土星蜥蜴の「筆のすさび」

日々雑感。 アニメ文化に関する気ままな評論・感想を書き連ねます。

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『東のエデン』#11「さらに続く東」の感想。

「彼はこうして王子になった。王様のいない、この国で…。」
『東のエデン』#11「さらに続く東」より

以下、ネタバレが多分に含まれますので、ご了承の上でお進みください。


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 うーん、肩透かし!wっていうか、この内容は『攻殻機動隊S.A.C. 2nd GIG』でやったじゃん!!説明的なセリフばっかりだし、未回収の布石もありありだし、シリアスな内容とコミカルな絵がミスマッチだし、ニートやら就活やら若者の不満やら深夜帯の視聴者層を狙った要素ばっかり目につくし。。あらすじと舞台設定だけのアニメ。うすっぺら。ちょっと媚び過ぎ?劇場版で完結させるんだろうけど、そこで本領を発揮してくれることを期待するのみですwコミカルな感じにするなら、もうちょっと徹底したほうがいいと思ったし、シリアスとのバランスからしてコミカルさを前面に出したわけではなさそうだし。どうなんだろ?なんか、いろいろ横槍が入ったんだろうか。。。絵は力入ってると思いますけど、内容そのものに関しては手遊びで作ったような、味気ない感じに仕上がったように思います。まぁ、このテレビ放映分の全11話は単に世界観の設定を行っただけで、劇場版に向けた「前提」的な話なのかもしれないけど(^_^;)さぁ、今日は熱く語りますよぉ~☆

■『攻殻機動隊S.A.C. 2nd GIG』との類似点について。

 当然、脚本や監督は同じ神山さんなので、内容的に似通った点があるっていうのは理解できるんですけど。。。ただ、明らかに攻殻で扱った内容をそのまま使いまわして、しかも少し劣化しているような状態で出すのは、いかがなものでしょう。まずは、類似点について、両作品から該当箇所を引用します。

『東のエデン』#11「さらに続く東」より、咲のセリフ。
「不確かな情報や、自分にとって都合のいい噂で、簡単に自分の意見を変えてしまう無責任な大多数…。滝沢君は、一番守りたかった人たちに裏切られ、絶望し、それで記憶を消すしかなかったんだよ。」

『攻殻機動隊S.A.C. 2nd GIG』#25「楽園の向こうへ THIS SIDE OF JUSTICE」より、瓦礫の下における草薙素子とクゼ・ヒデオのやりとり。
「俺は半島での出来事で、人生を達観した。矛盾した秩序、強者による搾取、腐敗した構造。だが、最も俺をがっかりさせたのは、人々の無責任さだった。自分では何も生み出すことなく、何も理解していないのに、自分にとって都合のいい情報を見つけると、いち早くそれを取り込み、踊らされてしまう集団。ネットというインフラを食いつぶす、動機なき行為が、どんな無責任な結果をもたらそうとも、何の責任も感じない者たち。俺の革命とは、そういった人間への復讐でもある。」
「復讐?」
「俺は子供の頃から全身義体であったために、心と身体の不一致を絶えず感じていた。できることなら、不自由な身体を捨て、ネットの海へ漕ぎ出したいと考えていた。そんな俺にアジア難民たちは、少なからず生きる希望を与えてくれた。彼らは、俺の作り物の顔をとてもいい顔だと言い、ゴーストが顔に表れているのだと褒めてくれた。俺はそのとき初めて、心と身体は不可分な存在なのではないかと実感し、自分も肉体を持つ人間なのだと思うことができた。だが、そんな彼らも口当たりのいい情報に出会うと、やはり都合のいい方向へと簡単に流れていってしまう。人間はもともと、低きに流れるようにできているものらしい。」
「で、復讐をどう果たすつもりだ?」
「俺に結線してきている者たちの記憶とゴーストを、ネット上に運び去る。核が投下されれば、それで彼らも肉体を喪失するが、強制的な進化を遂げる可能性が手に入る。」
「彼らがネット上で個を特定し続けられる可能性は?」
「それはわからない。だが、先駆者として、下部構造に残った人間に対し、絶えず上部構造を意識させ、啓発していく存在にはなれるだろう。太古の昔から、人類が霊的なものに対し、尊敬や畏怖を感じてきたようにな。」
「それが、お前を落胆させた者たちへの復讐と救済か?」
「俺は革命と信じているがな。」

