土星蜥蜴の「筆のすさび」

日々雑感。 アニメ文化に関する気ままな評論・感想を書き連ねます。

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『RDG レッドデータガール』#12「世界遺産の少女」(最終回)の感想。

「姫神にならずに済む、人類を滅ぼさずに済む方法を一緒に探してやるよ!!だから、必要だって言えよ!!」
「言えたらいいけど、言ったら最後だよ。」
『RDG レッドデータガール』#12「世界遺産の少女」より

以下、ネタバレが多分に含まれますので、ご了承の上でお進みください。




 早くも最終回を迎え、みんな少しだけ大人になって物語の幕を閉じた感じだった。ここまで真っ直ぐ丁寧に高校生の恋愛を描かれると、ときめいちゃうではないか!!最後までSFの臭いを極力抑え、泉水子と深行の恋愛物語として貫徹されて良かった良かった。結局は、『眠れる森の美女』的な類話として、お姫様を王子様が助けに来るっていうパターンでしかなかった。下手をすれば『西の善き魔女』のSFエンドになったり、『ファンタジックチルドレン』みたいな転生オチになりかねなかっただけに、無事に恋愛モノとして終わってホッとしてしまった。とりあえず、Cパートの泉水子ちゃんが可愛い過ぎて萌え死ぬかと思ったよ。それに、深行が進んで泉水子を抱きしめたことも良かった。今回は作品が確定したので、まとめとして少し長めの感想です。

■同定された泉水子と姫神

「これ、鈴原が関わっていると思いますか?」
「はっきりしたことはわからない。だが、何かがあるということだけは、前からわかってたんだ。」
「姫神に関係することなんですか?」
「泉水子さんは、今日目覚める。そう予言されている学園祭だった。」
『RDG レッドデータガール』#12「世界遺産の少女」より

 前々から泉水子と姫神が同一人物であることについては雪政によって指摘されていたし、深行や泉水子自身もその可能性を想定していた。それが最終回になって明らかになったような感じ。結局、姫神の本当の名前が最後まで呼ばれなかったのも、姫神自身が泉水子と同一人物であったことの証拠にもなるんだろうか。和宮や真澄の例から考えて、作中に名付けによる現象の縛りや固定化を行う概念を取り入れていることは確実だし、敢えて姫神の本当の名前を出さなかった理由は何かしら意図があるものと考えるほうが自然だろうと思う。というか、おそらく姫神の名前も泉水子だったんじゃないのかな。三度目の転生だって言っていたけど、要は失敗バージョンの未来から泉水子の精神体が過去へと飛んできたってことでしょ?そう考えるとスッキリするような感じ。SF的な考証については後述。

「わたし、一度も姫神になっていない。あれほどのことがあったというのに、やってのけたのは姫神じゃなく、わたしだった。結局、わたしが姫神だったの。別々の存在だと、わたしが思いたかっただけなの。こんなわたし、もう誰にも見られたくない。ここから二度と出なければ、みんな何事もなくて、わたしだって、人類の存亡とかいうことにも関係しなくて済むのかも。鳳城学園になど来なければ良かった。」
『RDG レッドデータガール』#12「世界遺産の少女」より

 実は姫神に憑依されなくとも、泉水子は姫神が持っているとされる能力を自ら使用することができた。これが泉水子と姫神を同定する決定的な現象だった。そして、泉水子は熊野の引き籠り時代に戻ろうとする。それでもいいんだろうけど、それだと誰にも存在を認知されず、泉水子という現象がこの世に存在しなくなってしまう。それはそれでマズイのかもしれない。とにかく、本人の意志は他者との関係性を絶つ方向へと傾く。そこへ深行が登場して外の世界へ引っ張り出し、泉水子が普通の女の子として生きていけるようパートナーになろうとするって寸法だった。

