土星蜥蜴の「筆のすさび」

日々雑感。 アニメ文化に関する気ままな評論・感想を書き連ねます。

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2013年-冬-(3月末終了)新作アニメの感想と評価

 なんとなく2013年冬アニメ(1月~3月放映)の感想をまとめます。今期の作品で視聴を完了したのは20タイトルありました。全体の半分くらいなのかな?本当はひとつひとつの作品に対して丁寧に感想を書くべきなんだろうけど、さすがに面倒なので…。ざざっとまとめてみました。
 いつも悩むのがシーズン的に「冬」なのか「新春」なのか「春」なのかっていうところ。アニメは1年を4期に分けて3か月ごとに区切りがあるんだけど、4月から始まるアニメは「春」、7月から始まるアニメは「夏」、10月から始まるアニメは「秋」、とすると1月からのは「冬」ってなる。なんだけど、春と言えば春だし、まるで1年が冬から始まるみたいな感じになってもどかしい。まぁ、細かいことなんかどうでもいいんだ…。
 ちなみに、今回も今までお誘いを頂いていたピッコロ様の企画に連動できるよう、評価の形式などは「今期終了アニメの評価をしてみないかい?」に提示されているものに準拠しています。あくまで評価の数字は参考程度にして、具体的な感想を書くことが本意ですので、あしからず。
 いつもながら長々としたものになりますが、最後までお付き合い頂けると嬉しく思います。。

企画元URL:「ゲームやアニメについてぼそぼそと語る人」

以下、ネタバレが多分に含まれますので、ご了承の上でお進みください。




(目次)
1、評価の観点と方法
2、個々の作品の評価と点数
 ガールズ&パンツァー
 さくら荘のペットな彼女
 新世界より
 ささみさん@がんばらない
 たまこまーけっと
 ラブライブ!
 ヤマノススメ
 Robotics;Notes
 僕は友達が少ない NEXT
 PSYCHO PASS
 まおゆう魔王勇者
 はいたい七葉
 キューティクル探偵因幡
 gdgd妖精s
 バクマン。3
 絶園のテンペスト
 問題児たちが異世界から来るそうですよ?
 まんがーる!
 僕の妹は「大阪おかん」
 戦勇。
3、ベスト賞について
4、総評



1、評価の観点と方法

 評価の観点は全部で6つあり、それぞれ5点満点で集計するようです。したがって、最高点は30点。その基準は以下の通りです。以下、「今期終了アニメの評価をしてみないかい?」から評価の基準を引用します。

★ストーリー・・・脚本、設定も含めて、破綻がないか。テーマ性を貫けていたか。そしてオチがしっかりしていたか等。
★キャラクター性・・・キャラクターの魅力。キャラクターと声優の声のイメージが合っているか等。
★画・・・キャラクターデザインに忠実か。作画の破綻、崩壊がないか。よく動いてるか等。
★演出・・・声優の演技。盛り上がりを作れているか。BGMや挿入歌が効果的に使われているか。カメラワークや構図の工夫。各話の引き等。
★音楽・・・OP・EDが作品の雰囲気に合っているか。BGMや挿入歌の評価等。
★総合的な評価・・・この作品を面白いと思ったか、また満足度。他人に薦められる作品か等。

5点:とても良い
4点:良い
3点:普通(及第点)
2点:惜しい。何かが足りないレベル
1点:悪い
0点:かなり悪い

 評価は今まで見たことのあるアニメ作品と比べた上での点数となっています。そのため、過去の作品も含めた少し広い範囲の中での評価となります。基本的にアニメの文脈から作品を見ているので、原作付きは場合によって低めになる傾向があります。アニメの歴史を少しでも前に進める作品を上位としている感じです。
 また、★の数や点数によって作品を簡易に評価することに抵抗がないわけではありません。そんなことよりも、具体的な感想の本文によって作品の内容について批評できればと思っています。
 それでは、張り切って行ってみましょう☆



2、個々の作品の評価と点数

■ガールズ&パンツァー

ストーリー★★★★
キャラクター性★★★★
画★★★★★
演出★★★★
音楽★★★★
総合的な評価★★★★
(総得点=25点)