 共通項を取り上げれば、エデンの「不確かな情報や、自分にとって都合のいい噂で、簡単に自分の意見を変えてしまう無責任な大多数」と、攻殻の「自分にとって都合のいい情報を見つけると、いち早くそれを取り込み、踊らされてしまう集団。ネットというインフラを食いつぶす、動機なき行為が、どんな無責任な結果をもたらそうとも、何の責任も感じない者たち。」でしょう。確かに、エデンにおける「うかつな月曜日」なんかは、滝沢くんたちに対する誹謗中傷の原因は「無責任な傍観者」によるものだったけれど、そんなの攻殻ですでに使用済みの設定なわけです。しかも、もっと丁寧に具体的な事例を作中に織り成しながら。二度目ってことでその意識が強調されて、神山さんが社会に対してお怒りであるのはよく伝わりますがwwさすがに、二度目はちょっと…(^_^;)

■滝沢朗のキャラクターについて。

 それに、エデンでは滝沢くんがクゼ・ヒデオほど具体的で直接的な行動を取らなかった点も肩透かし。滝沢くんはセレソンNo.10の結城亮の仕掛けたミサイルテロを回避するために様々な行動に出たけれど、それは受動的な「空気を変える」方法ですよね?しかも、むしろその行為は「空気を変える」ではなくて、単に国や生命を守るものでしかない。確かに、その過程で何かしら「空気を変える」ことはできるかもしれないけど。でも、他に彼は何もしていないし。なんだか、「英雄」や「革命家」ではなく、地味で誠実な「正義の味方」って感じです。それも、よっぽど謙虚で自己犠牲の精神を強く持っているような。そうでなきゃ、助けた人々や協力してくれたニートに裏切られてから、彼らを否定することなく自分の記憶を消すなんて行為はしないですよねwあるいは、自分を悪役にすることで他者の利益を確保するなんてのも。。それとも、めちゃくちゃプラス思考なだけか、楽天的で遊び心あふれる精神に由来するものなのか。攻殻ではアオイくんやトグサの正義感が打ち出されることがあったけど、それとも異質な気がします。
 う~ん、自分を犠牲にして他者をよりよい方向へと導く、つまり社会的な「奉仕」こそが、この国の「空気」を変えるってこと?それを滝沢くんに体現させたって言うんでしょうか。それはそれで、少し飛躍している気もするなぁ。。そもそも、今回の作品は世界観とストーリーの骨子が粗々しく組み上げられただけの印象は否めないので、そう考えるには少し具体的な事例が足りないような。そんなメッセージは強く打ち出されているわけじゃないですよね。。。

■王子様とは何か。

 では、彼の目指した「王子様」とは何か。まずは、これに関わるセリフをピックアップ。

『東のエデン』#11「さらに続く東」より、滝沢朗とジュイスのやりとり。
「ジュイス、今回はテロリストを演じるだけじゃ、この事態をかばいきれないんだ。だから、残りの金で、俺をこの国の王様にしてくんない?」
「王様…、ですか?」
「あぁ。この国には頭のいい連中がいっぱいいんのに、損な役回りやるやつがいないんだ。できれば、俺だって、あんましやりたくはないけどさ、一人だけ信じてくれた子がいたから…。」
「受理されました。ノブレス・オブリージュ。今度会うときは、素敵な王子様であらんことを…。」
「そんときも、このままの俺でいたいよね。それとさ、ジュイス…。」

 これって、自らゲームオーバーになることを望んだってこと?まぁ、「残りの金で王様にしてくれ」だから、実現までの時間はかかるだろうけど。でも、王様になった瞬間に「空気が変わる」状態になっていなければゲームオーバーってことだよね?なんかジュイスに任せすぎじゃない?ww「王子様」として「損な役回りやる」ってのは、具体的には「うかつな月曜日」や今回のミサイル回避において「悪役」を買って出た行動のことなんかを指すんでしょうけど。ここで参考として挙げたいのが、次のセリフ。

『東のエデン』#01「王子様を拾ったよ」の冒頭より、咲のセリフ。
「彼は仕方なく王子になった。少なくとも、私たちの希望する明日は、誰かが王子という名の生贄になることでしかやってこないと気付いていたから。だから、彼は不本意ながら王子であろうとした。この王様のいない世界で。とはいえ、彼はいったいどうやって王子になったのだろうか。その秘密を、私はまだ知らない。」

 要するに、この「生贄」って、好き勝手に自分の生活をエンジョイできるような「私」を捨てて、いわゆる「公僕」として社会的な奉仕を行うってこと?なんとなくのイメージだけど、滝沢朗って役所にいたら有能な人材として住民に愛されそうですよねww「王子様」って言っちゃうからイメージがズレるけれど、やっている行動からして推測すると、そんな感じになるかな。。決して彼は「奇跡」を起こすような「英雄」ではないですよね。。
 でも、結局「私の王子様」ではなくって「みんなの王子様」だったんですね。。咲との恋愛についてもこれといった進展はなく。ところどころ、匂わせてるところはあるし、もうすでに恋愛関係が成立しているんだって見てもいいんでしょうけど。なんだか、この恋愛も単純に「私」な感覚での恋愛とはちょっと違いますよね。。

