土星蜥蜴の「筆のすさび」

日々雑感。 アニメ文化に関する気ままな評論・感想を書き連ねます。

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『革命機ヴァルヴレイヴ』#10「恋の選挙公約」の感想。

「ハルト、待って!無茶だよ、たったひとりで。」
「無茶だけど、でも、行くんだ!」
「意味わかんないよ、わかってるなら行かないで!」
「ダメだ!行く!!」
「ハルトのお父さんじゃなくて、わたしのお父さんだよ!?ハルトには関係ないよ!!」
『革命機ヴァルヴレイヴ』#10「恋の選挙公約」より

以下、ネタバレが多分に含まれますので、ご了承の上でお進みください。




 今回はハルトとショーコとサキの三角関係を展開した回だった。なんともアニメとラノベ、それぞれの要素がせめぎ合っている感じ。う~ん、にしても今回は演出も作画も動画もヘタってるカットが多かった気がする。第二原画のクレジットに海外の動仕を斡旋する会社名まで入ってるってことは、相当スケジュールが足りなくなっていた証拠でもある。おそらくレイアウトチェックの段階で多くの時間を使い過ぎて、それ以降の工程をすべて巻き上げたんじゃないだろうか。ショーコの演説を聞いているモブのトメカットの尺とか、アキラ部屋でのアキラの身体の向きのカットつなぎとか、演出の不具合がいくつか見られたような…。

■内に引き籠るサキと外に踏み出すショーコ

 太陽と月のように見える。ショーコが太陽で、サキが月。
 ハルトを取り囲む二人が対照的に描かれ、ダブルヒロインの面目躍如たる話の展開だったように思う。

「人生一回だけだもん!やりたいこと、叶えたい夢、全部チャレンジしよう!!」
『革命機ヴァルヴレイヴ』#10「恋の選挙公約」より

 とにかく、ショーコは明るく前向きで、人望のあつい人物として描かれる。誰からも好かれる性格で、気さくな人柄。なんでショーコとハルトが両想いなのか、その物語が描かれないところが不満ではあるけど…。とりあえず、サキはそんなショーコに引け目を感じ、誰にも見てもらえない自分を卑下する感があった。

「仲良くやろうぜ、これからはチームなんだからな!」
「チーム…。」
「ひとりじゃないってことさ。」
「はい…。」
「ふたりぼっち終了か。」
『革命機ヴァルヴレイヴ』#10「恋の選挙公約」より

 今まではハルトとサキの二人だけが特別な「カミツキ」だったのに、そこへキューマとライゾウが入ってきてしまった。サキが秘密の共有という関係性に頼るのもどうかという感じだけど、そこらへんの屈折したサキというのが真っ直ぐなショーコと対比される。

「発作の感覚が短くなってる?」
「怖いよ…。このままどんどん短くなって、ゼロになったら、獣みたいに人を襲って回るんじゃないかって。」
「ハルト、そのときは、わたしが殺してあげる。」
「えっ…、うん。殺されるなら、流木野さんがいいな。」
『革命機ヴァルヴレイヴ』#10「恋の選挙公約」より

 まぁ、ヤンデレなんだろうか。特別な関係でありたいという気持ちの表れでもあるだろうし、それは秘密の共有の関係とも同じ属性を帯びると思う。そして、この直後にショーコが登場すると、途端に顔を暗くさせるサキというのもショーコに対する引け目を表現したものだった。ハルトに対し、自分だけを見て欲しいという、いかにもヤンデレな発想を行動原理とするサキっていう感じ。

「そうか、これって、呪いなんだ。」
『革命機ヴァルヴレイヴ』#10「恋の選挙公約」より

 だからこそ、ハルトに無理矢理に犯されているときも、呪いだと思って、あっさりと受け入れてしまう。それこそ、特別な関係になれるから、抵抗するどころかハルトの頭を抱いて手も握り返した。

「ショーコさん、勝ったって。」
『革命機ヴァルヴレイヴ』#10「恋の選挙公約」より

 そして、事後における余裕の勝利宣言wここまではショーコに対する敵意や嫉妬を隠し切れずにいたサキも、ハルトとの行為を終えて揺るぎない関係性を築いた上はショーコなど相手にならなくなった感じ。だから、余裕の「ショーコさん」という呼び方だったんだと思う。しかも、ショーコが「勝った」と、まるで他人事のような口ぶりで、もはや自分は高見の見物といった感すら受け止められる。ここのセリフは重厚で意味深いいいものだった。さすがです。すげー。


■アニメとラノベのせめぎ合い

「ハルト、待って!無茶だよ、たったひとりで。」
「無茶だけど、でも、行くんだ!」
「意味わかんないよ、わかってるなら行かないで!」
「ダメだ!行く!!」
「ハルトのお父さんじゃなくて、わたしのお父さんだよ!?ハルトには関係ないよ!!」
「あるよっ!!だって、ショーコが泣いてる!!大切な人が泣いてるんだっ!!今無茶しないで、いつするんだ!!」
『革命機ヴァルヴレイヴ』#10「恋の選挙公約」より