 最高の賛辞を贈りたい。熱い青春と感動をありがとう!
 なんでもない萌えアニメに見えても、中身はアニメの歴史を大きく前進させるものだった。女子高生の気軽な部活動という日常系萌えアニメの要素を配しながら、主人公のメカに乗る動機付けから自我の確立に至るまでの精神的な変容を仲間の存在を介して描いたところが良かった。たとえ一人一人で自我や個性を確立することが難しかったとしても、それは仲間と一緒に乗り越えればそれでいい。努力をしたわけでもなく、才能があったわけでもなく、それぞれの多種多様な趣味思考はそのままに、できることをすればそれでいいんだというメッセージがあったと思う。そんな集団的個性の確立と容認を具体的に描写して、主人公の居場所が作り上げられる過程を見事に表現していた。様々なアニメの積み上げてきた歴史を踏まえながらも、そこに新たな答えを導き出したような気がする。
 詳しい感想はこちらへどうぞ。

■さくら荘のペットな彼女

ストーリー★★★★
キャラクター性★★★★
画★★★★
演出★★★★
音楽★★★★
総合的な評価★★★★
(総得点=24点)

 これは『とらドラ!』ではないのか?いやいや、青春があったりギャグがあったりで、いろいろとてんこ盛りな感じだった。全体的にクオリティーも高く、劇中劇の「にゃぼろん」なんかも相俟って、細部まで作り込みが行き届いた作品だった感じがする。髪の毛の透け方や撮影のディフュージョンのかけ方を含めて、画面の高級感も出ていた。何より、登場人物たちの心情を前面に押し出すようなシナリオが良かったと思う。
 基本的には「ハーレムもの」の流れの通り「受け身の主人公」を初期設定として描く一方で、そこからなんとか抜け出そうとする姿があったのも印象的だった。普通は視聴者にストレスを感じさせるような苦悩とか努力はライトノベルの敬遠するところなはずだけど、才能のない自分をなんとかしようと足掻く主人公くんの姿が一貫して描かれていたのも良かった。
 ちょっと路線を外せば単なる原作アニメだったりベタなラノベだったりする作品になったろうけど、ひとつひとつ丁寧に作り上げたために大きな存在感を持つようになった感じの作品だった。

■新世界より

ストーリー★★★★
キャラクター性★★★
画★★★★
演出★★★★
音楽★★★★
総合的な評価★★★★
(総得点=23点)

 最初はファンタジー系の作品かと思ったら、至ってまともなSFだった。おおよそ機械的で先進的なはずのシュっとしたSFを、オカルトちっくでファンタジックなヌメっとした世界観とガジェットで描いたのが特徴なんだろうか。ヒト以外の生物が知性や文明を持つ可能性や、人間社会をどのように管理するべきかといった問題や、社会と異端の問題など、SFの王道とも言える内容を備える作品だったように思う。悪鬼や業魔が出ないように異端の子どもを排除して排除して成り立たせていた社会だったのに、同様にして徹底的に管理されたハダカデバネズミの反乱によって崩壊が起こったのは皮肉な結末だった。ある意味において、ハダカデバネズミが人間として立ち上がるまでの物語だったと言ってもいいかもしれない。同じテーマを扱った『PSYCHO PASS』とは格が違った。
 そういった様々な事態を成長する早季の視点を通して描かれたのも良かった。子ども時代は管理される側だった早季が、大人になって管理する側にまわったことによって、複眼的な問題への視点が確立されていた。ただし、ちょっとすると設定を追いかけるだけの内容になりがちな部分があったかも。
 近年では稀に見る総作監を置かない作品ということもあり、各話各カットによって演出や作監や原画の持ち味を見ることができたのも良かったと思う。ぱっと見て異質で不気味な作品の世界観を感じさせる映像になっていたのもすごかった。

■ささみさん@がんばらない

ストーリー★★★★
キャラクター性★★★
画★★★★
演出★★★★
音楽★★★
総合的な評価★★★
(総得点=21点)

