土星蜥蜴の「筆のすさび」

日々雑感。 アニメ文化に関する気ままな評論・感想を書き連ねます。

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『RDG レッドデータガール』#09「はじめてのお披露目」の感想。

「相楽さんが君と言うのは、わたしのこと?それとも…、姫神のこと!?」
「同じものだよ、その二つは。」
「違うと思うの。同じじゃなかったの。戸隠のときも…。」
『RDG レッドデータガール』#09「はじめてのお披露目」より

以下、ネタバレが多分に含まれますので、ご了承の上でお進みください。




 ひとりでできるもん!!泉水子が自立への志向を見せたところで、物語は起承転結のうちの転へと入った感じ。そろそろ、泉水子が可愛くて仕方なくなってきた。もはや予想できていたことではあるけど、『西の善き魔女』と同様にSF展開へと持っていくんですね。ここまで来ると、作品の筋立ては目新しくないので、ひとつひとつの表現とか人間関係に注目せざるを得ない。

■通奏低音として流れる名付けによる縛りの発想

「誰、誰のこと…?名前で呼んで!名前で呼んでくれないと、わたしが誰なのかっ…!!」
『RDG レッドデータガール』#09「はじめてのお披露目」より

 かたや泉水子が自立心を見せたところで、姫神とのアイデンティティーの住み分けに問題が移ってきた。姫神は泉水子のからだを媒体として現れるわけだけど、その際に泉水子の精神がどうなっているのかはわからない。別に泉水子という名前を失っているわけではないけど、その存在が希薄になってしまっているのか、それとも本当に姫神と泉水子が同一の存在であるのか、今後の展開による感じ。

「相楽さんが君と言うのは、わたしのこと?それとも…、姫神のこと!?」
「同じものだよ、その二つは。」
「違うと思うの。同じじゃなかったの。戸隠のときも…。」
『RDG レッドデータガール』#09「はじめてのお披露目」より

 泉水子が鋭い質問をするようになったもんだ。娘の成長を見守っている気分がしてしまう…。確かに、戸隠の例を考えれば、泉水子と姫神は別の存在だったことになる。
 ただし、今のところ姫神の本当の名前が登場していない。名前を呼ばれて縛られていないのに、深行の前に立ち現れることができるって、どういうことなのか。単純に、それだけ強い存在っていうだけなのかもしれないけど。。もしくは、姫神の本当の名前も泉水子であって、SF的に言うところの異次元同位体的なものだったりするのかな。まぁ、それは今後を見ていけばわかること。
 とりあえず、ここで注目したいのは名付けによる縛りの発想が作品において重要なものであるということ。作中では和宮が名付けによって具象化していたり、真澄も実体は九頭竜大神なんだけど名前を与えられることで真澄として顕現していた。今回も姫神から泉水子を取り出そうと深行が泉水子の名前を叫んでいたのは、その発想によるものと考えていい。
 そして、この発想は今までの作品で多く取り入れられてきたものだった。たとえば、『千と千尋の神隠し』で湯婆婆が千尋から名前を奪って千としたのも同様のもの。あれは名前を奪うことによって、千尋の存在を縛ったものと言える。また、『ゲド戦記』においても「真の名」の発想が見られ、夢枕獏『陰陽師』でも「呪」という言葉による縛りの話が出てきていた。そうそう、『亡念のザムド』の最終回あたりでも名付けの発想が用いられていた。『ハリー・ポッター』でヴォルデモート卿の名前を「名前を呼んではいけない例のあの人」と避ける発想も、本当の名前を呼ぶと存在を近くに感じてしまうからであり、これと同様の発想に基づくと考えられる。『コードギアス 反逆のルルーシュ』で日本人から名前を奪ってイレブンと名付けたことも同じだろうか。名は体を表すというか、言靈信仰というか、諱(いみな)や字(あざな)の発想というか、とにかく名前によって現象が固定化されるという発想は洋の東西を問わずに多く見られる。落語や歌舞伎の世界で名前を世襲するというのも、これらの発想に由来するのだろうか。
 あるいは、この名付けの仕組みを取り入れたことが『西の善き魔女』に比べ、本作の真骨頂だったりするのかもしれない。これが今後の物語の展開にどう意味を持ってくるのか。

■泉水子の自立心

「三つ編み頭をどうするつもりだ?」
「頭に被り物があるから、まとめるだけでなんとかなると思う。」
「じゃぁ、何があっても解かないんだな!」
「わからない…。」
「なんだよ!わからないってのは…!!」
「髪を解けば姫神に成り変わるわけではないって、戸隠でわかったし。」
「だからって…!!」
「わたしだって、一生おさげのままでいたくない!いつかは解かなきゃ。解いたとき、何がどうなるか、わかっていかなきゃ!!」
「なんだか、遅い反抗期みたいだな…。」
「どうするのが自分のためか、これからは自分でわかるようになる。」
『RDG レッドデータガール』#09「はじめてのお披露目」より

