われているか。カメラワークや構図の工夫。各話の引き等。
★音楽・・・OP・EDが作品の雰囲気に合っているか。BGMや挿入歌の評価等。
★総合的な評価・・・この作品を面白いと思ったか、また満足度。他人に薦められる作品か等。

5点:とても良い
4点:良い
3点:普通(及第点)
2点:惜しい。何かが足りないレベル
1点:悪い
0点:かなり悪い

 相変わらず、作画についてはわかりません。。ので、単なる印象で気軽に点数を付けてみますwwちなみに、上述の基準に加えて独自の評価基準を設けています。すなわち、「今まで見たことのあるアニメ」と比べた上での点数となっていますので、あしからず。決して今期だけのアニメを対象にして、相対的に判断しているわけではありません。まぁ、いわゆる絶対評価に近いのかな?(今までに見たことのあるアニメは「ひとことアニメ便覧」を参照のこと。)従って、今期だけでなく少し広い範囲の中での評価となりますので、点数は全体的に低めになってます。厳しく付けてますwたぶん、こんな点数を出してる人はいないんだろうなぁwそれでは、張り切って行ってみましょう☆



2、個々の作品の評価と点数

■閃光のナイトレイド=総得点:10点
ストーリー★
キャラクター性★
画★★★
演出★★
音楽★★
総合的な評価★

 言ってしまえば、『攻殻機動隊S.A.C.』と『DARKER THAN BLACK 黒の契約者』を足して十で割ったくらいの作品だったと思う。ストーリーが形式的で予定調和なドラマになってしまっており、キャラクターの躍動が感じられなかった。キャラクターにシナリオを押し付けてしまっているようで、キャラクターの「らしさ」に裏付けられたドラマがなかった。諜報機関の活動を中心に太平洋戦争直前の上海を舞台として物語が紡がれるけれども、さほど中身はなかったように思う。第一、時代考証に関して不満があった。太平洋戦争の反省はひとつに軍部の独善的な暴走にあったとは思うけれども、この作品で主人公たちが自らの判断で身勝手に正義を行ったことは、この反省をまったく省みていないものと言える。核の恐怖による高圧的な支配を阻止しようと正義ぶった姿が描かれるけれども、その判断を自分たちだけの価値観で身勝手に行う姿は殖民政策を正義と信じて奔走した軍部と何も変わらない。それすらも時代状況を背景として行動原理を反映したものとして受け止めることもできるけれど、時代モノを中途半端に作ってしまったような印象がある。絵に関しては並以上ではあるけれども、ストーリー面において不備があったように感じた。最後になって桜井機関の長である桜井信一郎が味方になったり敵になったりしたのは、結局は舌足らずになってしまうストーリーの崩壊を象徴しているかのようだった。絵は上々でストーリーが崩壊気味というのは、どこかのゴンゾの末路を予感させてならないw

■迷い猫オーバーラン!=総得点:10点
ストーリー★
キャラクター性★
画★★
演出★★★
音楽★★
総合的な評価★

 各話監督の方式を採用するという斬新な企画だったけれども…、やっぱり失敗だよね?別に監督らしさを出そうと言うのであればオムニバスでも作ればいいものを、変に原作のしがらみがあるだけに、なかなか中途半端に終わってしまったと思う。全体的に統一感がなかったし、各話のデコボコ感が心地悪かった。とは言え、大地丙太郎監督の担当した温泉回は出色の演出だったと思う。他の回と簡単に比べられてしまうだけに、否が応でも差が歴然としてしまった。ロボット展開をやったり、『咲-saki-』のパロディーを監督本人がやったり、楽しくはあったけど、別にこの作品でやらなくてもいいじゃんっていう感じ。各話監督方式をやるなら他の作品でやれば良かっただろうに、素材が素材だっただけに料理のしようがなかったようにも思う。ツンデレやネコミミといったキャラクター属性を扱うのはいいけれど、変に中途半端に孤児にまつわるシリアスな内容を取り挙げた点が最も痛かった。キャラクターの言動や世界観に動機や文脈を持たないのはラノベ原作に顕著な特徴ではあるけれども、それにしても取ってつけたような孤児のシリアス話は不要だったと思う。ギャグにもならず、シリアスにもならず、監督の個性ばかりが変に押し出された中途半端さがたまらなかった。