 タイトルとは裏腹にカロリーの高い頑張っている作品に見える。相変わらずのシャフトらしさが散りばめられてたし、巧妙な演出が冴えわたる。演技派声優のデパートっていう感じで、特に斎藤千和さんの「寝取られ系も…」とか度を超えてすごかった。とにかく映像と文芸の情報量が凝縮されていて、とても20分の内容とは思えなかった。
 ただ、あちこちに記号的なネタが仕込まれてはいても、それが何か具体的な意味を持つかというとそうでもなかった。鎖々美さんの世界改変能力は『涼宮ハルヒの憂鬱』を思い起こさせるし、鎖々美さんと呪々の関係性が『新世紀エヴァンゲリオン』の影響を強く感じさせるものだったし、意味はなくても日本神道をガジェットとして利用しているのもそうだし、どれもきっちり記号化して取り入れていた。ただ、それだけって感じ。

■たまこまーけっと

ストーリー★★★
キャラクター性★★★
画★★★★★
演出★★★★
音楽★★★
総合的な評価★★★
(総得点=21点)

 本当は『けいおん!』の3期をやりたかったんだけど、さすがに劇場版もやってどうかなって思うので、なんとなく『たまこまーけっと』なるものを作ってみました…的な?まぁまぁ、日常系の延長なのかな。女子高生たちのなんでもない日々を淡々と描き、あちこちに萌え要素が散りばめられたっていう感じがする。相変わらず「うさぎ山商店街」という空間的な縛りを設け、日常を描くにも関わらず登場人物たちも大人数ながら一部に限られている。そのため、日常とは言いながらもファンタジーな印象を受ける。やっぱり日常系。
 あの異国の人々を登場させたのでさえ、物語的にはなんの機能を果たしたのかよくわからん。客人(まれびと)を投入することで日常たる「うさぎ山商店街」の価値体系を客観的に捉え直すのかと思いきや、別にそういうわけでもない。たまこの「ほくろ」にしても、あんなの「ほくろ抜け」のリテイク直しが面倒臭いだけの意味のわからないこだわりになっている。なんのための表現なのかとか、何を省略した記号なのかとか、その目的意図が不明瞭に感じられてならなかった。日常系は物語に目的を持たないことが特徴となる作品群だけれども、表現の意図まで目的を見失ってしまっては元も子もない。
 これだったら『けいおん!』を見返してたほうがいいかな。久しぶりに京都アニメーションがオリジナルを作ったわけだけど、なんというか、グッっと来ない。旧弊を脱することができていなかった。確かに、作画とか演出とか技術はすごい。京都アニメーションの自社CMを見ていても、なんてことをやってやがるんだっていう驚愕の映像になっている。だけど、何をやりたいとかっていうオリジナルで一番肝心の動機とか主体性みたいなものが感じられない。力だけ有り余って空回りしてるようで、器用貧乏に陥っている。

■ラブライブ!

ストーリー★★★
キャラクター性★★★
画★★★
演出★★★★
音楽★★★★
総合的な評価★★★
(総得点=20点)

 キャラクター9人が歌って踊るというカロリーの高い演出・作画をハイペースでこなしているのがすごかった。やや作画と3Dの融合に難があるように見られる場面もあるけど、その住み分けにも工夫が感じられる。なんだけど、作画のクオリティーがカットによって極端にバラついていて、総作監のシステムがうまく機能していない感じがした。
 深夜アニメだけど、どちらかと言えば、内容は日曜の早朝に放映されているアニメに近いかな。青春!っていう感じだった。『THE IDOLM@STER』や『アイカツ!』に続き、一連の「アイドルもの」の確立を予感させる。どこにでもいる少女がアイドルへと変身する様は「魔法少女もの」の系譜を継ぐものだけど、こちらには正義や悪といった観念が存在しない。

■ヤマノススメ

ストーリー★★★
キャラクター性★★★
画★★★★
演出★★★★
音楽★★★
総合的な評価★★★
(総得点=20点)