 今でしょ!!wwwとか叫びたくなった。意識したのかなw
 それはそれとして、この意固地に自分の意志を通そうとするハルトの精神性は如何にもラノベの主人公の血脈を引き継いでいるように見える。たとえば、典型的な例としては『おまもりひまり』の主人公である天河優人が挙げられる。例によって、周囲の女性キャラクターに振り回される受動的な主人公像であることはもちろん、自分の決意によって彼女たちを守ろうと行動を起こすキャラクターとして描かれている。その動機付けは作品内で用意されてはいるものの、それほど強制的な状況下に置かれた上での判断ではなく、単に主人公のお人好し的な性格に由来する安直な動機の獲得のようにも見受けられるものだった。今回も同様に、ショーコが言うようにハルトの動機は間接的で弱いものという印象を受ける。

「僕は、なんてバカだ!どうして気付かなかった!!ショーコはひとりで…、ひとりぼっちでずっと闘ってたんだ!!」
『革命機ヴァルヴレイヴ』#10「恋の選挙公約」より

 確かに、ショーコのことが好きで、そんな彼女を守りたいという気持ちを動機として考えることは可能だと思う。しかしながら、大好きな彼女のために身を捧げてでも目的を遂げようとすることは美談にはなるけれども、アニメの文脈における主体性を獲得する主人公像としては不足を感じないわけでもない。ハルトにとっての止むに已まれない動機として、「ショーコのため」と言うのは説得力に欠ける。そもそも、この物語においてハルトがショーコを好きである理由がほとんど描かれていない以上、その動機付けは不十分と言わざるを得ない。それこそ、幼馴染だからという安直なラノベ的な記号としてのヒロインをショーコが受け継ぎ、ハルトもまたラノベの文脈によってショーコを好きになって守ろうとしているとしか思えない。

「わたし、選挙に出る。わたしもハルトと一緒に戦いたいの。守ってもらうだけじゃなく、隣に並んでいられるわたしでいたいから。」
『革命機ヴァルヴレイヴ』#10「恋の選挙公約」より

 ここで選挙への出馬を決意するショーコの気持ちの切り替わりも、その動機も明確ながら具体性に欠ける。というか、突然すぎるでしょwショーコが父親の行方不明を知りながら一人で戦っていたという文脈も、今回の話で突如として浮上してきたものだった。父親が総理大臣という設定は依然から垣間見られるものだったけど、まさか生存が危ぶまれる状態にあったとは…。伏線らしい伏線もなく、物語の文脈を後付けで補っているような印象を受ける。というか、この文脈の断裂はライトノベルでよく見かける手法でもある。
 特に、ハルトは自分の内部に動機を求めず、他人のために奉仕するというような、動機を他者へと転嫁する発想を持つ。これは他者依存であって、動機付けすら受動的で主体性を持たないものと言い換えることができる。それにもかかわらず、ハルトは大袈裟に絵馬を殴って叫んだりもする。まるで、自分の固い決意のもとに行動しているかのような陶酔感を抱いているように見えるけど、それは他者に由来するものであって、真に自己を確立するものにはつながらない。
 前回の犬塚キューマと対照的な描きようでもあり、そこにアニメの文脈とラノベの文脈の鮮やかなコントラストが浮かび上がっているように見える。

■SF考証

「3V計画…。」
「中立平和を謳うジオールは、その建前上、大きな軍隊を持てない。そこで、たった1機で艦隊すら相手にできる兵器を開発することになった。」
「それがヴァルヴレイヴか…。しかし、そんな都合のいい兵器がよくも開発できたものだ。」
「RUNEのおかげだよ。噛み砕いて言うと、情報原子というところかな。すべての物理存在は原子で構成されている。それと同じように、情報を構成する最小単位が情報原子RUNEということらしい。」
「らしい?お前は開発メンバーではないのか?」
「いやぁ、配属早々、上と揉めてねぇ。被験体の監視役に左遷さ。」
「被験体…、生徒のことか?」
「この学校の生徒はみな特別に調整されている。だから教師はすべて軍人。監視役だよ。」
「あの女だけ違うのは?」
「ナナミちゃんは特別。いちおう普通の学校っていう体裁になってるから、教育実習生も受け入れざるを得なかったんだろうなぁ。」

 最後に少しだけSF設定。っていうか、この生徒が被験体という基本設定って『新世紀エヴァンゲリオン』の第三新東京市だし、ジオールの立ち位置は『機動戦士ガンダムSEED』のオーブ連合首長国だし、まぁ、サービスサービスって感じ。
 尤も、目新しいのが「情報原子」という発想なんだろうか。どこかのSF小説で既に出てきているような気もする。ただ、情報が原子によって構成されているってどういうこと?まったく情報原子に関する情報が少ないから、判断がつかない。今までのアニメで取り上げられた情報関連の設定としては、『機動戦士ガンダム00』のヴェーダとか、『涼宮ハルヒの憂鬱』の統合思念体とかがある感じかな。今後の展開で、どんな設定として用いられるのか興味津々。



 とりあえず、ショーコかサキのどっちかが死亡する予感しかしない。ショーコの告白宣言とか死亡フラグにしか聞こえないんだけど、一度は死んだフリを使ってるだけにどうだか。3人目のシャーリーは誰になるのか。前回はアニメ文脈の回で、今回はラノベ文脈の回という感じ。大河内さんの脚本は変幻自在といったところ。

テーマ:見たアニメの感想 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2013/06/15(土) 02:19:19|
  2. 革命機 ヴァルヴレイヴ
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