■泉水子の観察者たる深行

「さっき、突破する強度の話をしたな。あれはどういう方面の強度なんだ?」
「するべきことを信じる強度だ。未来がつなげる事象の強度。」
「鈴原、お前、姫神を一人で抱えるつもりなのか!?普通の女の子になりたいんじゃなかったのかよ!!?」
『RDG レッドデータガール』#12「世界遺産の少女」より

 つまり、具体的には深行が泉水子のことをどれだけ信じられるかっていうことだった。深行が普通の女の子としての泉水子との未来を明確に想像できるか、それを固く信じることができるのかっていうことでもある。泉水子は引き籠ろうとするんだけど、それを深行が引っ張りだす構図になる。これは熊野から鳳城学園へと移る際の泉水子と深行の関係性とまったく同じ。

「今日わたし、自分が姫神だとわかって、誰も彼も恐くて、人から見られたくなくて、ずっと隠れていたかったの。でも、和宮くんや深行くんが来てくれて、少し気が晴れたみたい。」
「お前さぁ、俺が必要だって言えよ。」
「えっ!?」
「言わなきゃわかんないんだよ。俺だって、そう思われてもいないのに行動できないし、わかっていると思うが、俺は下僕にはならない。だけど、お前の姫神は重過ぎるから、一人で抱えるのは無理だ。姫神にならずに済む、人類を滅ぼさずに済む方法を一緒に探してやるよ!!だから、必要だって言えよ!!」
「言えたらいいけど、言ったら最後だよ。」
『RDG レッドデータガール』#12「世界遺産の少女」より

 恋愛ですね。ここまで丁寧に過程を描かれると、見ているこっちが恥ずかしくなるような…。青春真っ盛り。お互いにお互いを必要とする関係になって、相手を自分の問題に遠慮なく巻き込める安心感を持てるのって、すごく貴重な関係だと思う。
 泉水子は深行にその現象を観察されるからこそ、普通の女の子としての実態を維持して確定させることができるのかもしれない。深行が「お前はこういう普通の女の子だ」っていう認識を泉水子に与える限り、泉水子の存在は不安定になって姫神としての能力を暴走させることはないはず。したがって、おそらく世界を滅亡させるようなこともないってことかな。深行が泉水子の名付けの主になったということでもあり、それこそ雪政の言う「姫神に選ばれる」っていうことなのかもしれない。
 ちなみに、この泉水子と深行の関係性は、そのまま『千と千尋の神隠し』で言うところの千尋と湯婆婆の関係と同じ。あちらも湯婆婆が千尋の名前を奪うことによって、湯婆婆は千の名付けの主として千を使役することができた。今回は使役の関係ではないにしても、その名付けによって相手を縛る意味においては両者とも同じ。

「私が相楽くんを巻き込んだんだ。思わずそう言ったら、それが真相だったことに気が付いた。期待していると思いたくなくて、真響さんには、相楽くんを貶し加減に言っていたことも…。」
『RDG レッドデータガール』#07「はじめての迷子」より

「わたし、相楽くんのこと、巻き込まれただけでこういうことに無関係なはずなのに、すごく迷惑だろうと思っていた。でも、真澄くんとまともに付き合っていることだけでも、もう普通とは違う気がしてきたの。」
『RDG レッドデータガール』#08「はじめてのお願い」より

「今わかった。わたしは深行くんに、普通の女の子として認めて欲しいだけ。でも、彼が姫神に仕える道を選んでしまったら、その機会は永遠に訪れない。」
「息子ながら、困った小姓だな。あいつもそろそろ理解すべきだ。自分が姫神に選ばれていることくらいは…。」
『RDG レッドデータガール』#09「はじめてのお披露目」より

 泉水子視点での深行に対する思いをまとめると、こんな流れになる。最初は深行を自分の運命に巻き込むことに気兼ねしていたけど、次第に深行に無関係でいて欲しくないという欲求を持ち始める過程が見て取れる。まさしく、わたしのことを見て!!っていう感じ。そして、見事に深行もそれに応じた。というか、最後まで泉水子は深行に対して直接「わたしを見て!」とは言えなかったけど、それも含めて深行側からアプローチを受けた感じだった。深行は泉水子の騎士だったわけだ。