 短編ながらクオリティーは20分尺の普通のテレビアニメ並みだった。なんていうか、まかない料理のはずなのに、良質な食材を使って手間暇かけて作った感じがする。レイアウトが良かったなぁ。。
 いわゆる「日常モノ」の部類に入る作品だったと思う。女の子が山登りをするための準備をしたり、友達を作ったり、料理をしたり、それだけの内容ではある。それでも、押さえるべきところが押さえられているから、短編でも満足感は普通だったかも。もはや「日常モノ」に長い尺はいらないのかな。そもそも、込み入ったストーリーや設定で魅了するわけでもなく、むしろ、ちょっとした日常の一場面さえ描ければそれで成立しちゃうジャンルとも言える。かえって話を長くしちゃうと、変にストーリーを仕立てなければならないから、日常モノの風味を損なうのかもしれない。そういう意味でも、短編の日常モノっていうのはアリなのかな。

■Robotics;Notes

ストーリー★★★
キャラクター性★★★★
画★★★
演出★★★
音楽★★★
総合的な評価★★★
(総得点=19点)

 科学アドベンチャーってなんだろう。
 確かに、「居る夫」なんかの拡張現実の技術は近未来っぽいし、「ガンバレル」っていうロボットを製作するっていう展開も科学っぽい気がする。どれも現実にありそうな地に足のついた科学っぽさを持っていた。けれど、後半になって出てきた君島関連の技術がチート過ぎるwネット上のデータの集積が君島の人格を形成するっていうのも、みさ姉の着ていたスーツとか乗っていたメカも、あまりにオーバーテクノロジーでオカルトちっくになっていた。物語のインフレーションに従って、より強くより高度な技術を出さないと盛り上がりに欠けるのは理解できる。でも、科学アドベンチャーとしてアリなのかな。
 フラウのキャラクターは強烈だったし、海翔との恋愛は秀逸だった。あそこらへんのキャラクターごとの物語は至って緻密に描かれるんだけど、全体のストーリーとなるとベタ過ぎたりご都合だったりで不満の残る部分もあった。

■僕は友達が少ない NEXT

ストーリー★★
キャラクター性★★★★
画★★★
演出★★★
音楽★★
総合的な評価★★★
(総得点=19点)

 典型的な「受け身の男性主人公」を複数の女性が囲む「ハーレムもの」の形式を取り、ほとんどの場面が「部室」で行われる点で『生徒会の一存』と同じ系列と言える。いわゆる日常系。非常に多くのパロディーを含み、登場するキャラクターの中には特定の作品のキャラクターを流用したようなものさえ見える。とにかく、ギャグ・エロ・美少女・巨乳・ロリ・メガネ・幼馴染・男の娘・腐女子・シスターなどの要素を詰め込めるだけ詰め込んだ、いかにもなライトノベルっていう感じ。そこまで徹底して記号化をしているのに、なぜか作品の後半になって主人公の内面にカメラを向けてしまっていた。それをやるなら、もう少し最初から丁寧にいろいろと描かないといけないだろうし、今さら内面を描かれても記号化の延長にしか見えないから薄っぺらいだけになる。
 映像的には賑やかだったし、安定したラノベ原作枠のアニメだったように思う。なんだかんだ、普通に面白かった。まさか幸村が本当に女の子だったとは思いもよらなかった。はじめは『バカとテストと召喚獣』に登場する秀吉と同じ立ち位置のため、名付けも戦国武将から幸村としたものとばかり思っていたのに…。男の娘ではなく、男の娘的女の子という厄介なキャラクターだった。男の娘は見た目が美少女なのに男性であるというギャップを出すものだが、男の娘的女の子は男性になろうとしているのに見た目が美少女となっている。もともと、見た目が男性のようなキャラクターが実は女の子だったという、男の娘の発想を逆にしたものは昔からあった。けど、今回の男の娘的女の子はそれを前提にした上で、さらにギャップを積み重ねる。女の子が男性を装うからには見た目が男性であるべきところ、それが美少女であるところに二重のギャップが生じる。逆の逆を行くため、目の前に映るキャラクターは結果的に単なる美少女の女の子でしかない。しかし、その背景にはギャップ萌えの積み重ねが見られる。なんとも複雑で妙な感じがする。
 あまりにも主人公の表情の作画崩れが多かった。男だからって適当に扱われたんですね…。誰か主人公に作監修正をのせてあげて!

