土星蜥蜴の「筆のすさび」

日々雑感。 アニメ文化に関する気ままな評論・感想を書き連ねます。

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『交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい』の感想。

「私…、今まで逃げてばっかりだった。科せられた使命と運命を言い訳にして、ずっと逃げていた。でも、もう私、逃げない。私、戦う。レントンがずっと私のためにしてくれたみたいに…、私の望む未来のために!!」
『交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい』より

以下、ネタバレが多分に含まれますので、ご了承の上でお進みください。


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 テレビ放映されたもののアナザーストーリーでした。登場人物や世界観は一緒だけど、パラレルな世界で物語が展開されたもの。でも、人物の関係性は少しいじっていたのかな?ホランドとデューイは血縁関係になかったし。前半は物語の設定やら人物の背景を説明するばかりで面倒だったけど、後半からはよかった感じ。上々。悪くない。でも、相変わらずよく分からない部分は残りましたけどw

■エウレカの人格
 驚いたのは、エウレカが女の子してるってことw意志の強い人間になってるしwwテレビ版では人間らしさを持たない無知で無垢な存在として描かれてましたけど、今回はしっかり人間らしい女の子として描かれます。なにより、「デリカシー」なるものをレントンに求めてるあたり、テレビ版のエウレカと人格がだいぶ異なっていると見ていいでしょう。なにせ、テレビ版では化粧を方法を誤ったり、他人との接し方に不慣れであったり、人間らしくない言動はしばしば意識的に表現されていましたから、それに比べれば雲泥の差。レントンとしっかり「恋愛」しちゃってますw
 でも、相変わらずスカブコーラルから送り込まれた存在であって、特に劇中では自分のことを「ロボット」だなんて言ってました。だから、劇場版ではエウレカは自分が「作られた」存在であったことに自覚的であったということです。その点、テレビ版では基本的に無自覚だったわけですから、設定として大きな変更点はそこにあると思います。そう考えると、ちょっとチグハグな感じがする…。テレビ版では人間であると思っているにも関わらず人間らしくなかったわけで、劇場版では「ロボット」だってわかっているのに非常に人間らしく描かれている。なんででしょう?
 やっぱりレントンとの恋愛を描こうとして、そのためにはエウレカの人間らしくない設定が邪魔だったってこと?エウレカをしっかりした女の子として設定しないと、ベタな恋愛関係も成立させにくいですからね…。それに、アナザーストーリーであるっていうことを打ち出すにもインパクトのある方法だと思いますし。。。でも、テレビ版のように、エウレカが人間ではないのに人間の恋愛とは何かっていうことを考えていくっていう客観的な視点からのアプローチがよかったわけで、そう考えると劇場版の「恋愛」はベタな感じに落ち着いちゃってますよね。。。

■レントンとホランド
 今回はこの二人の対立軸が明確に打ち出されていた。だから、この二人を軸に考えると、非常に整理しやすいと思います。この二人、自分たちの「夢」や「理想」を実現させようとして行動するところは同じなんですけど、それを実現するために選んだ方法が大きく違っていた。
 レントンは自分たちの不条理な境遇なんかに不条理を感じているわけではなく、自分を取り巻く環境を肯定しながら未来のあり方を模索していこうと頑張る感じ。自らの運命を受け入れて、その中でどうにか自分の望む未来を掴み取ろうと試行錯誤したように思います。だから、周囲の環境を自分にとって都合よく変えるわけではなく、自分自身の努力や変容によって事態の収拾を図った。いわゆる、「ねだるな、勝ち取れ。さすれば、与えられん」という劇中の格言に表されているものでしょうね。
 ホランドは自分たちの生まれに対して不条理さを強く感じて、そういった環境を生み出した周囲の人間を否定して、恨んで、自らにのみ都合のいい世界を追い求める感じ。そのため、他者の存在など顧みずに自身の理想のみを追いかけて、他者を傷つけながら自身の存在を確立しようとしてしまいます。だからこそ、未来への進展を否定して、永遠に年齢を重ねることのない「ネバーランド」に行こうとするわけです。アネモネはそんなホランドに向かって、「甘えん坊なのね。どうして自分たちの神話を作ろうとしなかったの?あの子たちみたいに。」って言うんでしょう。ホランドたちは自分をどうにかしようとしないで、世界を自分に合わせてどうにかしちゃおうとしたってこと。あるいは、世界にどうにかして欲しかったってこと。だけど、それじゃあ実存を考えるときにも不都合が出てきちゃよね?自分が神みたいな存在になっちゃうわけだから、自分自身を観察する超越的な存在がいなくなっちゃうわけですから。。。まぁ、たぶんそれとは別の理由から、劇中ではホランドの行動は否定されるべきものとして描かれていました。
 そんでもって、落としどころの話。ホランドはレントンとの戦闘の間に、タルホのおなかの中に自分たちの子供がいることを知ります。それをきっかけに、戦闘をやめて、未来を望むことに。だって、時間の止まっている世界に行っちゃったら、子供が生まれてこないもんwそんな強引な技を使って、エンディングへ。。。ホランドにとっての「未来」とは「自分にのみ都合のいい」「死なない」世界だったわけですけど、自分自身の子供の存在が表に出た段階で「子供=他者」の存在が出てきちゃったことになります。つまり、自分の子供が生まれて初めて、守るべき他者の存在が現れたってこと。
 でも、そう考えると、エウレカとレントンにとっての他者は誰だったのかなぁ。お互いがお互いに他者の存在だったってこと?だから、お互いにお互いを守ろうと、レントンは自らの力とニルヴァーシュの力を合わせてエウレカを守るし、エウレカは自らがスカブコーラルであることを使ってレントンを守ろうとした。そこに二人の恋愛が成立していたと見ていいんでしょうか?レントンも、ホランドに向かって「一緒にすんな…。自分の過去に振り回されて、人をもてあそんだりした覚えはねぇ!!」なんて自分とホランドとの違いを徹底して打ち出していますし。