■さらい屋五葉=総得点:23点(⇒感想
ストーリー★★★★
キャラクター性★★★★
画★★★★
演出★★★★
音楽★★★★
総合的な評価★★★

 明るい政之助と暗い弥一の対比が鮮明に浮かび上がりながら、弥一の抱える過去に焦点が当てられていくストーリーは巧妙で面白かったでござる。二人とも社会から疎外された存在ではござるけれども、政之助はなんとか社会に復帰しようと努力を続け、弥一は自分を除け者として追い出した社会への恨みを消せないでいる姿が印象に残ったでござる。最初は政之助の憧れの対象として飄々とした生き方を見せる弥一でござったけれど、物語が進むについれて弥一の表情が次第に暗くなっていく演出は見事だったように思うのでござる。何より、そんなストーリーの展開を下支えする世界観が一番に良かったでござる。あの疂の節目ひとつひとつが見える画と言い、くたびれた長屋の様子と言い、野暮ったいものを嫌う気質と言い、岡場所の女郎たちのだらけた雰囲気と言い、あちこちに江戸の世界観を作り挙げる細かい気配りが見て取れたでござる。全体的に文句はないながらも、何せ1クールということで駆け足でまとめてしまったもござって、その点は残念でならないでござる。せめて、2クールにしてくれれば、もっと作品の奥行きも広がって、より物語が深まったのでござろうものを…。ござるござる五月蝿いでござる。口癖がうつってしまったでござる。

■四畳半神話大系=総得点:26点(⇒感想
ストーリー★★★★★
キャラクター性★★★★
画★★★★
演出★★★★★
音楽★★★★
総合的な評価★★★★

 あの最終回で見せた物語の収斂されていく様は見事だった。各話ともに主人公「私」のモノローグによって進められる点でアニメ化する必要性を疑ってはいたものの、湯浅監督の妙技によって巧みにアニメらしいアニメに仕上がったと思う。こんなモノローグを積み重ねるような作品はシャフト作品でやればいいと思っていたけれど、湯浅監督の個性はそんな枠組みをいとも簡単に乗り越えてしまっていた。しかしながら、やっている内容は湯浅監督の『マインドゲーム』と変わらない。物語のすべてがラストで集約されるというのも今敏監督の『千年女優』であったし、量子論的な多元世界の展開も『ノエイン~もうひとりの君へ~』で扱われていた。従来の作品を解体・再構成しつつ巧みに新たな作品としてまとめた手腕や発想は素晴らしいものと見ることもできるけれど、特に新しい地平が切り拓かれたと言うわけではないと思う。主人公のユーモアあふれるモノローグだってアニメでやるべき早口ではなかったし、すべてにおいて作品の存在理由が見出せなかった。作品としてはいいんだけど、企画としてはよくないって感じ。そりゃぁ、あれだけのスタッフを結集させれば、これだけのクオリティーの作品に仕上がるのは当たり前でしょ。ただし、オリジナリティーはあまり発揮されなかった。

■デュラララ!!=総得点:20点(⇒感想
ストーリー★★★
キャラクター性★★★★
画★★★
演出★★★★
音楽★★★
総合的な評価★★★

 現代に生きる若者の様子が写生的に描かれたところは良かったけれども、後半のご都合的なハッピーエンドに向けた演出が興醒めだった。まぁ、本人が作中でそんな最終回が大好きだと言っている以上、それまでなんだろうけど…。結局は最後まで対話を行わなかったキャラクターたちの姿には何も解決がなかったし、様々なキャラクターで描かれた恋愛はどれも一方通行の偏愛ばかりで変わり映えがしなかった。あまり2クールやったことの意味は感じ取れなかったというのが正直なところ。主人公らしい主人公を置かずに物語を展開するのは『バッカーノ!』でも見られた手法であり、今作もそれぞれのキャラクターが立派に「らしさ」を獲得していたように思って好印象ではあった。しかしながら、やはり後半のご都合的な展開のもとに、キャラクターの「らしさ」を踏みにじるようなシナリオの押し付けがあったようにも思う。前半と後半の展開の中でいくつかの矛盾を抱えながら、強引にハッピーエンドな最終回へと牽引した演出はあまり良い印象を持てなかった。そうは言いながらも、対話を行わずに身勝手に相手の気持ちを推し量って、自己満足な人間関係を構築するキャラクターたちの姿は強く印象に残った。特に臨也のキャラクターは抜群に濃かったものの、彼の抱える仄暗さの原因が描かれなかったことが惜しい。後半の展開をコンパクトにまとめて、そういった各キャラクターの内面を掘り下げる話を挿入すれば、だいぶ違ったと思う。