■PYCHO PASS

ストーリー★★
キャラクター性★★
画★★★★
演出★★★★
音楽★★★
総合的な評価★★★
(総得点=18点)

 この作品そのものがスタンドアローンコンプレックス現象そのものを体現するという皮肉な結果となってしまった。自らのオリジナリティーの不在を『攻殻機動隊』シリーズや『踊る大捜査線』シリーズといった作品を模倣することによって埋め合わせたうえ、そこから生じる作品内の無秩序や論理矛盾には無自覚なまま作品としての構築を図ってしまっている。パロディーやオマージュはアニメの得意とする手法ではあるが、それは既存の表現を下敷きにして自らの表現を付加する二重性にこそ意義を見出すべきだろう。今回は単に引用を重ね、しかも誤った解釈を行い、畢竟、無理解な引用の乱発が作品世界の崩壊を招いた。それぞれの表現を具体的に理解しようとしたところで、その安易な記号性や理念なき模倣性ゆえに徒労に終わる。この作品が作られるべき「動機」とは一体なんだったのか。作品内容が継ぎ接ぎだらけの手垢のついたパッチパークに過ぎず、もはや『攻殻機動隊』シリーズの模倣子であるという点に一義を置くのみと言わざるを得ない。これって、酷評しすぎなのかな…?w
 詳しい感想はこちらへどうぞ。

■まおゆう魔王勇者

ストーリー★★★
キャラクター性★★★
画★★★
演出★★★
音楽★★★
総合的な評価★★★
(総得点=18点)

 あの終わり方はなんだったんだろう…。残り時間が少ないから、とりあえず今後の展開をなんとなく駆け足で少しだけ見せちゃいます…みたいな。物語の絵本のような雰囲気のある背景に、そこから浮き立たないように工夫されたセル素材への質感の貼り込みなどなど、全体的に画面作りも含めていい感じだった。もったいないというか、もっとやればいいのに…。
 内容は典型的なライトノベルの方法に基づく。女の子たちに振り回される主人公だったし、キャラクターは記号化されて名前すら与えられないくらいだった。経済とか政治の知識がそこかしこに散りばめられるけど、やっぱり高校生の知識の延長線上という感じがする。そこらへんは『涼宮ハルヒの憂鬱』のキョンのぼやきに出る知識と同様の流れを感じた。

■はいたい七葉

ストーリー★★
キャラクター性★★★
画★★★★
演出★★★
音楽★★
総合的な評価★★
(総得点=16点)

 そもそも昨年2012年10月から沖縄ローカルにて放映されていたものを、AT-Xで全国放映したものらしい。短編で、しかもローカルながら、クオリティーの高い作品だったと思う。瞳の処理や髪の毛のグラデーションなども手の込んだものとなっていて、キャラクターのデザインと合わせて画面の情報量が高かったように感じた。アニメ制作の中心が否応なく東京となっている中で、沖縄発のアニメとして注目。どこまでが沖縄産なのか、その制作体制が気になる。作品の舞台に地域性を打ち出したものはあったけど、その地域に独特の文化をそのまま取り入れたところがすごかったと思う。ソーキそばやキジムナーといった目立ったものだけではなく、キジムナーの扱い方とか挨拶の方法とか、地域独特の風習や伝統が垣間見られた。方言を何も注釈なしで使っているのもいい感じ。2期の制作があるみたいなので、今から楽しみ。

■キューティクル探偵因幡

ストーリー★★★
キャラクター性★★★
画★★★
演出★★★
音楽★★
総合的な評価★★
(総得点=16点)

 そつがないコメディー作品っていう感じだった。テンポ感良かったし、ドンは可愛かったし、ドンの歌は良かったし、ドンが萌え萌えだったし…。意外と男の娘とか中二病とか、流行りに飛びついてネタにするわりに、それほど話にからませるわけでもないのも面白かった。

■gdgd妖精s

ストーリー★★★
キャラクター性★★★
画★★★
演出★★★
音楽★★
総合的な評価★★
(総得点=16点)

 gdgdのわりには力を入れ過ぎていたんじゃないだろうか…。こんなに手を抜いても面白いのかよっていうところが良かったのに、いろいろ手の込んだことをやり始めると普通になってしまう。タイムトラベルとか、キャラソンとか、新キャラとか、確かにそれぞれ面白いからいいんだけど、それをやり始めるとgdgdじゃなくてもよくなっちゃう。gdgdはラジオのトークにちょっとした映像が付いたくらいの感覚がちょうど良かった。そんなgdgdが第16回文化庁メディア芸術祭にて、並み居る他作品を差し置いて審査委員会推薦作品に選ばれている理由もそこにあるのではないだろうか。