■#01への回帰。

 大事なポイントとして、滝沢くんは最後に記憶を消したと思われることです。最後、携帯に耳をあてて、#01でホワイトハウス前で記憶を消したときと同じ音が流れました。そのあと、滝沢くんの口がぽっかり開いて、咲のポケットに携帯を入れる場面に。記憶を書き換えて、「あなたは王子様です」って植え付けたとか?w手っ取り早く彼を王子様にするには、そんな方法が一番ですねwさすが、ジュイス。。なぁんて、冗談ですけどw最後にかかってた曲も、#01のタクシーでかかってた曲と同じでしたよね。ちょっと#01への回帰を意識してたのかな?
 ただ、ホワイトハウスで記憶を消してから、結局は記憶を消す前とほぼ同じ結論を滝沢くんは導いたわけですよね?それって、記憶を消すことで新たな可能性を模索しようとした方法が、あまり意味をなさなかったってことじゃない?そう考えると、もう一度記憶を消す必要もないような。。。しかも、今回は特に明確な裏切りを認識していたわけではないし。よくわかりませんw

■ニートの称揚

 今回は特にひどかったw「うp乙」とか、「もまいら」とか、「二次元」とか、やたらとニートっぽい人たちがネットで使う用語が頻繁に使われました。しかも、ちょっと使い方を間違えて突っ込まれている場面もあったし。今までも、「凄腕ニート」なんていう語を使ってましたけど、滝沢くんは決して「ニート」と同じ立場ではないんですよね。客観的に冷静に彼らの能力や性質を分析しながら、それを社会にどう参画させるかってことを考えた感じです。これも文科省とか厚労省の役人が考えそうな感じですよねw「あいつらは直列につないでやれば、結構なポテンシャル発揮するんだ。」なんて言ってますし。攻殻のS.A.C.では「集団無意識」を主に扱い、S.S.S.では「高齢社会」の問題を扱い、そしてエデンでは「ニート」の問題を扱ったようなもんですよね。それはそれで、アニメの主要な視聴者であるニートに対するひとつのメッセージになるんでしょうけど、ちょっと、それも違うかな?w

■劇場版への展望

 なんと、劇場版は二部構成みたいです!wなんとまぁ。やっぱり、そっちが本編なんじゃない??w結局、なんでホワイトハウスの前で拳銃を持って記憶を消したのか、確かに人々の裏切りなんかが遠因としてあるんでしょうけど、直接的な動機は明かされませんでした。それに、Mr.アウトサイドが誰でどこにいるのか。ジュイスってシステムそのものがMr.アウトサイドな気もしますが、どうなんでしょう?それに、豊洲まで咲とみったんを送ってきたタクシーの運転手。なぜか、アップになって時間を置いたんですよね。。。何か後で大きな意味合いがあったことが明かされるんでしょうか。物部大樹は何か他にも策略をめぐらせてるみたいですし、黒羽は「私のことはいつ助けに来てくれるの?NO.9…。」って言ってるし、No.2の辻は「ミサイルなんか墜ちなくたって、この国はすでに死に向かっている。」って言ってるし。まぁまぁ、いろいろと仕掛けを設定して終わった感じですw



 さぁて、劇場版への期待が高まるばかりですが、これで何にもなかったら…、怒ります!wちょっと、このテレビ放映版ではいまいちな感じでした。やっぱり薄い感じがするんですよね。大衆に迎合すること勿れ。思うままに作って欲しいですw

テーマ:東のエデン - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2009/06/19(金) 04:26:12|
  2. 東のエデン
  3. | トラックバック:1
  4. | コメント:2

コメント

こんばんは

はじめまして^^

本当に都合の良いアニメでしたよね…。
視聴前の期待とは裏腹に何とも後味の悪いラストに不快な気持ちになるのも無理ない気もします。
それでも作画に関しては最高峰の素晴らしさを見せてもらいました。さすが「Production I.G」ですね!

それでは~^^
  1. 2009/06/24(水) 00:53:13 |
  2. URL |
  3. Mochi-pon #LCao/j76
  4. [ 編集 ]

ありがとうございます。

はじめまして!突然のTB失礼しました。コメントありがとうございます。

とにかく、作品としては映画を見ないことには完成しないようなので、どうにも評論できませんでした(^_^;)不快…と言うと言い過ぎのようにも思えますが、まるで「釣り」のような戦略的展開に少し辟易した部分があることは否めません。ただ、やはりあの作画が素晴らしかったことはI.Gクオリティーですよね☆
  1. 2009/06/24(水) 02:12:24 |
  2. URL |
  3. 土星蜥蜴 #-
  4. [ 編集 ]

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東のエデン 【評価 / 感想】

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  1. 2009/06/24(水) 00:43:30 |
  2. 満天の星空の下で

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