土星蜥蜴の「筆のすさび」

日々雑感。 アニメ文化に関する気ままな評論・感想を書き連ねます。

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『翠星のガルガンティア』#09「深海の秘密」の感想。

「本施設は旧世界文明の研究施設と判明。ただし、その詳細は人類銀河同盟の機密事項に抵触。」
「機密って…?」
『翠星のガルガンティア』#09「深海の秘密」より

以下、ネタバレが多分に含まれますので、ご了承の上でお進みください。




 設定の暴露回だった。設定としては目新しさもあって面白いんだけど、だから何って感じで、なんだか理念が感じられない。それで、この設定を使って何を描きたいのかっていう部分が今のところ見当たらない。ここまでに多くの時間を割いて描かれてきた、文化人類学的な異文化相対主義に基づく異文化の接触や、客人(マレビト)やアナクロニズムの発想に基づいたシナリオの構築に対し、今回のヒディアーズや人類銀河同盟の設定が何も絡んで来てないように思う。まるでSF設定が取って付けた上辺だけのものに見えて、物語に対して有機的に働きかけていないように見える。

■事の真相

「データの開示は不可能。」
「不可能?」
「本施設は旧世界文明の研究施設と判明。ただし、その詳細は人類銀河同盟の機密事項に抵触。」
「機密って…?」
「こんなときに何の意味がある!?」
「軍規である。」
「現状を踏まえろ!本隊と連絡途絶の際は、現場の最高階級者が指揮権を持つ。そうだな?」
「肯定する。」
「ここでの最高階級者は誰だ!?」
「レド少尉である。」
「レド少尉は、パイロット支援啓発インターフェイスシステム・チェインバーに機密情報の開示を要求する。」
「了解。命令を遂行する。」
『翠星のガルガンティア』#09「深海の秘密」より

 つまり、ヒディアーズは人類を遺伝的に操作して進化させた生命体だった。地球が第五次氷河期を迎えるにあたって、人類は宇宙への進出を余儀なくされた。そこで、宇宙ステーションや恒星間移民船の開発を急ぐ動きが出てくるに際し、新たに居住可能な惑星へと移民するには人間の寿命を超える長時間の移動が必要となってくる。それを解決する方法として、ワームホールを利用した超光速航法と、人類を生物的に宇宙空間に適応させる方法の、大きく二種類の方針が打ち出された。結果的に両方とも成功し、人類は地球を離れて宇宙へと旅立つことになる。
 ただし、その開発にあたって、人間を遺伝的に操作して宇宙空間へと適応させようとする動きには大きな反発が生じた。旧来の文化的価値観や倫理観に照らし合わせて、人間の遺伝情報を意図的に書き換えて操作することは、一部の人々の強い反発を招くことになる。その流れにおいて、生物的に人間を操作して宇宙への進出を図るグループと、ワームホールを利用して宇宙進出を果たそうとするグループの対立構造が生まれることになる。これが、後のヒディアーズと人類銀河同盟の対立へと発展することになり、実のところ、レド少尉の参加していた戦闘は人間対人間の戦争に他ならなかったということになるのだろう。

「地球型ヒディアーズは従来型より大幅に弱体化している模様。戦闘能力は当機の百二十分の一。現状の武装であれば、連続して撃退可能。」
『翠星のガルガンティア』#09「深海の秘密」より

「天敵の不在による、退化適応と推測。」
『翠星のガルガンティア』#09「深海の秘密」より

 クジライカが旧文明の遺跡に群らがっていたのは、そこが研究施設だったからだと推測される。魚も住めない場所にも関わらず生存できていたのはヒカリムシというナノマシンによるものであり、ヒディアーズより性質が劣っていたのは宇宙へと進出する前の形態を残していたからだろうと思う。したがって、クジライカはヒディアーズのプロトタイプということになる。弱体化や退化適応というより、祖先だと考えたほうが適切かもしれない。

■歴代の宇宙アニメの文脈から

 確かに、今回の設定は非常に斬新だと思う。思うけど、宇宙に適応進化した人間と従来の地球居住に適応した人間との性質差に起因する戦争は『機動戦士ガンダム』で何度となく描かれてきたし、実は敵とされる存在が人間でしたっていう展開は『機動戦艦ナデシコ』で既出、そもそも宇宙怪獣を相手にロボットで戦う類型作品は『トップをねらえ!』などなど多数にのぼる。これらをぐちゃぐちゃに混ぜて、実は宇宙怪獣は人間でしたっていう猟奇性を伴った設定に仕立て上げただけのような感じがする。人間対人間を描くなら『機動戦士ガンダム』や『機動戦艦ナデシコ』で事足りているだろうし、宇宙怪獣を倒す正義の味方を描くならスーパーロボットな作品を見ればいいし、それこそマクロスシリーズで十分だろうと思う。設定そのものは今までに見ない目新しさがあるんだけど、それを使って描いている内容に今のところ新しいものを見出せない。やっぱり肝心のグッと来るものがないんだよね。



 これからレド少尉がどんな行動を取るのかが作品の成否を見極めるポイントになるのかな。けど、あんなに軍規に忠実だったレド少尉が手のひらを返したような行動を取るようには思えない。っていうか、今までの文化的な生活の描写がどう作用してくるっていうのかがわからん。

テーマ:見たアニメの感想 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2013/06/03(月) 01:34:57|
  2. 翠星のガルガンティア
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