■バクマン。3

ストーリー★★★★
キャラクター性★★
画★★
演出★★★
音楽★★
総合的な評価★★
(総得点=15点)

 努力と友情と勝利をキーワードにした王道マンガを堪能した。王道って強いなぁって思う。作品の中で他の漫画の手法をあれこれ議論しているけれど、それを実践しているのが本編っていう感じだった。バトルもので培われてきた文脈を生かして、それを漫画制作っていう現実味のあるところに落とし込んだのがすごい。地味で動きの少ない映像なはずなのに、なぜかバトルものと同じような興奮とか爽快感を味わえた。
 ただ、やっぱり努力・友情・勝利っていうものが過去のものだっていう感覚も同時にあった。この作品は明らかに古い。よく努力の部分が才能へと変化したと言われるけど、むしろ本来的な本人の資質をどう生かすかを問題とするようになったと考えたほうがいいように思う。努力して自らの資質を変化させて世の中に対応していくのではなく、もとより持ち合わせている資質をどう世の中にマッチングさせるかっていう方向性な感じ。アニメの文脈で言えば、いわゆる「ノブレス・オブリゲーション」の発想に由来するもので、ヒーローのあり方も変わってきている。そんな作品が増える中では、どうしても時代遅れの感は否めない。

■絶園のテンペスト

ストーリー★
キャラクター性★★★★
画★★★
演出★★★
音楽★★
総合的な評価★★
(総得点=15点)

 ストーリーで見せる作品なんだけど、実際はキャラクターで見せる作品だったような気がする。吉野と真広と愛花の三人の関係性や人物像は見どころがあったし、セリフのやりとりなんかは雰囲気があって良かった。そのため、吉野と真広の過去回想や、吉野と愛花の密会の回想なんかは見ていて楽しかった。
 でも、ストーリーがあまりにもご都合主義のなんでもありな展開だったために、世界観そのものが説得力を失って破綻していたように思う。次から次へと真相が転がっていくため、誰の発言も真実味を持たなくなっていた。ひたすら推理を進める場面を見ているとBONESのやるような作品にも思えなくなるし…。途中から急にラブコメ要素をゴリ押ししてきて、なんとも不協和音な感じだったし…。ご都合をするにしても、取り入れる要素がベタで古かったり矛盾していたりでしっくりこない。後半は見るに堪えない内容だった。

■問題児たちが異世界から来るそうですよ?

ストーリー★★
キャラクター性★★
画★★★
演出★★★
音楽★★
総合的な評価★★
(総得点=14点)

 ハーメルンの笛吹を下敷きにしてストーリーが組まれていたけど、あんな短い話数だったためなのか、消化不良のまま終わった感じがする。せっかく良さげな雰囲気はあったのに、もったいない感じ。異世界ものとして『DOG DAYS』の流れを汲むだけあって、手慣れた感じはしていた。なぜノイタミナよりも短い十話完結だったのか、それが残念でならない。

■まんがーる!

ストーリー★★
キャラクター性★★
画★★★
演出★★
音楽★★
総合的な評価★★
(総得点=13点)

 何も特徴がないというか…。同じ短編の『ヤマノススメ』なんかは山の知識と女の子の可愛らしさとのバランスが絶妙な感じだったけど、こっちは漫画制作の工程を追いかけるだけみたいな感じで味気なかった。キャラクターに対する掘り下げが少なかったと思う。映像的にも今時にあっては特徴なし。これくらいの内容であれば、いっそ徹底して手を抜いて作ったほうが面白いかも。

■僕の妹は「大阪おかん」

ストーリー★★
キャラクター性★★
画★
演出★★
音楽★
総合的な評価★
(総得点=9点)

 大阪人のルールをなんとなく理解するにはいいのかな。いっそ手抜き感が徹底していて気持ち良かった。『gdgd妖精s』と連携したパロディーも面白かったし、意外と同時期の作品が枠を超えて互いにパロディーをやるなんて状況は初めてなのかもしれない。