■劇中の神話と宗教性

 エウレカもそうだけど、『亡念のザムド』もそう。なんだか宗教チックな設定を使うんですよねぇ。それも、エヴァみたいにただガジェットとして用いるんじゃなくって、本格的に作中で宗教やっちゃう感じ。テレビ版のエウレカでは「ヴォダラク」だったし、ザムドでは「ルイコン教」だったし。手の込んだことしますよねぇwまぁ、その部分こそ理解に苦しむところなんですけど(^_^;)難しいというか、何を言いたいのかなかなか読み取りづらい…。
 でも、この劇場版ではそんな宗教性というよりも、神話的要素や人類学的な方面からのアプローチが目立った。特に、人民中央政府首相で「神の鉄槌計画」実行責任者であるブラヤ・マッティングリーのセリフは非常に印象に残るものでした。

「その昔、太陽とは無限にエネルギーを与え、そして返す必要のない、究極の存在として考えられていた。故に、人間はそれを放蕩・消費の正当性の根拠にしたのだ。そして、その証として人間は生贄を生み、その心臓を捧げた。皮肉なものだ…。我々は古代人と何も変わりはない。太陽のエネルギーを集め、それを兵器に変えて侵略者を攻撃する。これを究極の放蕩、究極の消費と言わずに何と言う…。許せ、わが子孫よ…。消費の快楽を知った我々に、それを止める術はない。神の鉄槌作戦、発動!!」

 ちょっと感慨深いものがあります。なんていうか、SFに関係するアニメではよく専門的な知識を援用して世界観を設定することがありますが、しばしば付け焼刃的な用い方や単に名前を拝借しただけのガジェットとして用いられてきました。けど、やっぱりエウレカやザムドなんかは本腰を入れて、作中の世界観に積極的にこれらの設定を関わらせてきた。援用というより、自ら新しい宗教や思想を提示しているようにも思えるくらい。まぁ、それらの根本的な素材は現状の宗教や思想に求められるものだとは思いますが…。でも、これって、けっこう画期的なことだと思います。たぶん、一般大衆からのウケはよくないでしょうけどwひとつの思想的実験空間としてアニメを捉えている点で、素晴らしい!

■そのほか

 っていうか、ニルヴァーシュの「もきゅ」っていう最初の発話が衝撃的だったwジ・エンドは「はきゅ」だったしwwポケモンに出てきそう…。。。ゲットしたい…w
 あと、EDの絵がすっごくよかった!!!なにあれ!?見たことない。。。超キレイ!!一見の価値あり。

 ひとつ不満があるとすれば、ハップとストナーの扱い。ぶっちゃけ、不要でしょ!!ストーリーに関係なかったし、ただ印象を悪くするだけ。あんな感じの設定は他の作品でもよく見かけるものだし、敢えてあそこでやる必要性を感じなかった。しかも、殺すことないでしょw「違う、俺じゃない…」なんていう手垢の付いた表現を引っ張ることもないだろうし。
 できれば、二部構成にして欲しかった。尺が伸びれば、前半の詰め込んだ説明的な感じも解消されたと思う。



 こんなところです☆最近は「ロボット」とか「SF」とか「宇宙」とか、ちょっと行き詰ってる感じが漂いますが、エウレカやザムドはそれに対する新たなアプローチをどうにか頑張っているように思います。
 ボンズは次にノイタミナ枠で『東京マグニチュード8.0』をやりますので、それもちょっと期待。

テーマ:見たアニメの感想 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2009/07/06(月) 23:17:18|
  2. 交響詩篇エウレカセブン
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