■B型H系=総得点:13点
ストーリー★★
キャラクター性★★
画★★
演出★★★
音楽★★
総合的な評価★★

 テンポの小気味いいギャグアニメだった。最初は下ネタの羅列でただ下品なだけになるのかと思いきや、結局は下品さを感じさせないギャグのオンパレードになり、かえって身体ではなく精神的な恋愛関係に陥る主人公の様子が強調されて良かった。ギャグとして割り切ったストーリーとキャラクターには爽快感があり、そこが変にシリアス方面に足を伸ばしてしまった『迷い猫オーバーラン!』との大きな違いでもあると思う。こうなると、たとえご都合的な展開になったとしても、すべてはギャグの大義のもとに難なく受け入れることができる。何より、そんな細かいことを感じさせない演出のテンポ感が良かったこともあり、全体的に安定したギャグアニメに仕上がったと思う。

■いちばんうしろの大魔王=総得点:14点
ストーリー★★
キャラクター性★★★
画★★
演出★★★
音楽★★
総合的な評価★★

 これも演出のテンポ感が良かった。良過ぎた。超展開過ぎたw1クールを猛スピードで疾走したような感じがする。もしも2クールでやっていたならば、もっと丁寧な描写が期待できて面白みも増したように思う。ところどころに織り交ぜた「神のシステム」とか「用意された物語」といった設定への説明が不十分だっただけに、ギャグ要素はテンポよく楽しめたものの、物語の本筋に関しては触りの部分だけで終わってしまった。これでは、ギャグをやるために本筋を骨組みだけ仮に用意したように見えてしまう。いや、むしろ超展開でギャグ要素だけを前面に押し出したために、変な落ち度を晒さずに最終回を迎えることができたと見たほうがいいのだろうか。とにかく、安定したスピード感とギャグに支えられて、最終回まで突っ走ったような作品だったと思う。

■Angel Beats!=総得点:10点(⇒感想
ストーリー
キャラクター性★★
画★★★
演出★
音楽★★★
総合的な評価★

 残念ながらストーリーの崩壊を指摘せざるを得ない。初回で自らが設定した世界観を、ラストに進むにつれて自ら否定してしまったことが最大の欠点だと思う。あれでは何を信じて物語を読めばいいのかわからず、ルールの存在しない何でもありな展開が許容されてしまう。ギャグアニメとして割り切ってしまえば楽しい部分もあったけれども、新しい要素を示そうとするアニメだと気負って見てしまう分だけ評価が下がる。結局はキャラクターの言動に確固たる動機付けはなかったし、それぞれのキャラクターに用意された生前の記憶も取って付けたような印象しか持てなかった。なんの文脈もなく「感動的な場面ですよ~」という記号的なシチュエーションが用意されるため、見ている側は白けるしかない。昨今のラノベやアニメに典型的な動機・文脈の欠如した特徴を最もよく表した作品に仕上がったと思う。