「心配しなくても、成り変わってなんかいないよ。みんなの前で成ったりしないもん。」
『RDG レッドデータガール』#09「はじめてのお披露目」より

 深行の冷静なツッコミが面白い。確かに、反抗期すぎるwそして、泉水子の意地っ張りな感じが可愛いすぎて。。後半が姫神のターンだっただけに、ここで泉水子が自立しているっていうことを印象付けることが必要だったんだろうと思う。そうでもしないと、単に泉水子が自我を持っていないから、姫神に乗っ取られるという解釈に落ち着きかねない。泉水子は既に自立しており、だからこそ姫神が乗り移っていることが不思議でもあり問題にもなり得る。

■物語の核心へ

「今わかった。わたしは深行くんに、普通の女の子として認めて欲しいだけ。でも、彼が姫神に仕える道を選んでしまったら、その機会は永遠に訪れない。」
「息子ながら、困った小姓だな。あいつもそろそろ理解すべきだ。自分が姫神に選ばれていることくらいは…。」
「いつ…!?」
『RDG レッドデータガール』#09「はじめてのお披露目」より

 これって、深行の父親を前にして堂々の交際宣言じゃないですかwずいぶん泉水子も大胆になったものだ。ただ、言っている内容は別の意味で重い。
 ここで雪政が深行のことを「姫神に選ばれている」と言っているのは、そのまま泉水子に深行が選ばれているっていう意味になる。それは、直前に雪政が泉水子と姫神を同じ存在だと考えていることから延長すれば当然の解釈と言えるはず。泉水子が深行に認めて欲しいって言っているのは単なる恋心なのかもしれないけど、それは同時に泉水子の持つ姫神の性質としても深行が相手として選ばれたということなんじゃないだろうか。泉水子が「いつ…!?」と質問した答えは「今」に違いない。まさしく今になって、泉水子の告白を聞いて雪政は「選ばれた」と理解したんだと思う。何も知らない泉水子や深行からしてみれば、姫神を含めた三角関係だね。

「無念の死だったんですか?」
「無念でないはずがなかろう。わたしは自分自身で、人類を絶やしたのだから。わたしは自分の死を見放して、自分とともに滅ぼした。だが、からだを失う瞬間に過去へと旅することを知ったのだ。わたしは心の底から助けを必要としていた。わたしを理解してくれる人物を…。滅びではない、未来のために。千年以上の試みの果てに戻ってきたわたしは、脳と卵巣だけが永久保存された世界遺産になっていた。だが、滅亡という未来は変わらなかった。」
「世界遺産…。」
「ここにいるのは、三度目に何千もの世代を降ってきたわたしだ。からだを持たないわたしは、だんだん自分が誰かを忘れかけている。だから、四度目はおそらく、ない。これが最後の試みなのだ。」
「あなたは神ではなく、鈴原の家系に通じる一人の人間だったんですね。」
「人の種を滅ぼすことのできるわたしは、本当に人間か?この力があまりに異常なので、二度目の未来では抹殺され、標本として取り置かれたのだぞ。」
「ぞっとする話ですね。」
「わたしの能力は、わたしを人間と敵対させる立場に立たせる。人ではなく、この星そのものに与する立場に。これを引きとどめてくれる人々を探しているのだ。」
『RDG レッドデータガール』#09「はじめてのお披露目」より

 やたら古臭い言い回しをするから過去からの怨霊だったのかと思えば、未来から過去へと遡って、また現在に至った感じだった。この一見してファンタジーな物語だったのがSFへとシフトするあたり、『西の善き魔女』とまったく同じ。あちらではフィーリとバードが出てきたり、「果ての壁」や「真昼の星」の話になったあたりからSF展開になっていた。でも、そうなると乙女ちっくな持ち味が損なわれて、なんとなくどうでもよくなったりするんだけど。泉水子と深行の恋愛物語が最後まで続いて欲しい気もする。



 なんだろう、ここまで『西の善き魔女』と同定されてしまうと、もはや泉水子の可愛いさを見るための作品になってきてしまうかもしれない。ファンタジーとして名付けの発想をしっかりと取り入れるっていのは一つの挑戦ではあるだろうけど、それだけだとしたら少し意義が薄い。何か大切な要素や表現を無意識のうちに見落としていないか心配になってくる。もう一度、見直してみようか…。

テーマ:見たアニメの感想 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2013/05/12(日) 03:50:48|
  2. RDG レッドデータガール
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