■戦勇。

ストーリー★
キャラクター性★
画★
演出★
音楽★
総合的な評価★
(総得点=5点)

 うーん、評価する域に達していない…。というか、あれ、引退したはずなんじゃなかったっけ?とか意地悪を言ってみる。短編っていうと、何かしら明確な特徴があるものだけど、この作品は何がしたいのかよくわからない。目新しいところもないし、何かに特化しているわけでもないし、だらだらしているようにしか見えなかった。



3、ベスト賞について

■ベストキャラクター賞:神代フラウ(『Robotics;Notes』より)

 今までもオタク少女は何人もいた。というか、ネットに強い少女っていうのは日本刀を持つ少女と同じようなもので、いわゆるひとつの典型でもある。しかし、フラウはレベルが違った。ネットスラングを乱発するオタクっぷりが半端なくいい!デュフフとかキターとかキボンヌとか、それを難なく使ってしまう女の子っていうキャラクターが新しかったと思う。そんな彼女が八汐海翔と恋愛しちゃうあたりも良かった。名塚佳織さんの好演も相俟って、すごく印象深いキャラクターに仕上がっていたと思う。
 そのほか、『絶園のテンペスト』の不破愛花は孤独や悲哀や芯の強さやユーモアも含めて魔女っぷりが半端なかったし、『ささみさん@がんばらない』の邪神つるぎは斎藤千和さんの演技のために半端ないキャラクター性を獲得していたし、『ガールズ&パンツァー』の西住みほは等身大ながらもノブレス・オブリゲーションを実践するキャラクターとして印象に残った。

■ベストOP賞:『ラブライブ!』(μ's「僕らは今のなかで」)

 あんなOPは見たことがない。カロリー高すぎでしょ!動き過ぎでしょ!!本当のライブを見ているかのような感じだった。確かに、3Dのヌルヌル感を払拭できていない部分もあるけど、ロングを3Dで対応して、アップ時はすべて手描きに切り替えるという工夫で、なんとか上手いことやってる。あのOPにラブライブ!の真骨頂が凝縮されている気がした。

■ベストED賞:『キューティクル探偵因幡』(首領・ヴァレンティーノ「プリマ・ステラ」)

 ドンの魂の叫びが聞こえてきた。それだけで十分ではないか!
 他にも『さくら荘のペットな彼女』の2期ED「Prime number ~君と出会える日~」とか、『新世界より』の1期ED「割れたリンゴ」とか、『PSYCHO PASS』の1期ED「名前のない怪物」とか、映像や曲のよさげなものはたくさんあった。けど、ドンには敵わない。

■ベスト声優賞・男性:内山昂輝(『絶園のテンペスト』滝川吉野役)

 どこか影のある雰囲気を出すことに定評のある内山昂輝さんっていう感じがする。『屍鬼』の結城夏野役で頭角を現してから、『機動戦士ガンダムUC』のバナージ・リンクス役に大抜擢され、ここにきて滝川吉野役で新境地を開いたような…。なんだか優しさを感じる大人な演技が良かった。今までは煮え切らない優柔不断な思春期の男性を演じることが多かったけど、滝川吉野の落ち着いた中にも冷静でない部分を持つっていう雰囲気を出す演技が新しかったように思う。

■ベスト声優賞・女性:種田梨沙(『新世界より』早季役)

 文句なしの満場一致で種田さん!新星現る!!
 幼少から大人までの演技をやってのけ、いかにも正統派ヒロインっていう感じの清純な演技が良かった。色気があったり可愛いらしかったりというわけではないけれど、作品にマッチした芯の強い女の子像が浮かび上がっていた。他の役をやるとどうなのか微妙だけど、まずは大役をまっとうした感じ。