■薄桜鬼=総得点:9点
ストーリー★
キャラクター性★★
画★★
演出★
音楽★★
総合的な評価★

 これもストーリーに文脈を持たず、これといった特徴を見出せないアニメだった。あっち向けの作品だと思ってしまえばそれまでだけど、そんな二次創作でやるべき内容を一次の段階でやってしまうのは掟破りではないのだろうか。初めから二次利用ありきで作られた狙い見え見えの表現が多いように感じ、作品として何か物語を完成させようとか、ドラマを演出しようとかいう気概が感じられない。一次の段階で山なしオチなし意味なしでは、見てられないというのが本音でもある。素材としては優秀なのかもしれないけれど、これを作品として考えた場合には何も取り柄を見出すことができない。時代モノとして新撰組を題材として選んではいるものの、その内容は鬼を交えたファンタジックなものとなっている。どうせなら、もっとファンタジックにすればいいものを、下手に新撰組ストーリーをなぞっている部分も中途半端さが感じられる。歴女とBL女だけを見据えた作品でしかないのか。と言う感想も、まったくそっちの世界を知らないからこそのものであり、そっちの人がどういう評価を与えるのかは気になるところ。

■荒川アンダーザブリッジ=総得点:16点
ストーリー★★★
キャラクター性★★★
画★★
演出★★★
音楽★★★
総合的な評価★★

 シャフトのルーティンワークな感じの作品だった。シャフト作品は良くも悪くも、どの作品をやっても紋切り型で量産型な感じがしてしまう。面白いからいいけど、別に新しいわけではない。シャフトらしいギャグアニメだった。しかしながら、今回はポエムがあったw主人公のリクを境目にして、日常の社会と非日常の荒川の対比が鮮明に浮かびあがり、当たり前とされる常識に対する懐疑的な問いかけが行われている部分は良かった。つい先日の『ダンス イン ザ ヴァンパイアバンド』でもそうだったけど、何か旧習を抜け出そうとしている方向性があるのだろうか。そうは言いながらも、結局は自分のルーティンワークに落ち着いてしまっているようにも感じる。そういう意味では、先の『四畳半神話大系』とは違って、よくもなく、悪くもない、そんな作品だったと思う。

■Working!=総得点:9点
ストーリー★
キャラクター性★
画★★
演出★★
音楽★★
総合的な評価★

 高校生の日常を淡々と描きながらラブコメをやったような作品だった。高校を舞台とするのではなくバイト先を舞台に移しただけであり、他の同系列とも言える『らき☆すた』や『みなみけ』や『けいおん!』と物語の仕組みは何も変わり映えがなかった。とにかく、ありえないキャラクターの設定が平凡なファミレスに存在しているからこそ面白みが出るだけであって、そんな設定だけで最後まで押し通したような感じがしてしまう。先の『らき☆すた』ほどの萌え要素を押し出した感もなく、『みなみけ』ほどの徹底した淡泊な感じも見られず、『けいおん!』ほどのギャグや細密な女子高生の心理描写もなく、これといった特徴は見られなかった。ラブコメなら他にも腐るほどある。ただ男性恐怖症の女性と世話焼きな男性の恋愛という設定に頼るばかりのラブコメ展開には、これといった物語やドラマもなく何も感慨が湧かない。

■化物語=総得点:20点(⇒感想
ストーリー★★★
キャラクター性★★★★
画★★★
演出★★★★
音楽★★★
総合的な評価★★★

 シナリオやモチーフは伝統的かつ日本的な怪異の考え方を反映したもので、作品の中に巧く取り入れることができていたと思う。そんなことよりも、それぞれのキャラクター属性の再整理の手腕が優れているためか、ツンデレ・幼女・メガネ巨乳を扱った同様の並み居るキャラクターアニメの中でもずば抜けたキャラクター設定だったように感じた。本筋においても、セルフフィールドを築いて対話を行おうとしない主人公のアララギが、ヒタギとの接触によって次第に対話を行うようになる点で、ひとつの一本筋の通ったドラマがあると思う。しかし、最終回の落とし所が納得できなかった。最終回はヒタギと双方向の関係を構築した#12「つばさキャット其ノ貮」で良かったように思う。最後の3話分は蛇足であり、もしやるのであれば2クール目として、しっかりとやるべきだった。そうすれば、2クール目はヒタギ以外の人間とも双方向の人間関係を構築していく物語として、立派に一人立ちできたかもしれない。駆け足で最後をまとめてしまった感は否めず、そのためか作品の落とし所がボヤけてしまったように感じた。

3、ベスト賞について

■ベストキャラクター賞:戦場ヶ原ひたぎ(『化物語』より)