■アニメとは異なる文脈

「わたし、もう学園に戻れない。あんまり人間じゃないみたいだから。」
「鈴原さんは人間だよ!」
「それなら今、どうして真澄くんとここにいるの?」
「人間よりずっと高い波動に神霊が住んでいる。鈴原さんは人間だけど、生まれつき波動を高くできるんだ。そういう人間、昔はけっこういたけど、今では絶滅危惧種だよね。だから、オレ鈴原さんがいいなぁって思い始めたんだ。つまり、泉水子ちゃんが好きだよって意味だよ!?」
『RDG レッドデータガール』#12「世界遺産の少女」より

 ちょっと僻目になるかもしれないけど、この「人間じゃない」って発想はアニメ的には異端や異類の物語の系譜に近いものがある。たとえば、人間じゃないんだけど人間として生きようとした『BLOOD+』とか、魔女による魔女狩りに悩む主人公を描いた『Witch Hunter ROBIN』とか、この手のテーマを描いた作品は多い。自分では普通の人間として人の世に生きていたいんだけど、生来の能力によって普通の人と交わることを阻害される形式を持つ。この文脈に沿って本作を捉えることもできなくはないだろうけど、そんなに異端の要素を色濃く作中に反映させていない。
 また、泉水子が姫神という霊的な存在に変異する形式は魔法少女モノと共通するものがある。でも、これも当たらず。むしろ、泉水子は変身したがっていない。
 さらには、泉水子と深行の関係性が世界の滅亡へと直結する点では、いわゆる「セカイ系」に類する作品と見ることも可能かもしれない。しかし、これも今回は外れていると思う。そもそも、セカイ系の定義に明確なものはないし、なんとなく一連の関係する作品群があるとされるだけでしかない。代表的なものとしては『新世紀エヴァンゲリオン』『少女革命ウテナ』『ぼくらの』『最終兵器彼女』『交響詩篇エウレカセブン』『魔法少女まどか☆マギカ』などなど、広く意味を取れば多くの作品が含まれる。その要件とは、没個性な主人公が世界の滅亡という極限状態に差し迫られることで、否応なく主体性の獲得を促される形式にあると思う。要は主人公の成長譚であることが最低条件だろう。最終的には、世の中に対して、自らどのように関わるのかという主体的な姿勢を見出すことが肝要となる。つまり、自我の獲得でもある。
 そう考えると、泉水子は最後の最後まで自分というものを自ら規定できたかどうか怪しい部分が多々あるため、セカイ系とは言えない。というか、深行に観察されることによって、泉水子は自らを規定することができたわけで、自立とは決して言えないだろう。結局は、眠り姫にキスをしに来る王子様という構図でしかない。
 SF設定もそれほど印象を残すようなものではなかったし、結局は何の設定を取ってみても恋愛物語のお膳立てに過ぎなかった。女の子にとってはお姫様を助けにやって来る白馬の王子様こそ至高の理想だということなんだろう。