4、総評

 今期は不作だった。いや、『ガールズ&パンツァー』は前期からこぼれたものなので…wそれを除いてしまうと、大して目立つ作品がない。映像面でのクオリティーは全体的に間違いなく高まっているし、その点では不作どころか豊作もいいところだったと思う。『AMNESIA』や『まおゆう魔王勇者』で見られた手描きセル素材に対する質感貼り込みの運用は目新しかったし、もはや3Dがテレビアニメの制作工程に当然のごとく入るあたりは目覚ましいものがある。
 けど、アニメの歴史的に向こう5年でも10年でも繰り返し見られるような作品があったかと言うと、おそらく1回見て消費されて終わりな一過性の作品しかなかったと思う。もちろん『さくら荘のペットな彼女』や『新世界より』は今後も見続けられるだろうが、アニメオリジナルというわけではない。オリジナルで言えば『たまこまーけっと』が筆頭になるだろうけど、これも結局は何がしたいのかわからない作品という感じだった。期待していた『PSYCHO PASS』は沈没したし、『ラブライブ!』も映像面・演出面では秀でたものの作品の意義は薄いかもしれない。
 特筆すべきは短編テレビアニメの躍進だと思う。今までも『忍たま乱太郎』や『おじゃる丸』のような作品はあったけど、今回は『ヤマノススメ』をはじめとして年齢層高めを狙ったハイエンド作品として短編が作られている傾向を感じる。その作品数も『gdgd妖精s』『直球表題ロボットアニメ』『戦勇。』『僕の妹は「大阪おかん」』『まんがーる!』『はいたい七葉』等々、今期は数的にも多かった。いわゆる日常系と呼ばれるジャンルが通常の尺を必要としなかったり、通常の尺を作るだけの制作費を捻出するよりかは短編を作ったほうがコストパフォーマンスがよかったり、通常の尺を作るだけの制作体制を用意できなかったり、通常の尺のアニメのクオリティー・インフレーションに付いていけなかったり、漫画の広告媒体としては短編で事足りたり、いろいろと背景は考えられる。とりわけ、普通の尺でもいけるんじゃないかと思わせる内容だった『ヤマノススメ』が短編であることはショッキングだった。
 そこで問題となるのがプロとアマチュアの境界線というか、公式と二次創作の境界線なんだと思う。アニメ制作がデジタル化されたことにより、パソコンと専用のソフトがあれば、やろうと思えば誰でもアニメを作ることができるようになった。そして、その延長線上に『gdgd妖精s』『直球表題ロボットアニメ』『僕の妹は「大阪おかん」』が存在する。これらの作品は本格的なアニメの制作体制を備えていないにも関わらず、商用アニメを世に送り出している。しかも、下手なアニメより面白いし、いっそ割り切っていて気持ちいいくらいに感じる。ただし、ややもすれば中身は二次創作と見られてもおかしくないグレーゾーンにあると思う。特に『戦勇。』は区別がつかない。とういか、『戦勇。』はプロがアマチュアの領域に手を出しているみたいで、なかなかカッコ悪い。短編の躍進を考えると、どうにも二次創作っぽい感じの作品が商用として流通するようになりつつある現状もあるのかもしれない。
 しかしながら、アニメのトップクオリティーを突き進む作品群は依然として揺るぎない。個人制作や短編制作では一部のセクションの技術が突出して高度である場合を多く見かけるけど、やっぱり最前線の作品はすべてのセクションのトップクオリティーを一体的に運用しているからこそアイデンティティーを保っていられるんだと思う。ここにもアニメ分業制の功利を感じる。

テーマ:見たアニメの感想 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2013/03/31(日) 17:11:01|
  2. アニメ四季報
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:1

コメント

こんにちは、土星蜥蜴さん。「ゲームやアニメについてぼそぼそと語る人」の総責任者のピッコロでございます。

このたびはお忙しい中、当ブログの企画に参加して頂きありがとうございました。集計に加えさせていただきました。この企画も今回で20回目を迎えましたが、ここまで続けてこられたのは参加して下さる皆様のおかげだと感謝しています。

なお、今回の企画の中間集計結果の発表については、6月28日(金)21時半から放送のネットラジオで行う予定でございますので、お時間がありましたら聞いて頂けると嬉しいです。

詳しくはこちら→http://picoro106.blog39.fc2.com/blog-entry-6955.html

この企画は今後も継続する予定です。また企画を立ち上げましたら、どうかよろしくお願いいたします。
  1. 2013/06/27(木) 14:22:28 |
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  3. ピッコロ #-
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