 迷った。迷った挙句のひたぎ。本当は不器用なんだけれど、なんとか虚勢を張ってアララギに迫る姿が切なかった。単なる根拠のない記号的なツンデレキャラクターというわけではなく、しっかりとした生い立ちや性格に支えられてキャラクターが成り立っているところも良かった。今まで作品の向こう側にしかいなかったツンデレが、現実味のあるツンデレとなって眼前に立ちあがってきたように思う。他にも『さらい屋 五葉』の弥一とか、『デュラララ!』の臨也が候補に挙がったけれど、どちらもキャラクターが作中で完全に昇華しきれていなかったために劣った。

■ベストOP賞:Angel Beats!

 仕方がない、あのピアノを演奏する天使ちゃんの滑らかな指使いに感動したことは否定できない。音楽も映像もどことなく疾走感があり、聞いていて心地よかった。あのゲームやエロゲ風味なキャラクター名のクレジットさえ変えれば、もっと良くなっていたと思う。本当は『さらい屋 五葉』を挙げようかとも思ったけれど、あの手法は他でも使われているものだからオリジナリティーに欠けるということで落とした。本当は『デュラララ!!』の1期OPを挙げようかと思ったけれど、EDと重なるのでこちらに譲った。

■ベストED賞:デュラララ!!(1期)

 このEDで作られたMAD作品は数知れず、それだけに広く受け入れられたんだと思う。モノを投げ渡すことでキャラクター紹介を行い、途中で今回のストーリーにつながる文脈を差し挟んだOPも素晴らしかった。EDにおいてもキャラクターの配置によって物語を想像するというカップリングの趣向が読みとれて、なかなか面白かった。これらOPEDを見ても、やっぱりデュラララはキャラクターの扱いが上手かったということを実感する。

■ベスト声優賞・男性:櫻井孝宏(『さらい屋 五葉』弥一役、『化物語』忍野メメ役)

 あの弥一の暗さを引き立たせる演技が良かった。他にも神谷浩史や福山潤が獅子奮迅の働きを見せる中で、あの演技はキャラクターと合わさって大きな存在感を示していたと思う。作品の序盤は弥一の飄々とした資質から粹な表情を見せていたけれど、終盤に差し掛かって次第に声が暗さを増していく様が良かった。それほど多くのセリフを割り当てられない中で、あの存在感を打ち出す演技はすごかったと思う。

■ベスト声優賞・女性:花澤香菜(『化物語』千石撫子役、『デュラララ!!』園原杏里役、『Angel Beat!』天使役、『B型H系』宮野まゆ役)

 これも迷った。迷った挙句の花澤さん。まぁ、撫子の大ヒットを境にして今期は大活躍だったわけだし、こういうときでもないと名前を出せないだろうし…。というのも、あんまり演技に変化がないんだよね。。演技が上手いというよりも、その声質から広い支持を集めているように感じる。確かに撫子の演技はキャラクターと相俟って最大の効果を発揮していたけれど、実はああいう声は他のキャラクターでも使っている。むしろ、彼女の本領は『かんなぎ』の懺悔ちゃんで発揮されていたように思うんだけど、まぁ、大活躍だったから今回のベストは花澤さんで。『ゼーガペイン』からの成長も見られたからねw他にも戦場ヶ原ひたぎで新地平を開いた斎藤千和、安定した演技を見せる坂本真綾、新進気鋭の実力派である悠木碧、そんなところが候補だった。