■SF設定は謎のまま

 結局、どうだったんだろう。姫神は三度目の転生だっていうこと、姫神は泉水子と家系を同じくする存在だということ、姫神は世界を破壊する力を持つということ、これくらいしか確実な要素はなかったんじゃないだろうか。神霊とか修験者とか霊的なものを多く登場させてはいるけど、その根底にあるものはSFだった。ここらへんを突き詰めると、士郎正宗の発想になるのかな。具体的には『神霊狩』とか『RD潜脳調査室』とかで描かれていたし、士郎正宗の『攻殻機動隊』原作コミックでも神霊の方面へと話が進んでいる。それはそれとして、本作がどんなSF設定を想定しているのか不思議だった。考えるだけ無駄だけど…。
 問題は量子論的な多宇宙解釈によるパラレルワールドを想定しているのか、あるいはタイムパラドックスを含む古典的な同一時間軸における時間移動を想定しているのか、どちらに依拠しているのかが大きな分かれ目になると思う。前者であれば姫神は他次元における異次元同位体ということになるんだろうし、後者なら単に未来の泉水子ということになる。この作品では、どっちでもいいのかな。前者の設定を使った作品としては『ノエイン -もうひとりの君へ- 』があり、後者はたくさんある。そこらへんの解説としては『夏のあらし』の冷蔵庫の中の牛乳の例えが解り易かった。
 なんにしても、あくまでお膳立てなんだから、単に姫神が泉水子の未来の姿だっていうだけで、短絡的に受け止めても作品理解には支障ないと思う。

■九頭竜大神と真澄と宗田兄弟

「僕なら確かに案内はできるよ?だけど、鈴原さん自身が戻ってきたくないと考えているんだ。そして、向こうには強敵が居座ってる。」
「強敵!?なに敗北宣言してるんだよ、お前!!」
「真澄がいるんだよ、この向こう側に。」
「どういうことだ?」
「オレ、アイツは一番変わらないヤツだと考えていた。でも、そうじゃなかった。真澄は見つけてしまったんだ。オレら兄弟の他に、好きな人を、泉水子ちゃんを!!」
『RDG レッドデータガール』#12「世界遺産の少女」より

 真澄は泉水子のことを好きになっちゃったんだけど、その「好き」っていう概念をどう理解するかが問題となる。そこで、作中でもフラッシュバックされていた、真澄の発言をヒントとして考える必要が出てくる。

「今でも同じに二人が好き?」
「あぁ、そういう意味。」
「好きだから、わたしたち会いたいと思ったり、相手のことが知りたいと思ったりするんでしょ?」
「鈴原さん、彼氏いる?」
「えっ…!?いないよ、どうして?」
「たとえばさ、俺が行き場のない霊を見かけて、こいつらこのままじゃダメだなぁっと思って、喰っちまうことがあるだろ?それも、好きのうちだよな。」
「えっ、それはどうだろう。」
「俺がそいつらと一つになっても構わないと思ったということは、嫌いじゃないってことだろ?」
「そうだね。相手のためを思って、相手を引き受ける気になるというのは、そうかな。」
『RDG レッドデータガール』#10「はじめての学園祭」より

 これって、真澄にとって好きになったっていうことは、もしかして泉水子を食べちゃいたいっていうこと?真澄の正体は九頭竜大神であって、それを「真澄」という名前で顕現させているわけだから、より強大な力を持つ泉水子に目移りしても不思議ではないっていうことなのかな。そして、泉水子の力を取り込んで、より強くなるみたいな。う~ん、なんか違うような気もする。
 この時点では泉水子は行き場のない靈と同じだったと考えれば、真澄の発言も行動も筋を通して理解することができる。だけど、なんとなくパズルのピースが足りないような気もする。っていうかさ、結局、真響・真夏・真澄の話に関しては描写が少なくって、ちょっと作中の記述だけでは理解するには及ばないんじゃないのかな。こればっかりは原作を読まないと、なんとも言えないかもしれない。



 さてさて、終わってしまいましたよ。純粋な恋愛モノであって、それを丁寧に描いた稀有な作品だったと思う。主人公の性格付けをあそこまで最初から組み上げていくなんて、最近の作品ではとんと見かけない。いまだにお姫様を迎えに来る白馬の王子様っていう構図を取るのも、なんだかレトロ感たっぷり。この作品そのものが絶滅危惧種だったんじゃないのかな?まさしく、レッドデータガール!!

テーマ:見たアニメの感想 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2013/06/02(日) 05:00:59|
  2. RDG レッドデータガール
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