4、総評

 不作だ不作だと言いながらも、やっぱり『化物語』や『デュラララ!!』は時代を表現した作品として大きな存在感を示していたし、ノイタミナ枠の『四畳半神話大系』や『さらい屋 五葉』もノイナミナらしい方向性で安定した仕上がりになっているように感じた。ただし、どれも原作付きであることに不安を覚える。確かに、どの作品もアニメの手法を巧みに使ってアニメとして立派な作品に仕上がってはいるけれど、アニメでやらなければならない内容であるのかと言えば首を傾げないわけでもない。アニメらしいアニメはどこに行ってしまったのか。そりゃぁ、ああいった絵柄で動画を作ればアニメであることには間違いないんだろうけど、これまでのアニメが作り挙げてきた中身の部分で系譜を引き継ぐような作品が見当たらない。手法はアニメだけれども、やっていることはアニメでないような気がしてならない。アニメはどこに行ったのか。
 原作との兼ね合いで『化物語』や『デュラララ!!』の賛否両論を聞くけれども、原作を読んだところであれは未成熟なように思う。作品として成り立っていない。あれらはアニメ化されて初めて作品として完成したように思う。なにせ、原作の文体がト書きにしか見えない。事実の羅列、セリフの羅列、そんな文体では行間に生まれる意味合いなどは表現されず、ただ読者が脳内補完によって身勝手に作品の完成を遂げるしか道がない。それに対して、アニメ化することによってト書きに見られない文脈が生まれ、初めて作品として自立したように思う。もはやアニメはアニメで共有される本質的な部分の文化を見失って、単に何かを表現するための手段としての通過点でしかなくなっているのかもしれない。原作付きが横行してオリジナルアニメーションの勢いが衰えているのも、そんな背景があるように見える。
 しかも、ラノベ原作に見られた動機欠如・文脈欠如によるシチュエーション重視の記号的な物語の展開という悪弊を『閃光のナイトレイド』や『Angel Beat!』が引き継いでしまっていることに危機感を覚える。今までのアニメを見ているのであれば、あんな失態を冒すようには思えない。どこもかしこもアニメらしさを失ったアニメしか見当たらない。唯一の救いは先の『とある科学の超電磁砲』だろうか。あれだけは原作を下敷きにしながらも、アニメらしいアニメをやっていたように思う。やはりアニメは少年少女の成長を描いたジュブナイル的な要素を外すべきではないと思うし、社会の抱える問題に対する風刺や現実では成し得ない理想的なヒーロー像も描かれる必要があるんだろうと思う。『化物語』や『デュラララ!!』は現代の若者の対話を見失った姿を描いたものとして社会状況の反映を見てとれるけれども、現状分析に留まって何か理想的な解決が示されたわけではなかった。『さらい屋 五葉』は実写でやればいいものを、アニメで無理にやってしまった感さえある。『四畳半神話大系』は湯浅監督の手腕によって見事に「アニメ」化されていたけれど、何か新しいものを提示したわけではなかったし、作品の本質的な部分からアニメ化する必要は感じられなかった。
 アニメらしいアニメはどこへ行ってしまったのか。大人向けへと舵を取ることは許容されるにしても、作品として未成熟にしかならないラノベ原作の作品を連発する姿勢からは脱却しなければならない。ラノベ原作への執着は『涼宮ハルヒの憂鬱』に始まって、今期の『化物語』で終わらせるべきだと思う。アニメの本意でないアニメの面を被った中途半端な作品の羅列は、アニメ自身の品位を下げて崩壊を招くようにしか見えない。実験的な作品を増やせと言っているわけではないけれども、もっと骨のある作品が増えることを期待するのみ。ちなみに、7月から始まった作品は4月開始アニメよりもひどい様相を呈している。



ちなみに、今までの企画にも寄稿していますので、それぞれ下記のリンクからどうぞ。

「今期終了アニメ(3月終了作品)の評価をしてみないかい?8」への投稿。
「今期終了アニメ(12月終了作品)の評価をしてみないかい?7」への投稿。
「今期終了アニメ(9月終了作品)の評価をしてみないかい?6」への投稿。



以上、「今期終了アニメ(6月終了作品)の評価をしてみないかい?9」企画への投稿でした☆



追伸 ピッコロ様へ
長々となり申し訳ありません。点数やベスト賞については目立つように■印で付けましたので、ひとつ目印にしてください。今回もトラックバックが送られるか不安なので、コメントにてお知らせしました。結果の集計が大変かとは思いますが、どうぞよろしくお願いします。この度は本当にありがとうございました。末筆ながら感謝を申し上げます。蒸し暑い日が続きますが、どうぞご自愛くださいませ。

テーマ:見たアニメの感想 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2010/07/17(土) 02:14:17|
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